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クラウド型コンタクトセンター活用事例

1997年設立の株式会社ウイングは、コンタクトセンターサービスの中でも、宅配会社と連携して書類の配送から回収までをワンストップで行う独自のサービス「ウイングシステム」によって業績を伸ばしてきた。さらなる成長を目指す同社では、NTTコミュニケーションズのクラウド型コンタクトセンターサービス「Arcstar Contact Center」を導入。業務の効率化とセキュリティ強化を実現するとともに、さらなるビジネス拡大への基盤作りに取り組んでいる。

課題:発信能力と稼働効率の最大化を図り、柔軟で効率的な運用体制を構築する

池田 政之 氏
株式会社ウイング
代表取締役
池田 政之

 株式会社ウイングはインバウンドもアウトバウンドも手掛けるコンタクトセンター事業者であり、特に積極的なアウトバウンドの分野を得意として成長してきた。その強みは、独自のサービス「ウイングシステム」にある。

 「ウイングシステム」とは、全国展開する宅配会社と提携して、書類の配送から回収までをワンストップで行うサービスで高い回収率を誇る。同社代表取締役の池田政之氏は「お客様に書類が届いたことを確認した瞬間、タイミングを逃さずフォローコールをして、回収の時間を伺ってから宅配会社が再度回収に訪れるので、高い回収率が実現できるのです」と語る。

 サービスが開発されたのは2001年。まず、顧客ごとに専用の往復便のパッケージを用意し、対象となるリストに基づいて書類を入れて宅配会社に配送を委託する。宅配会社がお客様のところに届けるとリアルタイムに荷物情報が同社のシステムに連携される。配達完了情報を確認した同社のオペレーターがお客様に電話をかけ、書類の記入方法などを説明するとともに、回収できる時間を聞く。それを宅配会社に連絡して往復便のパッケージごと書類を回収するという流れになる。「最短3日での回収が可能」だと池田氏は話す。

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 同社のメリットは、書類が届いたタイミングでコールするので電話がつながる確率が高い。また回収のタイミングを聞いているため、宅配会社も効率よく回収できる。お客様も説明を受けながら書類に記入するので不安はない。まさに“三方よし”の仕組みである。郵送してもなかなか回収できない契約書や口座振替依頼書なども高い回収率が期待できるため、“攻めのコンタクトセンター”として評価され、高い業績を挙げてきた。

 しかし、課題もあった。まず対応する人員の配置や稼働率の読みが難しかったことだ。オペレーターの人員が少なければ、宅配会社からの配達完了情報にタイミングよく対応できず、つながらないケースが増える。そこでの効率が悪ければ全体の稼働率も下がり、結果として顧客には割高な感覚を持たれてしまう。

 また、社内のデータの保存方法もセキュリティや事業継続性を考えると不安があった。「お客様とのやり取りの音声データは二重化、三重化で保存して、週単位で手動でサーバーに集約していました。手動のためデータの消失や破損が起こる可能性もあり、いざという時に検索するのにも時間がかかっていました」と同社の常務取締役である百崎潤子氏は語る。

決め手:クラウドベースで自動発信機能と通話録音機能が利用できる

百崎 潤子 氏
株式会社ウイング
常務取締役
百崎 潤子

 ウイングシステムを支えるシステムの全面的な見直しに取り組んだきっかけはオフィスの移転だった。同社では事業の拡張のため本社移転を計画しており「移転を機にシステムやネットワークも見直そう」(百崎氏)という機運が高まっていたのである。

 「機能として最も重視したのは、業務効率化につながる電話の自動発信機能、プレディクティブダイヤラー(PDD)が使えること、通話の録音機能でした」(池田氏)。その条件を満たすものとして選ばれたのがNTTコミュニケーションズの「Arcstar Contact Center」だった。「他社からも同様のPDD機能が提供されていますが、Arcstar Contact Centerは標準機能としてオールインワンで提供されており、簡単に導入できて運用もシンプルだと考えました」と百崎氏は振り返る。

 さらにクラウドサービスとして提供されていることも大きな要因だった。百崎氏は「必要な時に必要なだけ増やせるクラウドであれば、オペレーターの席の増減にも迅速に対応できます。これは大きな魅力でした」と語る。同社では移転に合わせ、コンタクトセンターを2拠点に集約したが、仕事量に合わせて席数を増減できるので、コンタクトセンターの運用が柔軟になった。

 同社がアウトバウンド業務に強いということも、クラウド型のArcstar Contact Centerを選定した大きな理由だった。「インバウンドの業務は長期で契約することが多いのに対して、アウトバウンドは営業キャンペーンや法的な変更への対応など不定期かつ短期的にニーズが発生します。しかも、小規模にトライアルを始めて、結果が良ければ拡大するといった取り組み方も多い。Arcstar Contact Centerであれば、こうしたニーズの変化にも柔軟に対応できます」と百崎氏は話す。

 「セキュリティ面でも、NTTコミュニケーションズのシステムであれば、顧客に安心してもらえます。実際にBCPの観点からも自社内にデータを持つことはリスクを伴います。お客様から預かった顧客リストはクラウド上で管理されているので、情報漏えいの心配はありませんし、通話記録も自動で保管されるので、ヒューマンエラーで消失する恐れもなくなりました。通信回線も冗長化されているので、災害対策という面でも安心です」(池田氏)。通話記録は時間軸に関係なく検索できるようになり、作業時間の短縮に結び付いている。

 また、導入にあたってネックになると考えられたのが、これまで使ってきた独自のCRMシステムとの連携だった。これについてもArcstar Contact CenterはオープンなAPIを装備しており、自社のエンジニアによってすぐに連結させることができた。「うまく動くのか、不具合があった時の原因の切り分けは大丈夫なのか、といった不安がありましたが、全くの杞憂でした」と池田氏は話す。

 基盤となる音声回線についてもNTTコミュニケーションズのArcstar Universal Oneで一本化した。「今回、PC端末も含めてすべてをNTTコミュニケーションズにお願いしました。オールインワンにしてみると、あれほど悩んでいたのが何だったのかと思うほど楽になりましたね」と百崎氏は語る。

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効果:業務効率が3倍向上し、事業展開の幅が大きく広がった

 同社が本社の移転を決定したのは2014年11月。翌年1月末には新社屋で業務を開始することが決まった。これに伴い、Arcstar Contact Centerの導入も急ピッチで進められた。システムの構築期間は実質1カ月と短かったが、すべてをNTTコミュニケーションズに委託し、大きな混乱もなかった。

 池田氏が期待していたPDDの効果はすぐに表れた。「オペレーターが一人につき1日400件のコールに対応できるようになりました。これまでの3倍の件数です」と導入の効果を高く評価する。この3倍という効率化は業務のキャパシティにも大きな余裕をもたらした。百崎氏は「本社のコンタクトセンター120席とサテライト拠点とをフレキシブルに効率よく運営できている」と語る。

 Arcstar Contact Centerは、業務の効率化やセキュリティ強化に加え、事業展開の柔軟性という大きなメリットをもたらした。同社には、営業コールをするコンタクトセンター、荷物を追跡するオペレーションセンター、そして荷物を発送する事務センターの3つの機能があるが、クラウド型のArcstar Contact Centerによって、これらのセンターの機能をサービスとして切り分けて提供することが可能になったのだ。

 「これまでは営業戦略上、3つの機能を内製で行っていたが、お客様によっては、すでにコンタクトセンターを持っていたりして、すべての機能を必要とされないこともあります。Arcstar Contact Centerを導入したことで、これらの機能を個別に提供することができるようになりました」と百崎氏。今後は客先でコンタクトセンター業務を展開するなど、パーツごとに機能を提供していくという。顧客から見ればサービスの選択肢が広がることになる。

 また、同社自身の事業展開としても、コンタクトセンターを柔軟に展開できるようになった。「クラウド型であれば、拠点をスピーディーに構築できますし、規模の大小も問いません。遠隔地に小規模なコンタクトセンターを設置して、近くに住む方々を採用することもできます」と百崎氏は期待を込める。

 さらに同業他社との連携を進めて、受託できる業務量の最大化と柔軟性を両立することも可能だ。池田氏は「大規模な案件に対応できるだけでなく、1つのジョブを同業他社とシェアできるというメリットも大きい」と他社との業務連携に向けた動きを示唆する。

 池田氏は「この1年間Arcstar Contact Centerを使ってみて、当初想定していた業務の効率化やセキュリティ面以外に、営業戦略の武器として活用できると確信するようになりました。今後はPDDと音声で自動応答を行うIVRを組み合わせて使うなど適用範囲を広げながら、新しいビジネス展開の基盤としても活用していきます」と語る。

 今春にはArcstar Contact Centerが提供する三者通話機能を活用した金融機関での利用促進業務や、電力自由化へ向けた顧客契約書などの回収業務が予定されている。

 Arcstar Contact Centerはこうした同社の新しい展開を支える基盤となっている。

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User Profile

社名:株式会社ウイング
株式会社ウイング

本社所在地:
広島市中区猫屋町7番2号 ウイング本社ビル

設立:1997年5月

宅配会社と連携した独自のコンタクトセンターを展開。書類の配送から回収までをワンストップで行う往復便ソリューションなども実施している。

お問い合わせ
  • エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
    エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社

    Arcstar Contact Centerサポート事務局

    TEL:0120-117-285