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ヴイエムウェア

仮想化のノウハウを生かした
カンタン移行のクラウド活用術

仮想化ソフトでIT業界に刺激を与えてきたヴイエムウェア。同社は2014年秋に、「VMware vCloud Air」で自らパブリッククラウドの市場に参入した。発表から半年、既に数々の実績を上げている。その最大の特長は既存システム移行の簡便性だ。特に、ハイブリッドクラウドで威力を発揮する最新テクノロジーと同サービスの国内活用事例が紹介された。

パブリッククラウド活用の課題
vCloud Airなら問題なし

ヴイエムウェア株式会社
ハイブリッドクラウドサービス本部
シニア スペシャリスト システムエンジニア
玉置 誠 氏

 クラウドコンピューティングが普及期に入って、最近はパブリッククラウドの活用比率が上がっている。ある調査によると、IT予算の3分の1が自己調達からパブリッククラウドになっているという。その背景には、データセンターにあるオンプレミスの企業システムが、パブリッククラウドに移行しようとしているという最近のトレンドがある。これからのIT部門の仕事は、パブリックとプライベートの両方が共存するハイブリッドクラウドの使いこなしがカギになるのだ。

 ところが、いざパブリッククラウドを利用しようとすると、すぐには移行できるものではないことが分かる。オンプレミスにある既存のIT資産は、サーバー上で動いているアプリケーション、それらが組み合わさったシステムアーキテクチャー、また運用スキルといったものから成り立っている。ところがパブリッククラウドに移行するには、異なる環境で動くアプリケーション、複雑なネットワーク、パブリックとプライベートの両者の管理などの事実が立ちはだかり、利用者にはギャップが大きすぎるのだ。

 ヴイエムウェアは2014年11月、パブリッククラウド「VMware vCloud Air」を発表し、これまでの仮想化ソフトのベンダーからクラウドサービスの提供会社として市場参入を果たした。

 「昨今、オンプレミスのシステムは仮想マシン上で動いているものが増えています。vCloud Airはオンプレミスと同じVMware vSphere上でサービスを提供するため、既存のシステムをシームレスかつ簡単に移行ができ、運用も変える必要がありません。他社のクラウドサービスではここまでうまくはいきません」と、ヴイエムウェアの玉置誠氏はアピールする。

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自社のvSphere環境に
ホストを追加する感覚

 意外にあるのが、いったんパブリッククラウドに展開したアプリケーションをオンプレミスに戻すニーズだ。システムの拡張や改修に伴って様子を見たり、業務の処理量の変動を見て元に戻したりといったケースが多い。また、既存システムのアップグレードや新規開発作業をクラウド上で行い、オンプレミスに戻して稼働するケーもある。こうしたことがスムーズにできるのは、vCloud Airならではの特長である。

 vCloud Airとは、同社の仮想環境vSphereをそのままデータセンター全体に拡張したパブリッククラウドサービスだ。オンプレミスとパブリックの親和性が高いのは当然だ。VMwareのサーバー仮想化で培われてきた技術がフル活用されており、ユーザーも活用のノウハウがそのままパブリッククラウドで生きてくる。

 玉置氏は講演の中でデモを行った。新しい仮想マシンを追加、テンプレートを選んだり、マシンのスペックを設定すると、すぐさまサーバーが追加された。続けて新しいネットワークを作り、ファイアウォール、NAT、ロードバランサーの設定とあっという間にIaaS環境の設定が終了だ。「利用イメージとしては、自社のvSphere環境に、ホストを追加して拡張するように利用できます」(玉置氏)。ユーザーが仮想化マシンを構築するだけで済むというような使い勝手の良さは、vCloud Airがスタック化された構造を持っているという最新の仮想化技術の成果である。

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既に多くのvCloud Air活用事例
運用工数とTCOが50%削減した例も

 同サービスが始まって、この半年間の活用事例がいくつか紹介された。JBCCの場合は、2014年度から、パブリッククラウドを検証・開発環境として利用を開始した。昨年度まではオンプレミスで開発していたが、全国にいる開発者向けに、より柔軟に環境を提供するために移行した。JBCCは、2015年度に130以上ものシステムを展開する予定という。オンプレミスに残っている仮想マシンは、バージョンアップ時にクラウドへの移行を検討しており、既存のオンプレミス環境は、バックアップやストレステストなどのリソースとして利用することを検討し、無駄のない効率的なクラウド移行を実現している。

 もう一つ、同じような全面移行の事例として、インストラクションが挙げられた。Windows Server 2003の保守期限切れに直面していたが、オンプレミスから全てをvCloud Airに移行することを決め、同時に9台のWindows Server 2012へのアップグレードをわずか30日で行った。運用工数とTCOも50%削減したという。

 また、現在複数の企業で、Windows2000、2003の一時保管先としてvCloud Airを活用し、移行後段階的にアップグレードを行うなど、古いOSが稼働可能なvCloud Airならではの活用例も出てきている。

 このようにvCloud Airは、活用法にいくつかのパターンがある。

(1)検証・開発系のシステム用途
(2)Windows 2000、2003サーバーの移行先、アップグレード先として
(3)オンプレミスと連携するハイブリッドクラウドとして
(4)常に電源オンでなくてもよいもの:ディザスターリカバリーやバックアップシステム
(5)先が予測しづらいもの:一般消費者などからのアクセスが急激に変動するようなシステム
(6)純粋に本番環境として稼働するシステム

といったものだ。活用法に応じて、料金体系も柔軟に選べるようになった。従来のリソース確保型の課金に加えて、7月より従量課金制のものを追加した。

 ヴイエムウェアでは、今後もパブリッククラウドの幅広いニーズに応えるため、vCloud Airに注力していく。

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