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クラウドで変わる企業経営、その未来像は?

セールスフォース・ドットコム

顧客とつながり1対1の関係を築く時代到来
クラウド化と顧客中心の働き方が必須に

ソーシャルメディアの普及で顧客同士がつながり、商品選択の主導権を握り始めた。企業は、顧客とつながり1対1の関係を築かなければ顧客と向き合うことが難しい時代が到来している。それに対処するには、情報システムのクラウド化と顧客中心の働き方が欠かせない。Salesforceはそうした改革を簡単に実現する基盤である。
安田 大佑 氏
株式会社セールスフォース・ドットコム
執行役員
コマーシャル営業
地域創生G 本部長
安田 大佑 氏

 「これまで企業は顧客に比べ豊富な情報を保有し、両者の間には『情報の非対称性』というべき不均等な情報構造がありました。しかし、クラウドの普及によって企業と顧客の力関係が大きく変わり、顧客の情報力が急激に増大しています」。セールスフォース・ドットコムの安田大佑氏は、こう話を始めた。

クラウドの普及が
企業経営と社会生活を変えた

 クラウドの普及は企業経営だけでなく、社会生活も大きく変えた。消費者はモバイルデバイスを持ち歩き、ソーシャルメディアを使ってインターネット上で情報を発信・共有してつながり、知識を共有するようになった。ソーシャルメディアに書き込まれた無名の消費者の声が商品やサービスの売り上げを大きく左右することもある。消費者は商品を購入しようと思えば、インターネット上のショッピングサイトに掲載された口コミを通して商品の評判を調べたり、購買する際には価格サイトで販売価格を比較して最も安い販売店で購入したりすることをいとわない。

 「クラウドによってデジタル化し、情報共有によって組織化したお客様はこれまでよりも10倍速く動きます。商品やサービスに対する情報を自由に発信でき、企業がその期待に応えなければ、すぐに別の企業に乗り換えるだけでなく、悪い評判が瞬く間に広がることもあります。これまで企業が顧客をリードしてきましたが、これからは顧客が主導権を握り、スピードとイノベーションが企業価値を決める時代が到来します」。安田氏はこう指摘する。

 こうした時代に企業はどのように顧客に向き合い、つながればよいのか。安田氏は二つの条件を挙げる。

“デジタル化”し、“組織化”した顧客はこれまでより10倍速いこれからは顧客が主導権を握る時代
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全てのデータを一元管理
独自開発のアプリも迅速に展開

 一つめはスピードを手に入れるため、情報システムをクラウド化すること、そして二つめは顧客中心の働き方に変え、それを仕組みにすることだ。その成否のカギを握るのは情報システムだ。「これまでの『つくれば売れていた時代のシステム』を『お客様に合わせてつくる時代のシステム』へ転換しなければ、お客様と1対1の関係を築くことはできません」(安田氏)。

 顧客と1対1の関係を築き、埋もれがちな顧客の声を聞き取り、それに迅速に対応することは、現在のシステムでは難しい。最大の問題は顧客に関する情報が分断されていることにある。これまでのシステムは様々なアプリケーションを採用しているので、顧客に関する情報を一元的に管理していない。さらに、柔軟性や拡張性に乏しく、スピードとイノベーションに追い付くのも難しい。顧客をより深く理解する一環としてモバイルやデータサイエンス、IoTの活用を計画しても、現在のシステムではなかなか対応できない。

 Salesforceは、こうした数々の課題を解消し、顧客と1対1の関係を簡単に築ける。セールス、サービス、マーケティング、コミュニティー、アナリティクス、アプリケーション開発という六つの領域のソリューションをクラウド上で提供し、全てのデータを一元管理する。どの業務からも活用でき、クラウド、モバイル、ソーシャル、データサイエンス、IoTに対応し、様々なデバイスで使うことができる。営業支援の「Sales Cloud」や社内SNSの「Chatter」といったセールスフォース・ドットコムの既存アプリに加え、多彩なオープンAPIを備えることでユーザー企業が独自開発したアプリなども容易に連携でき、開発時間やコストの圧縮ができる。

 企業には顧客と直接向き合う営業、カスタマーサービス、マーケティングの社員に加え、開発、生産など様々な業務を担当する社員がいる。Salesforceを活用すれば、こうした全ての社員はもちろん、パートナーや取引先などを含めて情報共有を図ることもできる。それによって、業務を顧客中心のものに根底から変え、業務を効率化できる。

 京都市の建設会社、流体計画のケースはその好例だ。社員10人余りで、住宅の新築・リフォームだけでなく、水回りの修繕といった小さなものも含めて年間1000件ほどの工事を受注する。営業、プランニング、見積もり、契約、施工といった建設業界特有の工程をSalesforce上で一元管理しており、発注ロスが減るなどの数々の成果を上げている。

カスタマーカンパニーの実現Salesforceなら数々の課題を解消し、顧客と1対1の関係を簡単に築ける
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全工程をSalesforce上で一元管理
見積金額が正確になり収益が向上

 当初Salesforceに目を付けたのは、社員の仕事の割り当てを効率的に進めるためだった。常時4~5件の現場が同時に進んでいるため、以前は依頼があるたびに各現場で電話で確認していた。これをグループウエアを導入して仕事の進め方を大きく転換した。具体的には、仕事の依頼があるとSalesforceに登録し、メールによって全社員に通知、社長は社員一人ひとりのスケジュールや活動履歴を見て仕事を割り当て、全社員に連絡する方式に転換したところ、業務は大きく効率化した。それに手応えを感じ、次のステップとして自社仕様に合わせたカスタマイズに着手し、今では全ての工程をSalesforce上で一元管理するようになった。

 顧客との打ち合わせ中にChatterを使って現場の施工担当者の知恵を借りれば、その場で顧客に回答できる。打ち合わせた内容を入力するとデータとして残り、それを全社員にメールで転送して情報共有を図れる。建築現場では下請け業者への発注、材料の注文などを担当者の勘や経験に頼ってきたため、以前なら発注段階で想定した粗利益が大きくズレることがあったが、提出見積金額をSalesforce上で承認することで稟議の流れを可視化し、収益が向上した。

 「当社のような中小企業では、システムの自社開発はもちろん、サーバー管理さえも大きな負担ですが、Salesforceなら導入した日から利用でき、当社の業務に合わせて自分たちでカスタマイズできます。Salesforceは当社にとってかけがえのない最大の強力な武器です」と、流体計画代表取締役の山田英樹氏はコメントしている。

 「Salesforceはクリックベースの設定でアプリケーションが作成できます。これからは資本の大きさではなく、アイデアが重要になります。Salesforceなら、企業規模を問わず、誰もが同じ仕様のITツールを活用できます」。安田氏はこう講演を締めくくった。

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