ITpro Special
週間WEEKLY ITpro Special ITpro

インテル:IoT&Enterprise Forum 2015

■インテル

IoTプラットフォームを整備し
競争力向上のデータ解析を支援

プロセッサーメーカーのインテルは、到来しつつあるIoT時代に向けてデバイス/ゲートウエイ/アナリティクスの3要素から成るIoTプラットフォームを提供している。例えば、最新のデバイスに採用されている同社のIoTモジュールや、ゲートウエイやアナリティクス向けのソフトウエア部品などだ。インテルのソリューションを使って、データの解析結果を競争力向上に役立てた企業も既にある。

インテリジェントデバイス向けに
超小型で低消費電力の製品群を投入

インテル株式会社
事業開発部
部長代理
安齋 尊顕

 プロセッサーの開発・製造元として知られるインテルは、急成長するモノのインターネット(IoT)の市場にも様々な技術を投入している。

 その背景には、この市場の成長率に対する同社の強い期待がある。ネットワークに接続されるデバイスは2020年には500億台に達すると見込まれているのに対し、現状で常につながっているのはその15%(75億台)にとどまるからだ。「見込まれる市場規模は、約2300兆円。この市場にはオープンスペースが多く、十分にチャンスがあります」とインテルの安齋尊顕氏は話す。安齋氏は大きな成果が期待できるビジネス領域として、運輸、自動車、スマートホームやスマートビル、製造、エネルギー、ヘルスケア、公共などを挙げた。

 インテルのIoTプラットフォームを利用したシステムは世界の様々な企業で具体的な成果を既に上げている。

 例えば、フリート管理ソリューションで知られるアメリカのVnomicsはトラックの燃費を7%改善できるシステムを開発した。これは、車体やエンジンに取り付けられたセンサー群とGPSからのデータをリアルタイムでデータセンターに送り、サーバーでリアルタイムに解析させ、その結果をトラック側でも見られるようにしたものだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 このような実績を持つインテルのIoTプラットフォームは「インテリジェントな機器」「インテリジェントなシステム・オブ・システムズ」「エンド・ツー・エンドのアナリティクス」の三つの要素から成る。

 このうち、「インテリジェントな機器」とは、末端のデバイスがインテリジェントにデータを収集したり送受信したりできることを意味する。ここで活躍するのが、超小型・低消費電力でデバイスへの組み込みに向くインテルのIoT向け製品群だ。

 その最新の製品となるのが、2015年1月に発表された超小型の「インテル® CurieTM モジュール」である。このモジュールには32ビットの「インテル® QuarkTM プロセッサー」、384KBのフラッシュメモリー、80KBのSRAMのほか、加速度センサー、ジャイロスコープセンサー、Bluetooth Low Energy(BLE)なども搭載されているので、ウエアラブルデバイスやIoTデバイスなどの小さな機器を作るのに向く。

 IoT向けのその他の製品としては、超小型モジュール「インテル® Edison」、LTEモデム統合プロセッサー「インテル® AtomTM x3 プロセッサー C3000シリーズ(開発コード名SoFIA)」、産業機器向けワークロード・コンソリデーション・システム「SCS 110K」などもラインアップする。

稼働中デバイスにゲートウエイを
追加してIoT対応にすることも可能

 インテルのIoTプラットフォームの第2の要素となる「インテリジェントなシステム・オブ・システムズ」とは、デバイスとインターネットまたはクラウドとの接続を仲介する「ゲートウエイ」のことである。

 そのために同社が用意しているのが、「クラウド接続」「管理」「実行環境」「セキュリティ」「コネクティビティ」の各領域をカバーするWIND RIVER Linuxベースのソフトウエアスタックだ。特に充実しているのはコネクティビティ(接続性)用のソフトウエアで、センサー用のプロトコルとして普及しているMQTT(IBM MQ Telemetry Transport)はもちろんのこと、デバイスとの近距離接続用のZigBeeとBluetooth、インターネットとの接続用のEthernetや携帯電話(4G/3G/2G)などが標準で使えるようになっている。セキュリティソフトウエアとして用意されているのは、McAfee Embedded Controlだ。

 このようなソフトウエアスタックを備えたゲートウエイは、これから開発・製造する新しいデバイスだけでなく、既に稼働中のデバイスにも取り付けることができる。その典型的な例としてセッションで紹介されたのが、Daikin Applied(ダイキン工業の米国法人の1社)の空調システム「Rebelシリーズ」だ。

 「このRebelシリーズの2008年モデル以降に弊社の技術を応用したIoTゲートウエイを取り付けることによって、Daikin Appliedはエネルギー管理やデマンドレスポンス(需要応答)などの管理機能をビルのオーナーに提供できるようになりました。24時間365日の遠隔監視/診断や障害予知などの新しいサービスを生み出せたことによって、Daikin Appliedにおけるビジネス変革も進んでいます」(安齋氏)

センサーデータを解析して
競争力向上に役立てる

 さらに、第3の要素として、IoTプラットフォームでもっとも重要な「エンド・ツー・エンドのアナリティクス」がある。「デバイスからデータを集めるだけでなく、その解析によってどのような付加価値を生み出せるかが競争力に大きな差をもたらします」と安齋氏は述べて、IoTにおける解析/分析の重要性を強く訴えた。

 例えば、インテルは半導体工場内の試験装置(テスター)からのデータの解析により製造装置の障害を予知し、歩留まり改善が可能になり、歩留まりを改善することによって、年間900万ドルものコストを削減することができたという。このシステムを開発するに当たっては、コントローラーを三菱電機、ビッグデータ処理をCloudera、統計解析処理をRevolution Analyticsがそれぞれ担当している。

 上記三つの要素を含むIoTプラットフォームの基本的な枠組みとして、インテルは「Intel IoT Platform Framework」を策定し、要素となるソフトウエア部品やAPIを広く提供している。また、出来上がったIoTプラットフォームを活用するには、「何をしたいのかをオペレーションテクノロジー(OT)で事前にはっきりさせておき、データの関連性を見いだすように努め、リアルタイム性を重視することも大切」(安齋氏)というのがインテルの考えだ。

[画像のクリックで拡大表示]

 Industrial Internet Consortium(IIC)の創立メンバーの1社でもあるインテルには、産業用機器のインターネット接続を主導する立場という役割もある。「IoT時代には、クラウドとは別の、対象に直結しリアルタイム性に優れた“インダストリアルデータセンター”が使われるケースが増加するでしょう」と、安齋氏。IoTを指向する企業は、これからもインテルの動きを注視すべきだろう。

お問い合わせ