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ITモダナイゼーションSummit レビュー|日立製作所 データ連携統合による基幹システムのモダナイゼーションでビジネス力を向上

日立製作所

データ連携統合による基幹システムの
モダナイゼーションでビジネス力を向上

基幹システムこそ価値あるデータの宝庫であり、その活用こそがビジネス力向上の鍵を握る――。このように示唆する日立製作所(以下、日立)の船生幸雄氏は、実際に基幹システムのデータを戦略的に活用することによって、グローバル拠点間の生産・販売・在庫計画の一元的な見える化を実現した先進事例を紹介するとともに、その取り組みを支えたデータ連携統合基盤の特長を解説した。

データ連携統合で実現する新しいITモダナイゼーション

株式会社日立製作所 情報・通信システム社
ITプラットフォーム事業本部
サービスイノベーション統括本部
ビッグデータ本部 システムソリューション部
主任技師
船生 幸雄

ITモダナイゼーションには、リホスト、リライト、リビルド、リドキュメントなど様々な方法がある。しかし、その成果をビジネス力の向上につなげていくためには、システムごとの個別最適では限界があり、あらゆる組織のあらゆる業務を横断したシステム全体最適の考慮が必須となる。そこで日立が着目したのがデータであり、基幹システムのデータを効率的・戦略的に活用する新しいITモダナイゼーションの在り方を提案している。

日立の船生幸雄氏によると、その仕組みはレストランに例えることができるという。「世界各地の産地から食材(データ)を取り寄せ、下準備や仕込み(加工・蓄積)を行い、来店客のオーダーに応じて素早く料理(活用)する」というものだ。

このITモダナイゼーションには、「プラットフォームやデータ形式、場所や時間などに関係なく、必要なデータをリアルタイムに収集」「統一されていないデータを統一的に利用できる構造に標準化し、蓄積」「様々な条件での柔軟なデータ分析・活用」を可能にするデータ連携統合基盤が求められる。

グローバルで生産・販売・在庫計画を見える化した先進事例

基幹システムのデータを戦略的に活用した先進事例として船生氏が紹介したのが、グローバルビジネスを展開しているある製造業の取り組みである。

M&Aを繰り返しながら欧米からアジア、アフリカまで世界各地に販売/製造拠点を拡大してきたこの企業は、各拠点の情報を正しく把握することで、精度の高い生産・販売・在庫計画を立案したいと考えていた。最も理想的なのはグローバル全体でシステムを統一し、データ統合をスムーズに実現することである。

しかしながら、このアプローチは現実的とはいえない。M&Aの結果として異種システムが混在しており、国や地域ごとに異なる法律や商習慣に対応したITガバナンスを標準化して浸透させることは、極めて困難だからだ。

そこで、この企業は必要なデータをバッチプログラムで収集し、統合するという方向に舵を切った。とはいえ、これにも様々な課題がある。異種システムのデータの収集・統合に対する作業負担は非常に重く、結果として一部のデータしか統合できない状況だった。また、データの収集サイクルも拠点によって日次から月次まで大きな開きがあり、状況を正しくタイムリーに把握することができない。加えて、収集されたデータは、目的に応じたデータマートに加工されるため、新たな目的のデータマートが必要になった場合は、また一からデータの収集や加工、統合の方法を検討しなければならず、迅速に対応できないというのが実情であった。

これらの様々な課題を解決したのが、日立のデータ連携統合基盤である。ビッグデータ技術を適用し、「拠点側のプログラム改修は不要」「拠点側のシステムに影響を与えない」「リアルタイムにデータ収集」「収集したデータを標準化して蓄積」「最新のデータを見たいときに素早く検索」といったメリットを提供する。これにより、「グローバルでの異種システムの混在を許容しつつ、世界中の生産・販売・在庫状況の見える化が可能になりました」と船生氏は強調した。

■欲しいときに、欲しいデータが手に入るソリューション
ビッグデータ技術を適用し、グローバルでの異種システムを許容しつつ、世界中の販売/生産状況の見える化を実施
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ニーズに応えるクラウド基盤を構築し、従量課金のサービスとして提供

日立のデータ連携統合基盤とはどういうものなのか、船生氏はその仕組みや具体的な機能を掘り下げて解説した。それは大きく「収集」「加工・蓄積」「活用」の三つの要素から構成されている。

まず「収集」においては、基幹システムの更新ジャーナルを解析し、差分データを収集する仕組みを提供する。「対象DBにデータ連携統合基盤の部品である『更新検知エージェント』をインストールするだけで、手軽にデータを収集できるようになります」と船生氏は語る。テーブルに直接アクセスしないのでDBに対する負荷を最小限に抑えることができ、オンライン業務に影響を及ぼすこともない。

次の「加工・蓄積」については、データ形式の異なる大量の生データに対し、統一的な検索を可能にする標準化(メタ情報付与、形式変換など)を実施し、利用者が活用しやすい状態で統合DBに蓄積しておく。

さらに「活用」では、論理ビューを利用して、必要なデータをリアルタイムに活用する仕組みを提供する。これにより、分析視点や分析対象が増えたり変わったりした場合でも、その度にデータマートを作成することなく、論理ビューの定義変更だけでデータの活用が可能となる。論理ビューは、複数の表を結合することもあるため、性能が出ないことが多いが、ビッグデータ技術を適用した日立の高速データアクセス基盤を利用し、性能を確保している。

そして、日立のデータ連携統合基盤の最大の特長となっているのが、このソリューションを“サービス”として導入できることである。「お客様が希望するクラウド環境に専用のデータ連携統合基盤を構築し、運用まで一括して日立にお任せいただけるサービスを従量課金で提供しています」と船生氏は説明した。

■データ連携統合基盤の特徴
データ連携統合基盤は、バラバラのシステムを大きな一つのシステム基盤の様に見せ、既存システムは変更しない
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同サービスは、製造業における原価管理システム、銀行・証券における不正取引防止や販売分析システム、サービス業における契約情報や請求明細の照会系システムなど、幅広い課題解決への応用が可能。日立のデータ連携統合基盤を利用することで、ビジネスのスピードアップとコスト削減の両立を実現できるだろう。

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