今後さらに活用が拡大し、ビジネスに大きな革新をもたらすと期待されるIoT。より多くの企業がIoTに取り組み、社会全体でこの動きを加速させていくには、どのような仕組みが求められるのか。インテルのシニア・スペシャリストとして活躍する下堀 昌広氏と、田口 栄治氏に、IoT普及のためにインテルが進めている取り組みについて話を聞いた。
――連載の第1回ではIoTの本質について座談会を行い、第2回ではIoTで実現する未来の社会についてお話を伺いました。IoTの活用はこれからさらに進み、ビジネスに大きな革新をもたらすと期待できますが、今回は、そのために必要な技術や仕組みについてお話をお聞きしたいと思います。
下堀 まず理解しなければならないのは、IoTをビジネスに活用するには、実に幅広いテクノロジーが必要だということです。IoTというとまずイメージされる「モノをネットワークに接続する」技術というのは、そのうちの1つにすぎません。その他にも、悪意ある攻撃などからデバイスやデータを守るセキュリティと管理性を担保する技術、収集したデータを解析する技術、解析結果から得られた予測をもとに、ビジネスの最適化などに生かす仕組みが不可欠です。
田口 つまり、センサーやネットワークを管理する仕組み、収集したデータを蓄積するデータセンター、データから価値を生み出すためのビジネスインテリジェンスやAI技術など、複数のシステムを組み合わせ、1つの大きなシステムのように機能させる「System of Systems」の視点が求められるわけです。このように大規模なシステム体系を構築する必要があることが、IoTの“難しさ”でもあるといえます。
――確かに、IoTに初めて取り組む企業が、これらの技術や仕組みをすべて導入し、使いこなしていくのは簡単ではありませんね。
田口 ええ。ただ、IoTによって新たな価値を生み出すには、こうした幅広いテクノロジーを駆使しなければならないことは事実です。個々の企業が、IoTに必要なシステムを個別に導入していくというアプローチでは、選定や検証に膨大な労力がかかりますし、システム同士を連携させるために、新たなコストや手間が発生する恐れもあります。
下堀 そこでインテルでは今、ビジネス革新に取り組もうとする企業が、より簡単にIoTを活用できるような仕組みを提供するための取り組みをしています。