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IoT活用で価値創出を支える取り組み

日立製作所

IoT活用による価値創出を支える
日立の取り組みとソリューション

IoTの真価はデバイスをネットワークにつなげることよりも、実世界のモノ・コトの可視化、分析から新しい価値を創出することにある──。この考えに立って、日立製作所では垂直統合型のIoT基盤/ビッグデータ利活用基盤を核とするIoTソリューションを展開。公共施設や交通など社会インフラ分野だけでなく、製造、物流、医療など様々な分野でのイノベーションを支える取り組みを進めている。

株式会社 日立製作所
情報・通信システム社
ITプラットフォーム事業本部
IoTビジネス推進統括本部
IoTシステム本部
担当本部長
桝川 博史

 「IoTは、単にモノをネットワークにつなぐだけでなく、新たな価値を生み出さなければなりません」

 日立製作所(以下、日立)の桝川博史氏は、セッションでこの言葉を強調した。ネットワークに接続されるデバイスが爆発的に増加し、今まで接続されることがなかったモノがネットワークを介して情報をやりとりすることで、今まで見えなかったことも可視化・分析できるようになった。IoTは社会と産業のあらゆる領域で使われ始めており、その価値に期待が集まっている。

デバイス、基盤から実業ノウハウまで垂直統合型のIoTソリュ-ション

 日立では全社を挙げてインフラ技術と高度なITで安全・安心な社会をめざす社会イノベーション事業を推進している。この事業においてもIoTは重要な要素となる。具体的には、インフラ設備のメンテナンス、スマ-トシティ、マイニングなどだ。

 これらの事業に共通して必要となるのは、現場の状況をセンサーで収集しネットワークで集約、ITシステムにより価値ある情報として活用するというまさにIoT活用のサイクルである。ここでの価値とは、インフラ事故の減少であり、エコで生活しやすい先進コミュニティの実現であり、機器運用の効率化である。このような価値を生み出すためのソリュ-ションについて、このセッションでは事例を交えた解説がされた。

 日立が提供するソリュ-ションは大きく二つの要素がある(図1)。1つはセンサーデータの蓄積・計測・収集や、そのデータの通信、サービスとの連携を支えるIoT基盤。もう一つは、収集されたデータとERPやEAMなど業務データと掛け合わせた可視化や分析を可能にするビッグデータ利活用基盤だ。「これらは、製造、物流など適用される分野ごとに最適化された組み合わせで展開されコスト削減や生産性向上などの価値を生み出します」と桝川氏は説明する。

図1 日立製作所が考えるIoTソリューション
IoT基盤/ビッグデータ利活用基盤で現場・業務データを活用し課題解決につながる価値を生み出す
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 本当に必要な課題解決につながる価値を生み出すためにはデータ収集→分析→活用というトライ&エラーのサイクルをスピーディーに回していく必要がある。そのためには、現場に踏み込んだ深い業務知識や経験が不可欠であり、その点が日立が高い信頼を得ているポイントでもある。

 ただ、「現状のIoT活用には課題もまだ残されています」と桝川氏は指摘する。

 その課題の一つは、ワイヤレスネットワーキングの品質とコストの課題である。ワイヤレスネットワーキングは、移動体との通信に欠かせない条件であり、今後主流になると予測される。距離・混雑・遮蔽に起因する品質変動要因は様々であり、発生の予測がしにくい。また、通信を安定化させるためには回線品質の確保が必要であるが、送るべき情報と通信手段を適切に選ばなければ莫大なコストがかかる。さらに、セキュリティ面での課題もある。接続されるデバイスが多種多用のため、これまでのITシステムとは違いサイバーセキュリティだけでなく、物理セキュリティも必要になる。

 桝川氏は、これらの課題を解決するソリューションとして日立のIoT基盤に含まれる「M2Mトラフィックソリューション」を示した(図2)。

図2 日立製作所のIoT基盤「M2Mトラフィックソリューション」
WAN最適化機能を活用し、セキュリティを担保しながらデータの収集、見える化、モニタリングなどを支援
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医療や農業の分野でもIoT適用をスタート

 日立のIoTソリューションは、様々な分野で適用がスタートしている。

 例えば、株式会社日立メディコは検診車からの医用画像データ転送に日立のM2Mトラフィックソリューションを活用することにより、業務効率の向上と業務サイクルの迅速化を実現した。「従来はデジタルX線撮影システム内の医用画像データをDVDやUSBメモリーにコピーして取り込んでいました」と、桝川氏。このやり方では検診車が健診施設に戻るまで読影を始めることができず、USBメモリーなどの紛失による情報漏洩リスクも懸念されていたという。

 そこで、新システムでは日立の高速ファイル転送技術「Hitachi WAN Optimizer」を搭載したゲートウェイ装置を介して、医用画像データを健診会場からクラウドに送り込む方式を採用。IPsecによる暗号化によって情報漏洩のリスクも抑えた。

 また、農業の分野では、農地の環境計測データを基に生産性を高めるICTソリューションが登場している。このソリューションの核になっているのは、ソフトバンクグループであるPSソリューションズ株式会社の「e-kakashi」だ。具体的には、温湿度・日射量・土壌水分量・CO2濃度などのセンサーを取り付けたIoT機器により、リアルタイムに計測データをクラウドに集めて分析する。

 分析結果はWebブラウザーで確認が可能。農業に必要な情報を活用して栽培手法や知見を共有し、農業現場の課題を解決する農業IoTソリューションである。

先進の技術を活用しさらなるビジネスイノベーションを

 さらに日立では、人工知能技術を活用して売上向上やコスト削減など経営課題の解決を支援する「Hitachi AI Technology/業務改革サービス」を2015年11月から販売開始している。従来、専門家の知見ではKPIとの関係が薄いと考えられていたデータからも、人工知能技術を活用することで重要な要素を発見し、専門家の思考に頼らない革新的な改善施策を立案することができる。

 このサービスは、ホームセンターやコールセンター、物流倉庫の案件に適用され、有益な改善施策を導き出した実績もあるという。

 「IoTやビッグデータ利活用技術、人工知能など先進の技術を駆使し、これからもビジネスパートナーとしてお客様と協創し、ビジネスイノベーションを創出していきたい」と桝川氏は語りセッションを締めくくった。

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