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ビッグデータはクラウドで操る:事例編

ユーザー事例

価値創出を目指す企業が
IBMのクラウドを選ぶ理由とは?

Bluemixやクラウド・データ・サービスを活用する企業は増え続けている。データベースのクラウドシフトは着実に進んでいるようだ。なぜ、ユーザー企業はIBMのクラウド・データ・サービスを選ぶのか。あるいは、どのような課題解決を目指したのか。すでに「Cloudant」や「dashDB」といったサービスを導入している2つの企業のキーパーソンがその実力やメリットについて語った。

スマートデバイスとアプリがフィールド業務を変えた

 社会インフラ分野でエンジニアリングとサービスを提供するミライトグループ。同グループは通信ケーブルや無線設備、太陽光発電といった野外設備の構築や保守などを行うことも多いという。

株式会社ミライト情報システム
執行役員 エンタープライズ事業本部
ソリューション事業部長
田中 一郎

 同グループのICT事業を担うミライト情報システムの執行役員 エンタープライズ事業本部 ソリューション事業部長 田中一郎氏が手掛けているのはスマートデバイスを活用したソリューションである。

 「当社の事業の9割はB2BまたはB2Eの領域です。私たちの部門は10年以上にわたってモバイルアプリなどの開発を行ってきました。フィールド業務の質と効率をいかに向上させるかが大きなテーマです」と田中氏は語る。

 フィールド業務といっても幅広い。ビルなど建設現場での仕事もあれば、電気や通信などのライフライン、工場設備などのメンテナンスもある。こうしたさまざまなフィールド業務は、スマートデバイスの普及後に大きく変化してきたと田中氏はいう。

 「以前は屋外での現場作業を行うとき、マニュアルや設計書などを持ち歩く必要がありました。スマートデバイスとアプリを組み合わせたソリューションの登場で持ち歩き不要になり、業務の効率化が進んできました」

 そのようなアプリを構築するためのソリューションが、同社が提供する「ImageGate®」である。図面や写真などのデータを取り込んで現場での作業中に参照する、あるいは現場で情報を追加することで業務の効率化やプロセスの改革をサポートする。

 「現場作業の前後に写真撮影が求められるケースがよくあります。前後の写真を残すことで、きちんと仕事をしたという記録を残すのです。写真撮影で使われるのはデジカメです。デジカメと紙の書類が混在している場合、オフィスに戻ってからレポートを作成することになります。このような非効率的な仕事のやり方を解消するのがImageGate®の役割のひとつです。これを使えば、現場で撮影からレポーティングまで済ませることができます」(田中氏)

スピード、予測不能なデータ量、メンテナンスという3つの課題を解決

 ミライト情報システムは、ImageGate®のシステムインフラとしてIBM「Cloudant」のNoSQLデータベースを採用した。以前、データベースに関して同社は3つの課題を抱えていたと田中氏はいう。1つめの課題はスピードだ。

 「かつてはデータベース構築に1年をかけていた時期もあります。しかし、今やスマートデバイスが毎年バージョンアップされる時代です。iOSやAndroidは2週間に1度くらいのペースで更新されます。このような世の中で、1年もかけるというのはナンセンスです」

 2つめの課題はデータ量を読めないことである。

 「通常の規模のビル建設工事では、数万枚の写真撮影が行われます。あらかじめ何枚撮るかを決めているわけではなく、現場を見て必要と判断されれば何枚でも撮影します。データ量がどれだけ増えるかわからない。以前は1年後、2年後に必要なリソースを予測してサイジングを行っていましたが、今では同じやり方はできません」(田中氏)

 3つめはメンテナンスである。

「バックアップやパフォーマンス・チューニング、パッチ適用といった費用を費やしたくないと考えていました」と田中氏。以上の3つの課題を解決するソリューションがCloudantだった。

 「IBMからCloudantの提案を受けたときは『しめた』と思いました」と田中氏は振り返る。NoSQLを選んだ理由は、多種多様なデータを格納する必要があるからだ。現在、顧客の行動履歴や画像、センサーデータなど多種多様なデータを扱う基盤としてCloudantは同社のビジネスを支えている。

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検索や集計に加え、分析にも活用すれば強みが生きる

 1985年の設立以来、ネットワーク・システム・インテグレーターとして成長してきた日本情報通信。同社が今、注力している分野はクラウドとビッグデータである。その重なる部分に位置するのが「Bluemix」や「dashDB」だ。同社のソリューションビジネス本部 ソフトウェア・テクニカルセールス部 部長の内藤剛氏は次のように語る。

 「IBM自身を除けば、おそらく日本で最もdashDBを使っているのが当社ではないか。それくらい、当社のエンジニアはdashDBを日常的に活用しています」

日本情報通信株式会社
ソリューションビジネス本部
ソフトウェア・テクニカルセールス部 部長
内藤 剛

 最近は同社の顧客もクラウドのデータベースに大きな関心を寄せるようになった。内藤氏は、顧客からは「他のクラウドとはどう違うのか」とよく聞かれるという。特に多い質問は「dashDBとAmazon Redshiftとの違い」だ。両者はよく似たサービスではあるが、dashDBは列指向と行指向のハイブリッド、Redshiftは列指向といった特性の違いもある。これらのパフォーマンスについて内藤氏は20億件のデータを用いて比較検討を行ったという。

 「パフォーマンスそのものについては大きな差はないと思います。ただし、どちらかというとRedshiftが単純な集計を得意とするのに対して、dashDBは分析に強みを持っているという傾向のようなものはありました。データの検索や集計だけでなく、分析もしたいという場合には、dashDBのよさを一層引き出すことができるでしょう」

 パフォーマンスは大事だが、準備段階を含めたトータルでのスピードを重視するのがdashDBの考え方だ。この点について内藤氏はdashDBを高く評価している。

以前と比べチャネルは増加し、オファリングまでの時間は短縮

 次に、ビッグデータの活用について。内藤氏はECサイトのマーケティングを例に挙げて説明する。

 「顧客属性や購買データなどをもとにメールなどを通じて商品をレコメンドし、顧客をECサイトに誘導したとしましょう。購入してくれるかもしれませんし、商品カートに入れたまま放置されるかもしれません。ECサイトでの行動を分析したうえで、次に購入してくれそうな商品のクーポンを送るなどのアクションにつなげます。こうした一連のプロセスを継続的に回し続けることが重要。これは従来からのキャンペーンの回し方ですが、最近の2つの大きな変化に注目する必要があります。つまり、チャネルが増えたこと、顧客にオファリングをするまでの時間が短くなったことです」

 2つの変化に対応するためには、より高度なITを実装する必要がある。また別の観点で、データそのものの大規模化という変化もある。

 「たとえば、顧客サービス向上のためにモバイルアプリの提供を始めると、ユーザーがアプリを起動し操作をするたびに時々刻々とデータが飛んできます。そこには時刻や場所のデータも含まれます。ユーザーが増えればデータ量はますます巨大になります。ビジネス活動を継続するだけのためなら、こうしたビッグデータは必ずしも必要ではないかもしれません。それは蓄積するだけでは意味がなく、分析などに活用して初めて意味を持ち始めるのです」(内藤氏)

 こうしたビッグデータ分析の際に、Bluemix環境のさまざまなサービスと統合した形で活用できるのがdashDBの大きな特長だ。内藤氏は「ビッグデータはどこに蓄積され、どこで分析されるのが適切か。SoEの考えに基づき、Bluemixによる顧客接点アプリケーションの近くにdashDBが配置されるのは理にかなっており、アクセスログやIoTを蓄積・分析するのが容易であることが大きな特長です」と話す。日本情報通信は、その特長を生かしたソリューション提案力をさらに高めていこうとしている。

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    TEL:0120-300-426(平日9時30分〜17時30分)

    URL:http://www.ibm.com/jp/ja/