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デジタル化の鍵、ITサービスマネジメント

今日の企業においては、ビジネスの「デジタル化」への対応が最重要テーマの一つだ。そうした中で、さらに注目度が高まっているのが、ITILを中核としたITサービスマネジメントの領域だ。来る2016年11月29日、30日の両日に開催が予定される、itSMF Japan主催の「itSMF Japanコンファレンス/EXPO」では、「デジタルトランスフォーメーション」の時代を迎えた今日の企業におけるITサービスマネジメントのあるべき姿が、セミナーや展示などを通じて紹介される。

ビジネスの「デジタル化」で高まる
ITサービスマネジメントの重要性

富田 修二 氏
特定非営利活動法人 itSMF Japan
理事長
富田 修二

 ITサービスを適切に管理し、顧客のニーズに適したITサービスを提供する仕組みであるITサービスマネジメント。ITILを中心としたそのITサービスマネジメントの普及を目的に、英国で1991年に設立されたのが「itSMF(The IT Service Management Forum)」だ。今日では、世界中で50以上の国と地域にその支部が展開されており、グローバル規模での活動が進められている。2003年5月には、アジア最初の支部としてitSMF Japanが設置され、日本での取り組みもスタートした。「現在では、国内の214団体がitSMF Japanの会員になっており、個人会員も含めると総会員数1500人のコミュニティが形成されています」とitSMF Japanの富田修二氏は紹介する。

 ITILとは周知の通り、1980年代に時のサッチャー政権が年々膨らむITコストとITサービスの品質悪化の改善を要求し、整備されたもの。その後、ITがビジネスにとって必要不可欠なものとなる中で、ITILはITサービスマネジメントのベストプラクティスをまとめたフレームワークとして世界各国の企業の間で認知され、企業の競争力を高めるためのフレームワークとして広く活用されるに至っている。国内においても、ITILが本格的に紹介されてから10年以上が経過し、ITサービスマネジメントの考え方が、IT関連の事業者だけでなくエンドユーザー企業の間にも広く浸透してきている。

 「特に昨今では、ビジネス環境がデジタル化によって大きな変化を遂げる、いわゆる『デジタルトランスフォーメーション』の時代を迎え、IoT(Internet of Things)など、最新のIT技術を活用したITサービスをいち早くマーケットに投入していくことが企業に求められている状況です。こうした状況を背景に、ITILを中核としたITサービスマネジメントの重要性がますます高まっています」と富田氏は強調する。例えば、いま先進企業の間では、これまで企業システムの構築・運用を支えてきた情報システム部門を、ITサービスマネジメントという考え方を明示的に意識した組織へと変革していくという取り組みも急速に進んでいる。

激変するビジネス環境に不可欠な
ITサービスマネジメントの姿を紹介

 このような流れを受けて、itSMF Japanの活動に対する注目度もますます高まっている。itSMF Japanでは、ITサービスマネジメントに関わる会員の取り組みを支援するための各種サービスを提供している。例えば、Webサイト上での会員向けコンテンツの提供や、会報誌を通じての最新情報の発信、あるいはITサービスマネジメントの導入事例の紹介や有識者による解説などを行うセミナーなども随時開催している。併せて、ITIL/ITサービスマネジメントに関して、同様の課題や問題意識を持つ会員同士が集まり、調査・研究に取り組む各種分科会も、itSMF Japanの活動を構成する重要な柱となっている。

 このようなitSMF Japanの取り組みの中でも、とりわけ重要なものと位置付けられているのが、2004年から毎年実施されている「itSMF Japanコンファレンス/EXPO」だ。今年も2016年11月29日、30日の両日に東京・御茶ノ水のソラシティ カンファレンスセンターにおいて開催される予定だ。ちなみに昨年実施された同イベントには、コンファレンス参加者938名、EXPO参加者324名の総勢1262名が詰めかけ、会場は大いに盛り上がりをみせた。

 「今回のitSMF Japanコンファレンス/EXPOのテーマは、『デジタルトランスフォーメーションを支えるITサービスマネジメント ~堅牢性と流動性の実現』です。“デジタル”をキーワードに、今まさに劇的な変化を遂げるビジネスの世界にあって、企業がITサービスマネジメントを通じて、顧客や社内ユーザーに提供し得る価値の最大化をいかに目指していくかという視点に立ち、練り上げた充実した内容でお届けしたいと考えています」と富田氏は語る。

昨年のitSMF Japanコンファレンス/EXPOの様子
昨年のitSMF Japanコンファレンス/EXPOの様子
昨年のitSMF Japanコンファレンス/EXPOの様子

数々の注目セッションを通じ
“デジタル”による価値創造を解説

 itSMF Japanコンファレンス/EXPOのイベント自体は、基調講演や特別講演、スポンサー講演などから成るコンファレンス講演と、スポンサー企業による展示によって構成されるが、ここでは以下に、現段階で予定されているセミナーの内容について触れたい。

 セミナーでは、今後の企業におけるデジタルトランスフォーメーションを見据えた注目セッションが目白押しとなっており、例えば、IoT関連では東京大学先端科学技術研究センター 教授の森川博之氏による講演もその一つだ。同セッションでは、東京大学が設置する「ICT実証フィールドコンソシアム」が進める、ビッグデータやM2M(Machine-to-Machine)、センサーネットワークなどIoT関連技術を軸とした社会インフラサービスの利活用の実証、および将来のITサービス創造に向けた活動などについての紹介が行われる予定である。

 “デジタル”というキーワードで新たなビジネス価値の創造を目指す、あきんどスシロー、武田薬品工業、アコーディア・ゴルフといった先進企業各社のキーマンによる講演や、ドン・キホーテやジャパンネット銀行、JFEスチールなどによるユーザー事例も予定。併せて、2009年7月に経団連の高度情報通信人材育成部会の実行機能を引き継ぐかたちで設立された特定非営利活動(NPO)法人であるCeFILの活動についての講演も実施される。

 また、ビジネストランスフォーメーションを実現するために、今年の9月に都内中心部に開設される大手企業約30社で設立した「デジタルビジネスイノベーションセンター」の設立背景と今後の主な活動なども紹介される予定だ。

 そのほかにもイベントでは、itSMF Japanの分科会活動の発表も実施される。例えば、ITIL同様のプロセスベースでセキュリティ対策の問題にどう取り組むか、ITのサービス化が急速に進む中での次世代サービスマネージャ像の構築と人材の育成、さらには、IT組織の成熟度(IT-CMF)のアセスメントとその成熟度向上策としてのITサービスマネジメントの活用など、今日、企業の間で関心が高まっている様々なテーマが、各分科会によって取り上げられる予定となっている。

 以上のように、このイベントは大きな反響を呼ぶことが予想される内容だ。「新たなデジタルトランスフォーメーションの時代に向け、企業にはITサービスマネジメントを核としたIT面、ビジネス面の強化が求められています。それに向けた最新情報や、関連する多種多様な知見を入手する場を提供するitSMF Japanコンファレンス/EXPOに、ぜひご参加いただきたいと思います」と富田氏は語る。

itSMF Japanコンファレンス/EXPO

詳細やお申し込みはこちら
http://conf.itsmf-japan.org/

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