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クラウドを活用しセキュアなネットワークを

ITの進化を追い風に「映像」のビジネス利用が加速している。コンテンツプロバイダーだけでなく、企業や医療機関、教育分野などでも情報共有やコミュニケーション手段の1つとして「映像」に対する期待が高まりを見せる。それとともに重要性が高まっているのが、配信を支えるネットワークだ。映像配信に求められるネットワークの要件とは――。その実現に向け、企業は何をすべきか――。HORI PARTNERS代表の堀 純一郎氏が、映像を活用したビジネスのネットワーク支援を行っているNTT東日本の里見 宗律氏に話を聞いた。
里見 宗律 氏

東日本電信電話株式会社
ビジネス開発本部 第二部門
映像サービス担当 担当課長
里見 宗律

東京工業大学大学院修了後、2000年東日本電信電話株式会社入社。アクセスサービスシステム研究所にて、映像配信プラットフォームの研究開発業務に従事。2014年よりビジネス開発本部 映像サービス担当にて、IP映像配信の業務に従事。

堀 純一郎 氏

HORI PARTNERS
代表
堀 純一郎

大学卒業後、大日本印刷を経て、1986年に日経マグロウヒル社(現日経BP社)入社。「日経コミュニケーション」副編集長、「日経マルチメディア」編集長、報道サイト「BizTech」編集長、「ビジネスイノベーション・ラボ」所長などを歴任する。2016年3月末、日経BP社を退職し独立。豊富な人脈やインタビュー経験などを生かし「課題解決のパートナー」として各種のコンサルティング活動を展開する。

映像のビジネス利用が拡大
ネットワークがより重要に

堀:ITの進化に伴い、インターネット上を流通するデータが爆発的に増大しています。多様なデータの中でも、大きな割合を占めるのが映像系です。

 映像の持つポテンシャルは非常に高く、言葉で伝えにくいことも映像を見れば一目でわかります。勘やコツといった技術継承の教育コンテンツとして映像を活用する企業もあります。また診療データや手術の動画を医療機関で共有する動きも見られます。教育分野では学習コンテンツや講義の様子をインターネットで公開し、遠隔学習や在宅での予習・復習支援に活用するところも少なくありません。

里見:最近ではIoTの期待も高まっています。監視カメラやセンサーのデータをネットワーク経由で集約し、監視や分析を行うことで、様々なサービスに役立てようという取り組みです。

堀:映像を活用したビジネス展開を考えた場合、ネットワークは欠かせないインフラです。映像系データの重要性が高まる中、ネットワークに求められる要件も変化しているのですか。

里見:求められる要件は大きく3つあると思います。1つ目は「高速性」です。映像の品質がどんどん高まっているため、スムーズに配信するには、より広帯域のネットワークが必要です。

 2つ目は「セキュリティ」です。閉域接続のため外部からの不正アクセスや情報漏えいの心配がなく、ユーザーが安心して利用できる環境が求められています。

 そして3つ目が「高品質」。どんなにリッチな映像も揺らぎや乱れがあってはストレスになってしまう。ボトルネックのない安定性を確保し、高い品質を維持することが欠かせません。こうしたニーズに応えるため、当社では大容量データ接続サービス「フレッツ・キャスト」を提供しています。

映像配信に最適なネットワーク
「フレッツ・キャスト」とは

堀:フレッツ・キャストとは、どのようなサービスですか。

里見:「フレッツ 光ネクスト」「フレッツ 光ライト」「光コラボレーションモデル」などの光アクセスサービス利用者に、IPv6のマルチキャストあるいはユニキャストで大容量データを届けるサービスです。NGN(次世代ネットワーク)をバックボーンとする閉域網接続のため、インターネットと比べて高スループットで、大容量データのスムーズな配信を実現します。高品質な4K映像も配信速度30Mbpsで伝送できるため、映像配信のネットワークとして最適です。

 セキュリティ面でもインターネットに比べて優位性が高い。閉域網接続は外部からの不正アクセスや情報漏えいのリスクが極めて低いからです。「回線情報通知機能」を備えていることも大きな特徴です。これは光アクセスサービスの利用者のIDをもとにアクセスしてきた利用者を特定する機能。なりすましを防止するほか、指定回線以外のアクセスを禁止することもできます。通常のインターネット接続と比べて、格段に強固なセキュリティを実現できるのです。

 閉域網の強みを生かし、高い通信品質も実現しています。インターネット接続に比べ、中継設備数やルーティング処理が少なくて済むので、安定性が高くボトルネックが起きにくいのです。

図1 フレッツ・キャストのサービス内容
[画像のクリックで拡大表示]

堀:各拠点が光アクセスサービスを利用していれば、大容量データも高速・高品質かつセキュアにやり取りできるわけですね。一方で、大容量データを配信するとなると、サーバーなどの配信基盤の整備が必要になります。これを自前で調達するのはハードルが高いですね。

里見:おっしゃる通りです。そこでフレッツ・キャストではパブリッククラウドとの連携を実現しています。アマゾンの「Amazon Web Services」(以下、AWS)、マイクロソフトの「Microsoft Azure」、NTTコミュニケーションズの「Enterprise Cloud」などのパブリッククラウドとの接続に対応し、各クラウドからインターネットを介さない閉域網によるデータ配信を行えます。もちろん、お客さまのオンプレミス環境との接続も可能です。

潜在ユーザーは約1067万世帯
大規模な映像ビジネスが可能に

堀:フレッツ・キャストの強みを生かせる用途として、どのような分野が考えられますか。

里見:NTT東日本の光アクセスサービス利用者は約1067万世帯に達します。これほど大規模なユーザーに、4K映像を一斉配信できるIPマルチキャストのインフラなのです。しかもIPマルチキャスト配信機能を使えば、多チャンネル放送でもサーバーの負担を減らし、効率的に配信可能です。

 このメリットを活かせば、放送局やコンテンツ事業者が付加価値の高いサービスを展開できます。例えば、NTTぷららでは315万の会員を有するスマートTVサービス「ひかりTV」において、2014年10月に日本で初めて4K映像によるVODサービスを、2015年11月には4K映像による放送サービスを開始しました。

 2016年6月に開催された、AWSの事例や最新技術などを紹介する「AWS Summit Tokyo 2016」では、TBSテレビ・東芝ライフスタイルの協力の下、AWSとフレッツ・キャストを連携させた4K映像のライブ配信を披露しました。

 さらに今後、アクトビラと東京メトロポリタンテレビジョンが、IPマルチキャスト機能を活用した4K映像コンテンツの配信実験を開始する予定です。

堀:ネットワークを介した高品質な放送サービスでは、事業者とお客さまをつなぐ回線の品質がサービスの品質に直結します。放送局やコンテンツ事業者の期待の高さがうかがえますね。

里見:4K時代が訪れると、インターネットの帯域と回線品質ではフル4Kの映像をボトルネックなく配信するのは難しい。セキュリティのリスクもある。来るべき4K時代に向けた、高速・高品質かつセキュアなネットワークが不可欠です。フレッツ・キャストは、そうしたニーズを先取りしたネットワークサービスなのです。

堀:パブリッククラウドから閉域網で4K映像をダイレクトに配信できる点も魅力ですね。パブリッククラウドを活用できれば、初期投資を抑え、サービス開発・提供までのコストと期間も短縮できます。事業者はコンテンツ力の強化に注力することで、自分たちの強みを生かしたサービス展開が可能になります。

 フレッツ・キャストを新たな放送インフラと見立てれば、約1067万世帯(NTT東日本エリア)の光アクセスサービス利用者は潜在的な視聴者。地方の放送局が活用すれば、ローカル番組を全国に向けて発信することでビジネス機会が広がり、地域活性化にも貢献できそうです。

里見:既に日本で暮らす外国人向けに独自番組の配信を実施している企業もあります。小規模な制作会社やコンテンツ事業者でも自分たちが“放送局”となり、自社制作番組などを直接配信できます。

体験ラボを提供し不安を解消
クラウド事業者との連携も強化

堀:フレッツ・キャストを使ってみたいと考える一方、新たなチャレンジに不安を感じるお客さまもいると思います。

里見:映像などの大容量データの配信を試したいというニーズに応えるため「AWS専用線アクセス体験ラボ」という検証環境を用意しています。接続環境の準備に手間とコストをかけることなく、ダイレクト接続時のシステム動作などを検証できます。本格的な利用に向けた課題の洗い出しを行うことで、不安を払拭できます。

図2 AWS専用線アクセス体験ラボ
[画像のクリックで拡大表示]

堀:どのようなお客さまが体験ラボを利用しているのですか。

里見:放送局やSIer、AWSのクラウドパートナーなど多くの企業がこのラボを利用し、様々なサービスの実用化を検討しています。一般企業はもちろん、医療機関、研究機関、教育機関など映像事業者以外でも高いニーズがあります。

堀:最後に今後の展望を聞かせてください。

里見:データの大容量化は今後ますます加速していくでしょう。4Kをはじめとする高品質な映像配信のほか、組織内外における情報の共有やコミュニケーションを図る上でも、ネットワークの重要性は高まっていきます。NTT東日本はフレッツ・キャストの提供を通じ、ネットワークの側面からお客さまの新たな取り組みを支援していきます。パブリッククラウドとの連携を強化し、クラウドビジネスのさらなる発展にも貢献していきたいですね。

※2016年3月時点

本サービスの留意事項

・提供を開始した日から起算して1年間の基本契約期間があります。
・別途ハウジング契約に係る料金が発生します。

提供エリア ・NTT東日本エリア(※)全域に配信可能です(ただしフレッツ 光ネクストの提供エリアに限ります)。

※NTT東日本エリアとは、北海道、青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野の計17都道県エリアです。

主査:佐藤 公哉 氏、担当課長:里見 宗律 氏、主査:実松 佳奈 氏、久住 陽介 氏
東日本電信電話株式会社
ビジネス開発本部 第二部門 映像サービス担当
左から、主査:佐藤 公哉 氏、担当課長:里見 宗律 氏、主査:実松 佳奈 氏、久住 陽介 氏
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