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クラウドファースト時代のイノベーションの起こし方 企業変革を実現するクラウド利用の勘所

日本マイクロソフトのエバンジェリスト西脇資哲氏が解説! クラウド時代に求められるIT企業の意識改革とは?

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日本マイクロソフトのエバンジェリスト西脇資哲氏が解説!
クラウド時代に求められるIT企業の意識改革とは?

ユーザー企業がパブリッククラウドをフルに使い始めたら“中抜き”が生じるのではないか――。今、多くのIT企業やシステムインテグレーターがかかえている不安だ。日本マイクロソフト エバンジェリスト 業務執行役員の西脇資哲氏は、システムインテグレーターに「得意とする業務領域で価値を創出するビジネスモデル」への転換を勧める。Microsoft AzureにはIoT/IoH、機械学習、人工知能といった最新分野のサービスが用意されている。これを活用すれば業務システムに実装するのは容易だ。

日本マイクロソフト株式会社
エバンジェリスト(業務執行役員)
西脇 資哲

 「本格的なクラウド時代を迎えた今、システムインテグレーター(SIer)の方々もクラウドビジネスにコミットしていただかなければなりません」

 日本マイクロソフトの西脇氏は、こう断言する。マイクロソフトを始めとするIT企業がこぞってクラウドへの傾斜を深め、ユーザー企業もオンプレミスからクラウドへの移行を望んでいる今、かつてのようにハードウェアとソフトウェアの販売やそれに付随するシステム開発だけではやっていけなくなるというのだ。

 もちろん、SIerの側でもそうしたトレンドは認識しているはずである。それにもかかわらず、SIerがクラウドへのシフトに本腰を入れていないのは売上減の懸念があるためと西脇氏は指摘する。

 第1にIT費用の配分の問題がある。従来はSIerの売上(買い取り/リース)として計上されていた額の何割かがクラウドの利用料金となってしまうのだ。SIerがクラウドを仕入れてユーザー企業に小売りする形態を選んでも、従来は3~5年分をまとめた額で売り上げを立てられたのに対し、クラウドの場合は毎月または毎年での計上となってしまうため、クラウドビジネスに移行した初年度は必ず売上が落ちてしまうことになる。

 第2にクラウドはオンプレミスのITシステムより安価になる可能性が高い。スケールメリットによって情報量や処理量あたりの単価が下がることに加えて、業務量が減ったらすぐに利用を停止できるからだ。クラウドを利用する側の企業にとっては望ましいことだが、SIerにとって売上減少はありがたいことではない。

ハードとソフトの“箱売り”からサービスの仲介に転換するべき

 このような懸念からクラウドビジネスへのコミットをためらっているSIerに西脇氏は「得意とする業務領域で価値を創出するビジネスモデル」への転換を勧める。

 「クラウド時代になると、付加価値が変わってきます。オンプレミスではコンピュータとOSで売上計上し、周辺装置や業務アプリケーションを追加することによって付加価値が生まれました。そのような部分がクラウド側に移ってしまっても、別の場所で付加価値があれば、これまでと同等あるいはそれ以上の売上を確保することはできます」(西脇氏)。

 では、SIerが価値をプラスできる場所はどこにあるのか――。西脇氏が挙げるのは、クラウド――例えばグローバルなパブリッククラウドであるMicrosoft Azureならではの最新ソフトウェア機能をユーザー企業が業務でうまく使えるようにする仲介者(クラウドインテグレーター)としての役割である。

 「どのSIerも、財務会計、医療やヘルスケア、資材、建設、運輸といったそれぞれの得意とする業務領域でシステムインテグレーションをしてきたはずです。その力をさらに伸ばすためにMicrosoft Azureならではの最新サービスや最新プラットフォームを活用していただけばよいのです」(西脇氏)。

 さらに、Microsoft Azureならクラウドインテグレーターに転換するためのハードルは低いと西脇氏は強調する。ベースとなっているのは多くのSIerにとって慣れ親しんだWindows技術だし、LAMP(Linux-Apache-MySQL-PHP)に代表されるオープンソースの技術もほぼそのままの形でクラウドへ移植が可能。技術者の再教育やソフトウェアツールの買い替えに要する費用を抑えられるのだ。

Microsoft Azureのサービス群を活用して業務システムを安価・短期に開発

 事実、Microsoft Azureのプラットフォームには、コンピューティング、データストレージ、アプリケーション、ネットワークなどの多種多様なサービスが用意されている。ユーザー企業の業務に必要なソフトウェア機能の多くはこの中から選んで組み合わせれば実現できるので、システム開発に要する工数を減らし、期間もグンと短縮することができるわけだ。

Microsoft Azureが提供するサービス
Microsoft Azureが提供するサービス
多種多様なサービスをプラットフォームとして提供。SIerはサービスを選んで組み合わせる
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 例えば、あらゆる業務アプリケーションに実装することが求められるセキュリティについては、Active Directoryと同等の機能をクラウドにも拡張するAzure Active Directoryがある。このサービスを利用すれば、シングルサインオン、モバイルデバイスの認証とアクセス制御、マルチクラウド接続、従業員によるセルフサービス型管理といった最新機能を業務アプリケーションに組み込むのも容易だ。

 また、デジタル動画コンテンツの制作から配信までをカバーしているのが、Azure Media Services。デジタル動画データの取り込み、エンコーディング、コンテンツ保護、CDN経由のストリーミング配信、プレーヤーなどの機能がAPIとして提供されるので、メディア企業でなくてもコンテンツ提供ビジネスを始めるのはたやすい。

 このほか、従来のオンプレミス型IT環境では実現が難しかった「無限の計算能力」「オープンデータの活用」「多言語翻訳」「情報検索」などもMicrosoft Azureを使えば簡単に実装できると西脇氏は話す。

IoTや機械学習などの最先端のサービスで新しい価値を作り出す

 さらに、Microsoft Azureは、IoT(モノのインターネット)/IoH(ヒトのインターネット)、機械学習、人工知能といった最先端の領域も漏れなくカバーしている。

 IoT/IoHについては、まず、センサーやコントローラーなどのデバイスで動作する“組み込み型Windows”のWindows IoTを機器ベンダー向けに提供中。これらのデバイスは、.NET Micro Frameworkを通じてMicrosoft Azureと接続する仕組みだ。

 一方、Microsoft Azure側にはAzure IoT Suiteと呼ばれる既成のパッケージが用意されているので、遠隔監視、予兆保全、資産管理といった典型的な使い方ならプログラミングなしで実装が可能。センサーからのデータをリアルタイムに分析・可視化するような高度な用途にはAzure Event HubsとAzure Stream Analytics、IoT/IoHを含む広範な可視化と分析のニーズにはPower BIが用意されている。

 また、機械学習や人工知能に関連した機能を提供しているのが、Azure Machine LearningやCortana Analytics Suiteなどのサービス。Cortana Analytics Suiteに含まれるPersonal Digital Assistanceを利用すると、Windows PhoneなどのモバイルデバイスやWindows 10 PC/タブレットとの間で音声認識による質問/回答も可能だ。

 「Microsoft Azureならではのサービスやプラットフォームを活用していただくことによって、SIerはこれまでにない新しい付加価値を作り出して企業に届けられるようになります」と西脇氏。その例として、経済予測、環境保護、防災・減災、健康管理、“つぶやき”の分析、違法行為の検出と防止、交通網の最適運用などを挙げる。

クラウドと機械学習で新サービスの提供
クラウドと機械学習で新サービスの提供
Microsoft Azureならではのサービスを活用すれば、SIerはこれまでにない新しい価値を創出できる
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クラウド活用のソリューションで価値を創出するSIerも続々と登場

 意識を切り替え、クラウドの活用によって新しい価値を創出する――。すでに、日本を含む世界の多くのSIerがMicrosoft Azureベースの画期的なソリューションを届け始めている。

 例えば、運送業での展開イメージとして、けん引車とトレーラーに多数のセンサーを取り付けて、本社の監視センターと無線ネットワークで接続。タイヤの空気圧が低下傾向にあることをリアルタイムモニタリングで検出したら、「至急最寄りのサービスステーションで点検するように」といった警告メッセージを運転手のスマートフォンに送り込めるようになるという。

Microsoft AzureのIoT展開イメージ
Microsoft AzureのIoT展開イメージ
けん引車とトレーラーに取り付けたセンサーを使って走行状況をリアルタイムに監視
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 また医療の分野では、同じく米国ニューハンプシャー州のDartmouth-Hitchcock Medical CenterがCortana Analytics Suiteベースのテーラーメイド医療システム「Dartmouth-Hitchcock Health System」がある。在宅療養中の患者が身に着けたウェアラブルデバイス「Microsoft Band」から血圧や心拍数などのバイタルサインを監視センターに送り込む遠隔医療が実現できる。

Microsoft AzureのIoH事例。Dartmouth-Hitchcock -- Mission Control
Microsoft AzureのIoH事例。
Dartmouth-Hitchcock -- Mission Control
患者が身に着けたMicrosoft Bandからのバイタルデータを基にリアルタイムのテーラーメイド医療サービスを提供
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 ハードとソフトの“箱売り”から脱却し、Microsoft Azureのサービスを活用することによって、得意とする業務領域で付加価値を付ける――。クラウド時代にも活躍できるSIerとなるための競争は、すでに始まっている。

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