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Webアプリ現状把握がトラブル回避の原点

企業のWebサービスの重要性はますます高まっている。オンラインショッピングなどはWebアプリケーションが止まれば売上はゼロになってしまう。B2Bや社内向けの用途でもビジネスや生産性に大きく影響するシステムはあり、何らかのトラブルによるサービス停止、レスポンスの遅れなどが機会損失の発生、顧客の離反につながることもある。そのようなトラブルを回避するためには、Webアプリケーションの現状把握が必要だ。アシストでは、そのための無償サービスを提供している。

アプリケーションのトラブルが
機会損失や顧客の離反を招く

秋月潤 氏
株式会社アシスト
システムソフトウェア事業部
技術統括部 技術支援1部
部長
秋月潤 氏

 オンラインショッピングをはじめ各種サービスや情報提供など、顧客またはユーザーとの接点となるWebの重要性は高まるばかりだ。今や多種多様なサービスがWebアプリケーションを通じて多数のユーザーに届けられている。Webで消費者とつながるB2C企業だけでなく、B2B企業にとっても顧客企業からの受注や情報のやり取りに不可欠のチャネルとなっている。

 何らかのトラブルにより、Webアプリケーションが機能不全を起こしてしまったらどうなるだろうか――。実際、繁忙期などにWebサイトにアクセスが集中して止まったり、レスポンスが極端に遅くなったりするケースも少なくない。

 オンラインショッピングであれば、止まっている間の売上は消滅する。原因の特定や復旧が遅れると機会損失は甚大だ。また、ほんの数秒レスポンスが遅くなっただけで消費者が競合サイトに乗り換えることも珍しくない。Webユーザーは、サービス提供側の事情を汲み取ってくれるわけではない。

「ビジネスによっては、Webアプリケーションの動作状況が売上を左右する時代です。しかし、その状況が十分に見える化されておらず、トラブルが発生してから慌てて対応するケースも多いのではないでしょうか。トラブル原因の特定に時間がかかり、エンドユーザーである顧客に迷惑をかけてしまうこともあります」と語るのは、アシストの秋月潤氏である。

 Webアプリケーションの動きはサービスの質に直結する。こうした状況を見える化したいというニーズを背景に、「APM(Application Performance Management)」に対する関心が高まりつつある。ただ、注目度は増しているものの、実際に導入している企業は少ない。同社の塩澤正寛氏はこう説明する。

「ハードウェアのリソース監視を行っている企業は少なくないのですが、サービス観点でのアプリケーション監視までは行われていない場合が多く、現状をしっかりと把握しないまま、『たぶんこれがレスポンスの遅れの原因だろう』といった感覚でメモリーなどのリソースを増強しているケースもあるようです」

課題解決への出発点は
Webアプリケーションの現状把握

塩澤正寛 氏
株式会社アシスト
システムソフトウェア事業部
技術統括部 技術支援1部
主任
塩澤正寛 氏

 アプリケーションの性能を常時モニタリングしている企業はまだ少ないが、そのニーズは高まりつつある。拡大するニーズの背景にあるのが、アプリケーションの複雑化や様々な開発ツールを利用することによるブラックボックス化である。昨今は開発フレームワークを用いたシステムが多い。これは、開発効率が上がって非常に便利な半面、フレームワークという性質上、内部が見えなくなることが多い。

「問題が発生したときに、すぐに原因を見つけるのが難しくなりました。原因特定が遅れれば、復旧も遅れます。時間がかかるほどビジネスへのダメージは大きくなります。特に開発フレームワークを活用している企業はぜひ一度確認してみてもらいたい」と塩澤氏はいう。

 アシストは、こうした課題に対するソリューションとして実績豊富なAPMツールの「JENNIFER(ジェニファー)」を提供しており、多くの企業の導入を支援してきた。ただ、APMの導入に迷っている企業、その効果を測りかねている企業もあるだろう。

 そこで今年11月、アシストはJENNIFERで培ったノウハウを生かした新サービスをリリースした。無償で提供される「Webアプリケーション現状把握サービス」である。

「企業は次々に新しいWebアプリケーションをリリースしています。リリース前にはひと通りのテストを行っていると思いますが、それでも実際のサービスが始まるとレスポンスが遅くなるなどのトラブルに見舞われることがあります。あるいは、漠然と『最近遅くなったな』と感じているIT管理者も多いでしょう。こうした課題や懸念に対して、当社としてお手伝いできることはないだろうかと考えました。このサービスを活用して、ぜひ自社のアプリケーションの現状をつぶさに見てもらいたいと思います」と塩澤氏。こうして生まれたのが、Webアプリケーション現状把握サービスだ。

 Webアプリケーションの課題を解決するためには、その出発点として現状を把握する必要がある。現状把握ができれば、次の打ち手が見えてくるはずだ。

 Webアプリケーション現状把握サービスは、JENNIFERを用いて行われる。まず、JENNIFERを企業のIT環境に導入し、ニーズに応じたモニタリングを実施。導入期間は1日、モニタリング期間として2日~2週間程度を要する(図1)

「モニタリングしたい内容は、お客さまによって異なります。平常時のアプリケーションの動きを確認したいなら2週間程度かかります。また、普段は問題ないけれど、ユーザーのアクセスが集中したときに不安というお客さまもいるでしょう。その場合は、比較的短期間の負荷テストなどを行い、どの程度のアクセスまで耐えられるかをチェックします。平時とピーク時の両方をチェックすれば、現状をより鮮明に可視化することができます」(秋月氏)

(図1)サービス利用の流れ
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開発ベンダーにエビデンスを示し、
アプリケーションの改善に役立てる

 このサービスが想定している対象は、Webアプリケーションに障害があったときのビジネスインパクトが大きい企業だ。オンラインショッピングなどB2Cのネットビジネスはもちろん、B2Bや社内向けの用途でも、「止まったら困る」「レスポンスが生産性を大きく左右する」というサービスは多いはずだ。Webアプリケーション現状把握サービスの守備範囲は広い。

 本サービスは提供開始されたばかりだが、現状把握を目的とした類似の有償サービスは以前から実施されている。塩澤氏はそのサービスを活用した企業の事例を紹介する。

「印刷物を提供している企業の例です。その印刷事業者の印刷サービスは、開発ベンダーが提供するパッケージを採用していました。ソースは公開されておらず、問題発生時の具体的な切り分けについてはブラックボックス化されていました。そして、お客さまはアプリケーションのレスポンスが徐々に遅くなることに懸念を持っていました。また、新しいサービスのリリースが予定されていることもあり、アクセスの増加に耐えられるかどうかも気になっていたようです。そこで、当社に現状把握のサービスを依頼。私たちはJENNIFERを使って調査を行い、レポートを提出しました」

 レポートでは、遅延アプリケーション、SQLのTOP10がリストアップされた。また、発生している詳細なException情報についても洗い出し、開発ベンダー側にて調査を行った。さらに、レポートデータを基に顕著に問題が発生していたアプリケーションを確認したところ、即座にSELECT処理時のロック事象が判明。その部分を修正し、改善に至っている。このように今後も順次問題箇所を改善していけば、確実にアプリケーション品質は上がるだろう。

「そのお客さまは現状把握の結果をエビデンスとして開発ベンダーに渡して、次の改善に役立てています」と塩澤氏。アプリケーション開発を委託している外部ベンダーに対して「最近、レスポンスが遅くなっている」と漠然と伝えるのではなく、詳細なレポートを見せることにより開発ベンダーの取り組み方も違ってくるはずだ。

 図2は、本サービスの診断報告レポートである。モニタリングの結果がわかりやすいグラフなどで示される。経営層や事業部責任者が見れば、Webアプリケーションの課題がビジネスにどれほどの悪影響を及ぼしているのか、明確なイメージを描けるに違いない。

 Webを通じたサービスがビジネスの大きな部分を占めるようになった今、リリース前のアプリケーションの確認は必須。アプリケーション性能の可視化は、必ず一度試してみるべきだろう。また、日常的なモニタリングによる継続的な改善も重要になる。本サービスの診断報告レポートは、こうした取り組みの第一歩である。アプリケーションの動きが可視化されれば、改善に向けた適切な一手を打つことができるようになる。

(図2)診断報告レポート
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