ITpro Special
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CloudDays2016KEYNOTE

ソフトウエアのバージョンアップを続け
アプリケーションの完成度の向上を目指す

テスラモーターズ
ジャパン合同会社
代表取締役社長
ニコラ ヴィレジェ

 「電気自動車(EV)と聞くと、以前ならゴルフカートを連想したでしょうが、そんな概念を変えるため、当社は最初のモデルとして2008年にスポーツカータイプのロードスターを売り出しました」。テスラモーターズジャパンのニコラ ヴィレジェ氏はこう話す。

 創業以来、数々の既成概念を覆してきた。ソフトウエアの更新による新機能追加はその最たるものだ。今年1月、ソフトウエアの最新版、バージョン7.1を提供し、オートパイロット機能を実現させた。オートパイロットは米国で2015年10月に解禁になり、既に欧州や中国でも利用できる運転機能。日本では国土交通省の承認を待っての導入となった。

 「今後もソフトウエアの更新により、所有されるクルマに最新の技術と価値観を提供してまいります。顧客満足度とともに、EVの価値と認知を向上させていきます」(ヴィレジェ氏)。

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日本の特許数は世界でもトップクラス
それを活用しウエアラブル市場の活性化を

株式会社
ブリリアントサービス
代表取締役
杉本 礼彦

 ブリリアントサービスは、赤外線センサーを使ったジェスチャー認識機能を搭載するメガネ型ウエアラブル製品のmiramaを開発・販売する。同社の杉本礼彦氏は「日本が保持するウエアラブル関連技術の特許数は世界でトップクラスですが、海外と比べウエアラブル関連ビジネスの盛り上がりが欠けています」と残念がる。

 その一例として杉本氏は、米国のファッションデザイナーとの商談を紹介した。このデザイナーは「将来、衣服にコンピュータが組み込まれるという前提にしたデザインが必要」と考え、miramaを使ったデザインをファッションショーに出品した。

 「ヘッド・マウント・ディスプレイ(HMD)関連など日本には世界と戦える強みがありますが、導入事例が少なく、投資に踏み切れない企業が多い。多数保持する特許の活用を促進すれば、ウエアラブル市場で日本は間違いなく成功します」。杉本氏はこう提言して講演を終えた。

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パブリッククラウド普及の前夜と同じ状況に
IoTも格安サービスで火が付き本格的活用へ

株式会社ソラコム
代表取締役社長
玉川 憲

 アマゾン ウェブ サービス(AWS)上に構築したIoTプラットフォームでセキュアなモバイルデータ通信をすぐに始められるサービスを提供するソラコム。「IoTの現状は、AWSがパブリッククラウドの提供を始めた2006年とよく似ています」。アマゾン データ サービス ジャパン出身で、ソラコムを設立した玉川憲氏はこう話す。

 昨年9月に始めたIoT機器向けの格安通信サービスのSORACOM Airでは、機器に取り付けるSIMとデータ通信サービス、Webブラウザーを使ったSIMの管理システムで構成。ソラコムがMVNO(仮想移動体通信事業者)となり、NTTドコモの携帯電話回線を借りてサービスを提供し、IoT向けの格安通信サービスを実現した。クラウド上に構築しているので、料金を抑えられ、可用性も高い。「クラウドの普及と同様、IoTも格安なサービスで火が付き、今後、本格的な活用が始まるでしょう。当社も料金を含めてサービスの充実に努めます」(玉川氏)。

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ソフトウエア中心の企業文化が不可欠に
クラウド2.0を念頭に経営のかじ取りを

株式会社NTTドコモ
執行役員
イノベーション統括部
栄藤 稔

 「クラウドを単なる大規模なデータセンターという理解では2周遅れです。ソフトウエアがサービスや製品の機能を支配し、プログラムができるデータセンターになったクラウド2.0の破壊力を理解すべきです」。こう話すのはNTTドコモの栄藤稔氏だ。

 ドコモはAWSの活用を進める。「しゃべってコンシェル」などのWebサービスシステムを皮切りに、データ収集・分析、マーケティング基盤などの業務系システムなどに広げている。AWSの機能追加によってドコモのセキュリティ基準を満たしたシステムを構築できるようになった。それをパッケージ化し、「ドコモ・クラウドパッケージ」として提供する。他社もドコモ社内で実証されたシステムを簡単に実現できる。「知を共有し、新しい事業構造への転換に加え、企業間のシステムを有機的につなげることでイノベーション創出を加速していきたい」。栄藤氏はこう抱負を語った。

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顧客データをDWHで一元化して統計解析
マーケティングに活用し購買率が向上

株式会社
オートバックスセブン
執行役員
藤原 伸一

 「自動車市場は成熟期に入っており、若者の自動車離れなどライフスタイルも多様化し、インターネット販売が拡大するなど購買ルートも変わってきました。それに対応するため、顧客データを活用したマーケティングに取り組んでいます」。オートバックスセブンの藤原伸一氏はこう話す。

 具体的には、顧客データをDWH(データウエアハウス)に一元化するところから着手し、そのデータを統計解析ツールで分析し、キャンペーン施策管理ツールでキャンペーン施策を実行できるようにした。統計解析ツールによって会員を六つのクラスターに分類し、マーケティング施策を実行するターゲットを抽出する段階では購入確率が低いと判断した顧客を除き、施策の成功率を上げ費用を下げている。

 「購入率の向上に加え、多様なデータ分析によってお客様の顔が見えるようになってきました」(藤原氏)。今後はWebサイトでの行動情報の活用にも力を入れる計画だ。

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コンビニの先駆者として他社に先駆け新サービス
商品を基軸とした新しいオムニチャネルに着手

株式会社セブン&
アイ・ホールディングス
執行役員
システム企画部
シニアオフィサー
粟飯原 勝胤

 「当社はアマゾンや楽天とは異なる形で、商品を基軸とした新しいオムニチャネルビジネスをつくり上げようと考えています」。昨年11月、通販Webサイト「omni7(オムニセブン)」を開設したセブン&アイ・ホールディングスの粟飯原勝胤氏はこう宣言する。

 これまでコンビニの先駆者として新しいサービスを他社に先駆けて開始しており、オムニチャネルもその一環として力を入れる。「リアル店舗で売れる商品をネットで購入していただくことも大事だが、ネットで売れる商品は少し違うことが分かってきました。ネット用のオリジナル商品を投入できるように企画・開発を進めています」(粟飯原氏)。

 決済と情報提供の機能を両立した端末EM10の導入も進め、2016年半ばに全店舗に展開する計画。タブレット操作に不慣れな高齢者にも役立つように店舗スタッフが高齢者宅などを訪問し、タブレットを使った「ご用聞き」も積極化する方針だ。

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人工知能は実社会で使えることが求められる段階に
企業や大学が多様なデータを持ち寄った研究が必須

国立研究開発法人
産業技術総合研究所
人工知能研究センター
研究センター長
辻井 潤一

 「米国ではIT企業が主導して人工知能を開発していますが、日本では数多くの企業や大学が手掛けています。散在する技術や人材を一つにまとめ上げるため、人工知能研究センターを設立しました」。産業技術総合研究所の辻井潤一氏はこう話す。

 プラットフォームができたことで、プレーヤーが散在する日本の構造はよい方向に動き出す可能性がある。人工知能は今後、実社会での活用が求められる。例えば、自動車だけが存在する空間では自動車の自動走行運転の制御はさほど難しくないが、実社会は複雑で、歩行者や自転車なども自由に動き回る。

 「多様なデータを持ち寄らないと、複雑な環境モデルを構築できず、そのモデルを使った自動走行運転の制御も不可能です。実世界に人工知能を埋め込んだときにどんなことが生じるのかを追究する段階に入ってきました」。辻井氏はこう講演を締めくくった。