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クラウドファースト時代のイノベーションの起こし方 企業変革を実現するクラウド利用の勘所

ケーススタディ:関電システムソリューションズ

データセンター [ケーススタディ:関電システムソリューションズ]

関西電力との合同検討を経てMicrosoft Azureを採用
決め手となった4つのポイントとは

関西電力グループのIT企業である関電システムソリューションズは、顧客からの“パブリッククラウドへの移行”要求に応えるためだけでなく、自社データセンターの競争力を高めるためにもハイブリッドクラウドを商材に加えるべきと判断。クラウドサービス提供企業3社のサービスを比較検討したうえで、Microsoft Azureを選択。新サービス「CIERTO/Hybrid Cloud with Microsoft Azure」は、2015年7月にサービスインしている。

 関電システムソリューションズ(以下、KS Solutions)は、関西電力グループの一員として、コンサルティング、システム開発、ITインフラ構築、データセンターの4事業を展開するIT企業である。当初は関西電力と地方公共団体へのサービス提供がビジネスの中心だったが、2001年にはハウジング、コロケーション、ホスティングのデータセンターサービスを一般企業にも提供し始め、グループ外からの売上比率は年々高まっている。

 KS Solutionsは、クラウドサービスにも早い時期から熱心に取り組んできた。2011年には、自社データセンター内に構築したクラウドを核とするクラウドソリューション「CIERTO」を発表。仮想ホスティング、クラウドストレージ、仮想デスクトップ(DaaS)、モバイルデバイスを利用した報告書作成やPCやモバイルデバイスでの給与/賞与明細閲覧などのサービスを安全かつ確実な形で多くの企業や団体に提供している。

採用の決め手は“ハイブリッド”。外販売上増を狙う戦略と一致

関電システムソリューションズ株式会社
営業部長
福嶋 利泰

 さらに2014年度に入って、KS Solutionsはパブリッククラウドとの連携についても検討を開始した。これには、いくつかの背景があった。

 まず、同社のデータセンターを利用する顧客の一部から「パブリッククラウドに移行したい」という声が上がっていたこと。「費用や保守作業の手間など理由は様々ですが、お申し出の数はじわじわ増えているという感じがあります」と営業部長の福嶋利泰氏は話す。

 また、KS Solutionsの側でも、売上をさらに伸ばすにはパブリッククラウドを商材に加える必要があると考えていた。「当社が目標としている『外販率50%以上』を達成するには、データセンターの床面積もさることながら、さまざまなサービスをプラスした“密度の濃さ”が決め手になります」と福嶋氏は語る。パブリッククラウドからの売上を加えることによってラック当たりの実質単価を上げようとしたのである。

 さらに、業務面で密接な関係にある関西電力がパブリッククラウドの導入に向けて舵を切ったこともKS Solutionsの背中を押す風として働いた。同社が一般の企業や団体向けに提供しているサービスの多くは関西電力で使われている仕組みをベースにしているので、技術レベルは合わせておいたほうがよいのだ。

 2014年にスタートした関西電力との合同検討プロジェクトは、国内A社、外資系B社、日本マイクロソフトの3社を候補に選定。ロードバランシング、スケーリング、ハードウェア監視、性能監視、プロセス監視、国内拠点数、準拠法などの項目についてサービス内容を比較していった。

 結果として選択したのは、日本マイクロソフトのMicrosoft Azureである。決め手となったポイントは4つあった。「第1に、Microsoft Azureは3社のなかで最も低コストでした。第2にMicrosoft Azureは外資系ながら国内に西と東の2つのリージョンがありました。国内のクラウドベンダーではごく当たり前のことですが、外資系B社は国内に1拠点しかなかったのです」(福嶋氏)。

 また、係争が生じた場合の準拠法が国内法であることも重要なポイントだった。関西電力もKS Solutionsも公共系の業務を数多くかかえているため、何かあったときはクラウド上にあるデータを国内の自社データセンターにいつでも戻せるようにしておくことが求められる。外国法が及ぶデータセンターでは、データの取り戻しがスムーズにできるかどうか確信が持てなかったのである。「第4にプライベートクラウドと自社サービスと組み合わせたハイブリッドクラウドを構築できることが当社の戦略にぴったりでした」(福嶋氏)。

専用線も使えるハイブリッドでデータセンターの競争力も向上

 2015年7月には、顧客の企業・団体にはレンタルラック、プライベートクラウド、パブリッククラウドを単一の窓口から提供できるハイブリッドクラウドサービス「CIERTO/Hybrid Cloud with Microsoft Azure」の提供が開始された。KS SolutionsのデータセンターとMicrosoft Azure間の接続は、まずはインターネットVPNでの接続サービスから提供を開始しており、2015年度中を目標に専用線(閉域網)「Microsoft ExpressRoute」での接続サービスの提供を開始予定。

ハイブリッドクラウドサービス「CIERTO/Hybrid Cloud with Microsoft Azure」
KS SolutionsのデータセンターとMicrosoft Azureを連携させてレンタルラック、プライベートクラウド、パブリッククラウドを単一の窓口から提供
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 第1号の適用案件に選ばれたのは、関西電力のWebサイト「電力需給のお知らせ」の改修である。「Webページへのアクセス量に季節性があり、リソース量の調節でコストを抑えることができ、複数拠点が使えるMicrosoft Azureがぴったりでした」と福嶋氏は語る。本番系のMicrosoft Azure西日本には常時4台+ピーク時24台、災害対策用のMicrosoft Azure東日本には同じく1台+27台という構成にすることによって「コスト削減」「柔軟なシステム資源管理」「地理的冗長化」を達成できたという。

Microsoft Azureでの新システム構成(2015年5月~)
日本国内の東西2リージョンを使うオートスケーリング対応の構成で「コスト削減」「柔軟なシステム資源管理」「地理的冗長化」を達成
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 さらに、Microsoft AzureはKS Solutionsのシステム開発用の基盤としても使われるようになる予定だ。社内の物理サーバーが更改時期を迎えるのを機に、約120台をMicrosoft Azureに載せ替えるのである。また、2016年4月の電力小売市場完全自由化を機に多数参入すると思われるスタートアップ企業向けに、電力CISパッケージソフト「NISHIKI」をMicrosoft Azure上で提供する計画も進行中だ。

 Microsoft Azureベースのハイブリッドクラウドを手にしたことによってKS Solutionsのデータセンターの競争力は高まったと福嶋氏は実感している。

 「従来は、引き合いを受けてからシステムを提案するまでに数週間から2カ月はかかっていました。ハードウェアとソフトウェアの構成と容量を検討し、設計し、運用と保守の体制を決めるには、どうしてもそれだけの時間がかかるのです。しかし、Microsoft Azureではスケーリングを自由自在に行えるので、とりあえずの要求を満たすところから始めるスモールスタートでの提案が可能です。当社のビジネスのスピードが高まるとともにシステム提案の幅も広がりました」(福嶋氏)。

 クラウドファースト時代にも、品質の高いITサービスを顧客にワンストップで提供していく――。そのようなビジネスを目指すIT企業にとって、Microsoft Azureは頼りになるサービスである。

企業プロフィール
  • 関電システムソリューションズ株式会社

    ■所在地:大阪市北区梅田3丁目3番20号
    ■創 立:1967年4月1日
    ■資本金:9000万円
    ■代表者:代表取締役社長 山元康裕
    ■従業員数:1261名(2016年1月1日現在)
    ■URL:http://ks-sol.jp/

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