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ITモダナイゼーションSummit レビュー|東京システムハウス COBOL資産のマイグレーションで成功をつかんだポイントとは

東京システムハウス

COBOL資産のマイグレーションで
成功をつかんだポイントとは

東京システムハウスはユーザー企業の横浜電算を支援し、これまでメインフレーム上で運用してきたCOBOL資産のオープンシステムへのマイグレーションを共同で実施した。業務のスムーズな移行はもちろん、スキルやノウハウの移転も含めた成功をつかむことができたポイントは、横浜電算自身が主導したプロジェクト推進そのものにあった。

資産のブラックボックス化を避けるためノウハウを共有

東京システムハウス株式会社
マイグレーションソリューション部
営業課
マネージャー
上野 俊作

東京システムハウスは、独自技術に基づいた特定業種向けのパッケージソリューションを提供している独立系ソフトハウスである。そのコア事業の一つがメインフレームを中心としたレガシーシステムのマイグレーションで、20年の実績を重ねてきた。そして今回、同社のマネージャーを務める上野俊作氏が紹介したのが、ユーザー企業である横浜電算における国産メインフレームのマイグレーション事例である。

横浜電算は、2016年2月に創立50周年を迎える情報サービス企業で、長年にわたり地方自治体関連団体の業務システムを運用してきた。そして、2012年2月にメインフレームのアウトソース先との契約変更を機に、オープンシステムへのマイグレーションを決断。このプロジェクトに東京システムハウスが参画し、支援を提供したというわけだ。

このプロジェクトの重要なポイントは、「マイグレーションを“共同で”実施してほしい」という横浜電算の要望に応えたこと。「お客様ではマイグレーション後の保守を見据え、資産がブラックボックス化するのは避けたいという意向をお持ちでした。実際、リライトによる移行を必要としたCOBOL資産4システムのうち3システムについては、自社要員のみで移行にあたることを決定しており、実際の作業を通じてノウハウを共有化してもらえるパートナーをお探しでした」と上野氏は語る。

この前提条件を満たす提案ならびに移行支援ツールの「AJTOOL」を評価し、横浜電算は東京システムハウスをパートナーとして選定した。

横浜電算自身が開発した変換ツールを活用

東京システムハウスがプロジェクトに加わったのは2013年6月のこと。分析/設計および変換フェーズからの参画だった。なお、資産の棚卸しは横浜電算自身によって既に完了しており、移行対象の資産は約半分に絞り込まれていたという。

この共同プロジェクトを通じて、東京システムハウスが実作業を支援した課題の一つが、メインフレームで運用してきたCOBOL資産(オンライン/バッチ)のオープンシステム移行である。分析/設計フェーズで定義された移行仕様に基づいて横浜電算が自作した変換ツールを利用し、リライトを実施することとなった。ミドルウエアとのインタフェース部分がCOPY句化されていたことに着目し、「この仕組みを上手く活用したことで、変換工数を最小限に抑えることができました」と上野氏は説明する。

一方、オンライン画面の移行については、変換ツールによって既存の画面定義から新システムのWebブラウザーベースの画面定義を自動生成するという方法が取られた。この作業に大きく貢献したのがAJTOOLのJSPプレビュー機能「AJTOOL JSP Editor」だ。「その都度オンラインを起動させることなく、開発環境内で画面を確認しながら必要に応じて修正をかけることで、効率的に移行を進められました」と上野氏は話す。同様にネットワーク型DBからRDB(Microsoft SQL Server)への移行についても、レガシーDBから読み取った定義情報をもとに、変換ツールによって新たなDB分析書とテーブル定義情報を自動生成することで作業の省力化を図った。

もっとも、すべての移行作業が変換ツールによって自動化できるわけではない。その意味でも最も苦労したのが帳票移行であり、「フォームの情報はほとんど全てを手作業で登録しなければなりませんでした。また、外字についてもユーザーと協議の上、必要なものを登録する必要がありました」と上野氏は振り返る。

■アプリケーション移行方式
ツール変換や文字コード変換で対応した
[画像のクリックで拡大表示]
■ミドルウエア移行方式
ミドルウエアの選定については顧客側で選択
[画像のクリックで拡大表示]

マイグレーション費用を削減し新システム上での開発作業もスムーズに開始

その後プロジェクトは、約10カ月に及ぶテスト/移行フェーズを経て2014年9月に完了した。この総括として上野氏がまずフォーカスしたのがCOBOL資産の移行にあたり横浜電算が自作した変換ツールよる成果で、フェーズに分けて変換を繰り返すことで精度を向上し、最終的に90%を上回る変換率を達成することができたという。

こうしたマイグレーションの実作業に横浜電算自身が主体的にあたったことで、「プロジェクト期間内に弊社のスキルやノウハウを移転することができました。結果、お客様はマイグレーション費用を予算内に収めるとともに、新システム上での開発作業もスムーズに開始することができました」と上野氏は評価した。

もちろん、カットオーバー後のシステムは安定稼働を続けている。特にバッチ処理については、処理時間を平均30%短縮するなど性能面の改善ももたらしており、運用スケジュールに余裕を生み出している。

一方、エンドユーザーからの評価はどうかというと、操作面での変更はないため、スムーズに業務が継続されている。実際、2014年度下期に実施されたユーザーアンケート調査においても、満足度の低下は見られない。「裏側のシステムが刷新されても、ユーザーの業務が何ごともなかったかのように継続されるというのは、何よりも大きなマイグレーションのメリットといえるのではないでしょうか」と上野氏は胸を張る。

移行システムの業務内容を最も深く理解している自社要員がプロジェクトを主導したこと、自社の要件に合ったベンダーならびに手法を選んだこと、自社の責任の下で常にユーザー視点に立ったマイグレーションを遂行したことが、今回のプロジェクト全体を通じて横浜電算が成功をつかむことができたポイントだ。

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