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日本マイクロソフト エンタープライズシステム開発への アジャイル適用の取り組みを支

Visual Studioの開発にいち早くアジャイルを適用

市場のニーズや顧客の動向が激しく移り変わる今日、ビジネス環境の変化を速やかにキャッチアップし、的確に対応していくことが企業に求められている。このことはすなわち、ビジネスを支える企業のITシステムにも絶え間ない変化が求められているということにほかならない。

そうした要請に応え得るソフトウエア開発手法として、かねてよりALM(Application Lifecycle Management)を念頭に置いた「アジャイル開発」の必然性が叫ばれてきた。マイクロソフトでも、2006年から自社の統合開発ツール製品「Microsoft Visual Studio」の開発にALMに基づくアジャイル開発を適用。従来の「10年間の利用をユーザーに保証する」ことを念頭に据えながら、バグの積み残しといういわば“技術的債務”の解消に追われ続けていたウォーターフォール型による開発からの脱却を図った。

マイクロソフトコーポレーション
Visual Studio製品群
プロダクトオーナー
サム・グッケンハイマー氏

「その取り組みにおいては、常にバグがクリアされた状況を維持すること、バックログ(積み残し案件)をチーム全体で可視化することなど、プロジェクトの運営にかかわる厳しい“規範”を設けました。また、例えば『終了(Done)』の意味するところについても厳密な定義を行うなど、開発の“風土”そのものを変えていくアプローチで臨みました」とマイクロソフトのグッケンハイマー氏は説明する。

そうした取り組みを進めることによりVisual Studioのプロジェクトでは、3週間ごとにアップデートをリリースしていくというスプリントを確立。リリース後に寄せられるユーザーからのフィードバックに対応した改善を、“クラウドのリズム”に合わせた、より短期のサイクルで製品に反映していけるような体制を整えられた。

大規模アジャイル開発を実現するためのポイントとは

特に今日では、クラウドの普及などを背景に、全社レベルのプロジェクトといった、より大規模なシステム開発へのアジャイルの適用に向けたニーズが急速に高まっている。「日本ではまだ、ソフトウエアのサプライチェーンの在り方などに起因して、旧来のウォーターフォール型の開発が主流です。けれども、例えば北米などでは、過去10年の間にアジャイル開発が新たな標準として、すでに業種を問わず幅広い企業の間に定着している状況です」とグッケンハイマー氏は紹介する。

もっとも、元来、アジャイルはそのスタイルの特質から、せいぜい10人前後のチームを単位として適用するのが効果的であるとされてきた。言い換えれば、エンタープライズレベルの大規模開発において、複数チームにわたってスケーリングしていくには、いくつかの課題があり、不向きであるとの見方が一般的だった。

その一つの理由としては、グッケンハイマー氏がVisual Studioの開発プロジェクトで設定したような“規範”を全社レベルで展開し、その遵守を徹底していくことの困難さが挙げられる。要するに、開発チーム間の横断的なコミュニケーション、コラボレーションをいかに円滑化していくかということが課題となるわけで、複数のチームが独自にアジャイル開発を実践していても、チーム間に作業の依存性が生じると障害や遅延をきたしてしまうというケースも多い。

こうした問題を解消するうえでの重要なキーワードとなるのが「DevOps」である。