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Windows10で中堅中小企業が元気に

ビジネスを加速・成長させるためだけでなく、少子高齢化時代を見通したワークスタイル変革を実現するためにも、最新のITを活用した作業環境の改善が求められている。この世界的潮流に日本の中堅中小規模の企業はどう対応していけばよいのか――。ITpro Success主催のセミナー「セキュリティ重視時代にビジネスを加速・成長させるためのモバイルワーク環境とは? 中堅中小企業が目指すべき『攻めのIT、守りのIT』」には400名を超えるビジネスパーソンが集結。IT企業や企業経営者の語る将来予測とIT活用術に耳を傾けた。

 時代を問わず、企業の規模を問わず、生産性向上は最重要の経営課題の1つである。この経営課題にゴールはないので最新ITを活用するなどの方法で常に追い求めていくことが重要だ。

 また、生産性を高めるには、ワークスタイルを変えることも有効である。いつでも、どこでも作業ができるようにすることによって、従来は無駄に使われていた時間を価値の高い時間へと変えることができるからだ。働き方の自由度を高めることによる従業員満足度の向上や、育児/介護といった社会的課題の解決にも、ワークスタイル変革は効く。

 このような背景から今大きな期待が寄せられているのが、「いつでも・どこでも」仕事をできるようにするモバイルデバイスと、「いつでも・どこでも」業務データにアクセスできるようにするクラウドだ。さらに、企業の管理が及ばない場所でも使われることから、セキュリティの確保も重要だ。情報漏洩は絶対に防がなければならない。

攻めのITと守りのITを活用してコストを20%削減、従業員満足度を40%高める

平野 拓也 氏
日本マイクロソフト株式会社
取締役 代表執行役 社長
平野 拓也 氏

 このようなテーマをうけて、基調講演では、日本マイクロソフト 取締役 代表執行役 社長 平野拓也氏が自社のワークスタイル変革とIT活用について語った。ちなみに、同社は2016年版「働きがいのある会社」ランキング(*1)の1位を獲得した企業でもある。

 「当社にも『売上・生産性』『コスト』『風土・人材活用』の3つのチャレンジがありましたが、社員全員がいつでもどこでも働けるフレキシブルなワークスタイルへと変えることによって解決できました」と平野氏。1人当たりの売上高を示す事業生産性が26%向上したほか、コスト削減効果は旅費交通費で20%、印刷費で49%。職場風土や人材活性化についても、女性の離職率が40%低下し、ワークライフバランスの満足度は40%高まったと報告した。

日本マイクロソフトのワークスタイル変革による改善
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 そうしたワークスタイル変革を成し遂げるためのツールとして、平野氏は「攻めのIT」と「守りのIT」の両方が欠かせないと指摘する。

 攻めのITを実現するのは、「いつでも・どこでも」を可能にするモバイルデバイスとクラウド。「場所の制約を超えた会議」をクラウドで実現するビジネスコミュニケーションツールとしては、Skype for Businessがあるという。

 これに対して、サイバーセキュリティに対抗するためのマルウェア排除や情報漏洩対策の役割を担うのが守りのITだ。平野氏は「最新のWindows 10には、パスワードに代わる生体認証として、ログインする人の顔の形状を3Dカメラで認証する機能を組み込みました」とアピール。Windows 10を組み込んだPCやモバイルデバイスなら必要なセキュリティは確実に担保できると語る。

*1:Great Place to Work Institute Japanが実施した「2016年版GPTW働きがいのある会社ランキング大企業部門(従業員1000名以上)」

展示スペースには各社のWindows 10/Windows 10 Mobileデバイスが勢ぞろい

革新的アイデアを生み出す環境を最新のテクノロジーで用意せよ

小澤 剛 氏
インテル株式会社
セールスチャネル事業部
戦略企画室
室長
小澤 剛 氏

 続いて登壇したインテル セールスチャネル事業部 戦略企画室 室長の小澤剛氏は、そうしたワークスタイル変革を支えるテクノロジーの最新状況について、半導体製造企業の立場から解説した。

 ムーアの法則に代表されるようなテクノロジーの進化にともない、より多くのデバイスがインターネットにつながり、データ量が急増の一途をたどる。これによって新しいサービスが生まれ、人々の暮らしは豊かになる一方、企業間の競争はより激しさを増す。

 小澤氏は、Uber、Alibaba、Airbnb、そしてFacebookといったスタートアップから急成長した企業を引き合いに出し、革新的なビジネスアイデアでテクノロジーを活用する企業が従来型の設備投資を行う大企業を脅かす存在になってきていると指摘。「500億のデバイスがIoTでつながる時代は、すべての企業がインターネットを使った新しいビジネスモデルを作るチャンスがある」と説明した。

 このような時代において競争力を確保するためにもっとも大切なのは、「人々が作り出す革新的なアイデア。そのアイデアがブレークスルーを実現する。つまりは、『人』だ」(小澤氏) とし、そのために今、企業が取り組むべきことは、「革新的なアイデアを生み出せる環境をどう整えるかにつきる」と主張して、様々な人々が立ち寄ってお互いにアイデアを交換できるような職場環境を作り出すことの重要性を強調した。

 では、どこから始めればよいのか――。「部分最適でもかまいません。まず、一歩を踏み出すところから始めてください。正しい場所で正しいタイミングで始めることができれば、将来、バタフライ効果と呼ばれる劇的な効果の違いとなって現れてくることでしょう」と小澤氏。職場環境変革の具体例として、タブレット端末を1000台導入して、働く環境を整備した不動産管理会社の事例を紹介。また、オフィス環境においてケーブルからの解放を実現するIntel Wireless Dockingと会議室でのコラボレーションを可能にするIntel Uniteの2つソリューションをデモンストレーションしてみせた。また、最新の第6世代インテルCoreプロセッサーとWindows 10を搭載した最新の2 in 1パソコンは5年前のパソコンと比べ性能は2.5倍、バッテリー駆動時間は3倍かつ軽量と如何にワークスタイル変革を後押しするか、比較デモも交え説明した。

Intel Wireless Docking。<br>有線同様のパフォーマンスを可能にする高密度ワイヤレス環境を提供
ネットワークで接続された、安全な会議スペースを実現するIntel UNITEソリューション。有線同様のパフォーマンスを可能にする高密度ワイヤレス環境を提供
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個別IDで識別・認証・認可して記録すれば説明責任は果たせる

河野 省二 氏
株式会社ディアイティ
クラウドセキュリティ研究所
所長
河野 省二 氏

 さらに、「いつでも・どこでも」を指向するワークスタイル変革では、社外でモバイルデバイスを使う機会が必然的に増える。そこで求められるのが、セキュリティを確保するための対策だ。

 特別講演では、ディアイティ クラウドセキュリティ研究所 所長 河野省二氏が「利用者にやさしい情報セキュリティ管理」のあり方を解説。「利用者がセキュリティを意識しなくて済む環境を作ることによって、生産性が向上し、ITの活用度も高まります」と訴えた。

 河野氏は、セキュリティの基本は組織作りであり、具体的なプロセスとしてはすべての関係者(ステークホルダー、経営者、管理職、従業員)の間で報告の連鎖を確立することが重要と指摘。「『自社からは漏れていない』という説明を受け入れてもらうには、デジタルエビデンスを平素から残しておくべきでしょう」と勧める。

 そのために欠かせないのが、各人に個別のIDを割り当て、すべての行動についてIDに紐付いた記録を保存しておくこと。パスワード流出の防止対策で疲弊してしまうよりも、IDによる識別・認証・認可を徹底したほうがセキュリティ対策として有効という考え方だ。

 このような説明をしたうえで、河野氏は、最新のマイクロソフト製品には“利用者にやさしいセキュリティ対策機能”が多数組み込まれていると紹介。その具体例として、Windows 10に標準装備されたWindows Helloでの証明書とPINによる認証や、Azure Active DirectoryとEnterprise Mobility Suiteの連携による識別・認証・認可やモバイルデバイス管理の機能を挙げた。

最新のマイクロソフト製品には“利用者にやさしいセキュリティ対策機能”が多数組み込まれている
最新のマイクロソフト製品には“利用者にやさしいセキュリティ対策機能”が多数組み込まれている
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大田区のモノづくり企業が結集! ボブスレーで技術力を売り込む

細貝 淳一 氏
株式会社マテリアル
代表取締役社長
「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクト
ゼネラルマネジャー
細貝 淳一 氏

 東京会場の最終セッションは、マテリアル 代表取締役社長 細貝淳一氏による特別講演「日本の下町ボブスレー世界への挑戦」。モノづくりの中堅中小企業が集まる東京都大田区の工場主たちが下町ブランドのボブスレーを作り上げたエピソードである。

 細貝氏が経営するマテリアルは、アルミニウム・ステンレス・非鉄金属の材料販売と部品加工販売に携わる従業員数29名の企業である。「バブル全盛のころは大田区羽田に9170社のモノづくり企業があったのですが、今では3500社を割り込むまでになっています」と細貝氏。そうした苦境に立ち向かうべく、同社は防衛、医療、航空宇宙といった最先端分野へのシフトを図っているという。

 そうした細貝氏が「下町ボブスレー」ネットワークプロジェクトを立ち上げようとした背景には「大田区のモノづくりを世界にアピールしたい」という思いがあった。金属と炭素繊維で作ったボブスレーをオリンピックチームに使ってもらえば、環境エネルギー開発や航空機産業での大田区ブランドのプレゼンスが高まるのではないかと考えたのである。

 2011年にスタートした同プロジェクトに参加したのは、大田区のモノ作り企業200社以上(最盛期)。炭素繊維の扱い方こそ東レ・カーボンマジックに教わったものの、基本設計・開発・試作・調整などのすべての工程を町工場各社が分担した。

 残念なことに日本チームに乗ってもらうという夢はかなわなかったものの、ジャマイカの代表チームが2016年1月に採用を決定。2018年に大韓民国の平昌で開かれる第23回冬季オリンピックで氷のトラックを疾駆する予定になっている。

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