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クラウドファースト時代のイノベーションの起こし方 企業変革を実現するクラウド利用の勘所

本格的クラウドファースト時代を迎えて “IT企業”にも自己変革が求められる

データセンター

本格的クラウドファースト時代を迎えて
“IT企業”にも自己変革が求められる

クラウドファーストの考え方がユーザー企業・団体に浸透するにつれて、自社サービスとクラウドサービスの組み合わせ提供に転じる“IT企業”が増えている。そのための新ポートフォリオは、「サービスカタログ」として作成するのが一番。マイクロソフトが勧めるのは、まず自社サービスを棚卸しし、それらと整合性がとれて相乗効果を発揮できるクラウドサービスを検証・評価し、顧客が選びやすいリストに整理するという手順だ。

 米連邦政府でクラウドファーストの考え方が打ち出されてから、5年近くの年月が過ぎた。日本でも「業務システムを新たに構築する際はパブリッククラウドをシステム基盤の最優先候補とする」というルールを公式・非公式に設けた企業・団体は着実に増えているとみられる。

日本マイクロソフト株式会社
クラウド&エンタープライズビジネス本部
クラウド & サーバー製品 マーケティング部
エグゼクティブプロダクトマネージャー
岡本 剛和

 この動きは、コンピューターシステムを使うユーザー企業・団体だけでなく、そこにハードウェアやソフトウェア、ITサービスを販売してきた“IT企業”にも大きなインパクトを与えている。たとえば、情報システム子会社、システムインテグレータ(SIer)、データセンター事業者、狭義の販売代理店、ソフトウェアベンダーといった企業だ。

 これまでパブリッククラウドのサービスは“IT企業”において自社の抱えるサービスと競合し、ユーザー部門や顧客企業で直接利用契約を行う、いわゆる“中抜き”を引き起こす存在と見られていた。しかし、ここにきて、パブリッククラウドは“IT企業”と競合するものではなく、“IT企業”のサービスを補完するものへと見直されてきた。“IT企業”がパブリッククラウドに付加価値をつけて提供する動きである。

 この背景には、パブリッククラウドの魅力と“IT企業”のサービス&サポート力の融合があげられる。パブリッククラウドは自社でIT資産を抱えるのではなく、外部のIT資産として活用する。パブリッククラウドで提供されるコモディティ化したものは今後、より低価格化が進み、技術も進歩してSLAが日々向上し、積極的にそちらにアウトソーシングし自社資産としないほうがユーザー企業にはメリットが大きい。さらに、ユーザー企業(利用部門や顧客)のことを一番知っていてその資産を生かしながら、運用を含めたパブリッククラウドの活用を提供できるのは、他の誰でもなく従来のシステム構築に携わってきた既存の“IT企業”である。ユーザー企業においても“IT企業”のサービスとパブリッククラウドが一体化されることは様々な恩恵があるのだ。これらが“IT企業”がパブリッククラウドを自社のサービスに組み入れる一番の理由である。

低価格帯でもサービスレベル(SLA)が高い商品が増え、企業にとっては選ぶのが難しくなった
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ユーザー企業の商品選びを助けるサービスカタログの作成がお勧め

 “IT企業”がパブリッククラウドをサービスの一部として、また自社ソリューションをホストするインフラとして取り入れる場合、どのように進めていけばよいのだろうか。その答えとしてマイクロソフトが“IT企業”各社に勧めているのが、「サービスカタログ」の作成である。

 ここでいう「サービスカタログ」とは、その“IT企業”が顧客に提供する標準サービスの内容を説明したドキュメントのことを意味する。形態に決まりがあるわけではないので、最初に作るものはExcelのシートやPowerPointの箇条書きスライドでもかまわない。大切なのは、提供するサービスを標準化することと、その中身である。

 参考になるのは、Microsoft Azureなどのクラウドサービス商品説明ページだ。単に商品説明の「サービスメニュー」を列挙するだけでなく、典型的な利用シーンを挙げてそれに合ったサービスを示す「サービス選択ガイド」を添えるのも効果的だろう。

 サービスメニューの項目を決めるにあたっては、まず自社で提供できるものを棚卸しする。具体的には、販売権を持つハードウェアとソフトウェアのほか、自社の要員と技術力で提供できる設計・保守・課金などのサービスをリストアップしていくわけだ。

日本マイクロソフト株式会社
エンタープライズサービス部門
エンタープライズサービス営業統括本部
ソリューションセールスチーム
Solution Architects
アソシエイトアーキテクト
大井 雄介

 次いで、そうしたサービスと整合性がとれ、相乗効果を発揮できるようなクラウドサービスを検証・評価し、“仕入れ品”としてリストに加える。

 日本マイクロソフトの大井雄介氏は、「それぞれのサービスメニューには、大中小(S、M、L、XL)や松竹梅(SLA/災害対策/バックアップ/監視)などのグレードを設定するとよいでしょう」と商品説明画面で選べる選択肢の決め方をアドバイスする。

 すべての選択肢を示すのではなく、ボリュームゾーンを意識した少数のグレードに整理することによって、顧客は選びやすくなり、“IT企業”にとっては商品説明に要するコミュニケーションコストを減らせるからだ。「セキュリティパッチ適用作業をどちらが担当するか」といった重要事項についてはチェックボックスで明確に選べるようにし、サービス選択ガイドで詳細に説明することが望まれる。

クラウドサービス改定に合わせてサービスカタログの更新を続ける

 こうして出来上がったあとも、サービスカタログには継続的なメンテナンスが必要だ。ハードウェアとソフトウェアの製品や、自社の要員と技術力に基づくサービスと違って、クラウドサービスの内容は毎月のように変わっていくからだ。たいていのクラウドサービス事業者は変更予定をメーリングリストなどで事前に通知してくれるので、その内容を精査したうえで、サービスカタログの内容を適宜書き替えていけばよいだろう。

 また、「サービスカタログはサービスの拡張予定を顧客にアピールするためのロードマップとしても使えます」と大井氏は指摘する。現在は対応できていない機能があっても、近い将来にリリースすることを約束できるのであれば、多少の遅れは挽回できることだろう。ロードマップを策定するにあたっては、顧客満足度を調べたり同業者とのベンチマークをしたりといった研究も欠かせない。

クラウドサービスと自社商材のセット販売ができるCSPも登場

 マイクロソフトは、クラウドへの対応を深めようとするパートナー企業に対して、さまざまなマーケティング施策を提供している。

 Microsoft Azureなどのクラウドサービスを自社の商材と組み合わせて顧客に提供しようと考えている“IT企業”にお勧めできるのは、Cloud Solution Provider(CSP)というプログラムだ。登録にあたってはいくつかの条件をクリアする必要があるが、「クラウドサービス部分を自社売上として計上できる魅力は大きいと思います」と岡本氏はいう。

 すでにふれたように、最初に作るサービスカタログはExcelシートやPowerPointスライドでも十分。作成についての高度なアドバイスを必要とする場合は、Microsoft Consulting Services(MCS)などのコンサルティングサービスを利用してもよいだろう。

IaaSについてのサービスカタログ支援サービスの例。提供する内容をサービスメニューとして示し、サービス選択ガイドで説明を加える
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 本格的なクラウドファースト時代を迎えて、“IT企業”各社にも自己変革が求められている。自社サービスのリストにクラウドサービスを加え、顧客が選びやすいサービスカタログを作成する――。IaaSからSaaS、さらには今後大きく市場が拡大するであろうIoTやAnalytics分野のようなクラウドでなければ実現できないワークロードまでをカバーし、多様なサービスを部品として提供できるマイクロソフトのクラウドサービスは、そのための最強の材料となることだろう。

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