ITpro Special
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Cloud Days 札幌、名古屋、福岡

KEYNOTE札幌会場 会期●2015年6月4日~5日 会場●札幌コンベンションセンター(札幌市白石区)

クラウド環境の活用事例を報告
システム復旧、柔軟な拡張・縮小に効果

北海道ガス株式会社
ICT推進部
ICTサービスグループ
係長
稲垣 利陽 氏

 北海道ガスは2016年4月の電力小売り自由化に伴って大きく変わる事業環境に対応するため、グループを挙げて構造改革に着手している。その一環として、グループに在籍する2000人が利用する情報共有基盤として、グループウエアの再構築、BYOD(私物端末の業務利用)の実現、端末のシンクライアント化に取り組んでいる。グループウエアは導入・保守コストに加え、DR(ディザスターリカバリー)を重視し、クラウド環境を選択した。「災害時にはお客様の設備の早期復旧を最優先しなければなりません。関係者同士がやり取りする仕組みを継続して利用できるようにする必要がありました」。北海道ガスの稲垣利陽氏はこう話す。

 シンクライアント化はマルチデバイスを視野に入れて取り組んでおり、2016年1月に端末150台をシンクライアント化する予定だ。

爆発的なアクセス増加への対応策に
平時はデータベース増加などにも

 北海道の定番土産「白い恋人」で有名な石屋製菓も、クラウド環境に軸足を置く。石屋製菓はネット販売も展開しているが、「テレビなどで紹介されると、爆発的なアクセスが発生します。これに対応するためクラウド環境に全面移行しました」と石屋製菓の本間哲平氏は話す。

 クラウド環境を構築したのは扶桑電通。「当初の目的は一斉アクセスに対応させることだったので、平常時はかなり余裕があります。データベースを増やしたいといった改修にも柔軟に対応できます」。扶桑電通の今新洋一氏はこう話して講演を終えた。

石屋製菓株式会社
取締役
本間 哲平 氏
扶桑電通株式会社
システム部・課長
今新 洋一 氏

KEYNOTE名古屋会場 会期●2015年6月17日~18日 会場●ウインクあいち(名古屋市中村区)

クラウドで作業負荷とコストの削減に成功
BCPのバックアップデータの保管にも活用

学校法人河合塾
グループ業務本部
業務改革システム部
部長
土井 康正 氏

 Cloud Days 名古屋 2015は大手予備校の河合塾の土井康正氏の講演で始まった。勉強が詰め込み型から思考力や判断力、表現力重視へ変化。さらに生徒数の減少、勉強時間の減少など、教育界は大きく変化している。「こうした変化に対応するため、ITによって一歩、二歩先に進んだサポートをしていかなければなりません」と土井氏は話す。河合塾のIT化を推進しているのが、土井氏が所属する業務改革システム部である。

 河合塾は、センター試験の自己採点得点を入力すると、志望大学の合格可能性判定や合格の可能性が高い大学を検索できる「バンザイシステム」を運営している。センター試験の実施後、大学への出願までの1週間にアクセスが集中し、ピーク時は1日で800万アクセスに達する。そのバンザイシステムを再構築し、クラウド化したのは2012年1月のことだ。

利用費を含めコストは2割減
クラウドをBCPにも活用

 クラウド環境に移行する前はピーク時に対応できるように、ファイアウォール、Webサーバー(レンタルサーバー)、負荷分散装置を臨時に増強していた。

 クラウド環境にしたことでそうした作業負荷が大幅に減り、システム構築作業やクラウド環境の利用費を含めて、以前に比べ20%コストを削減できた。

 また河合塾では、BCP(事業継続計画)の一環として取り組んだバックアップデータの保管にもクラウド環境を利用している。

 「今のところクラウド環境の利用はITインフラに限られていますが、今後はクラウド環境のアプリケーション機能も活用し、ITを予備校の経営に一段と役立てていきたいと考えています」。土井氏はこう抱負を語った。

KEYNOTE九州会場 会期●2015年6月24日~25日 会場●福岡国際会議場(福岡市博多区)

関心集まるスマートグリッドで広がる可能性
特徴を踏まえたセキュリティ要件の整理が重要に

九州電力株式会社
執行役員
情報通信本部長
岩崎 和人 氏

 Cloud Days 九州 2015のKEYNOTEで講演したのは、九州電力の岩崎和人氏。九州電力は2023年までに約800万台に及ぶスマートメーターの導入を目指している。

 スマートメーターで収集した情報は様々な活用が考えられる。高齢者の見守りサービスはその一例だ。

 半面、セキュリティ確保の重要性は一段と高まる。スマートメーターが収集する情報は個人情報にほかならない。

 スマートメーターはいろいろなシステムと連携するので、様々な接点が生まれる。「そこに脆弱性が生じる恐れがあります。電力事業やスマートメーターの特徴を踏まえたセキュリティ要件の整理が大切です」。岩崎氏はこう強調した。

福岡生まれの人気ラーメン店
創業者が熱い思いを語る

株式会社一蘭
代表取締役
吉冨 学 氏

 福岡生まれの人気博多ラーメン店チェーン、一蘭を創業した吉冨学氏は、一代で年商100億円を超える事業規模に至るまでの道のりを熱く語った。「心が最強のブランド」と力説した吉冨氏は「大事なのは欲を愛に変えることです。欲からもたらされたものはいずれ崩壊しますが、愛に変えれば永久に続きます。欲よりも愛のほうが絶対に儲かります」と語った。

 デジタルによって様々なことができるようになった半面、失われたものも大きいと考える吉冨氏は、一見、デジタルを否定しているようだが、講演の中では社員間のコミュニケーションを図るためグループウエアを導入している基盤にサイボウズ製品を使っていることも明らかにした。創業者の熱い語りから来場者の多くは起業の原点を感じ取ったようだ。