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データから価値を創出するための鍵とは

ビッグデータやIoTなどが注目され、データからビジネス価値を生み出すことが企業の競争優位を左右する時代。経営情報システム(MIS:Management Information System)の重要性はますます高まっている。その高度化のネックになるのがデータ活用の土台となるデータマネジメント。その課題解決にどう取り組めばよいのだろうか。

データから価値を創出するための鍵となる、データマネジメント

宮崎 洋 氏
SAS Institute Japan株式会社
シニア プリセールス コンサルタント
ソリューションコンサルティング本部
情報基盤イノベーショングループ

 データからビジネス価値を創出するには、三つのステップがある。まずデータを準備し、分析して洞察を引き出し、それを業務に適用してアクションを起こす。それがデータドリブンな経営であり、今の時代に求められる姿だ。ITという枠組みを超えて、データ分析と業務改善が一体になってこそ、競争優位が確保できる。

 しかし、現実には課題も多い。最も深刻な課題は経営から求められるスピーディーな対応が実現できないことだ。「本来課題解決に充てるべき時間が、データの準備に割かれていることが問題です。一般的に、ビジネス課題から意思決定までの時間の約8割が準備に充てられています。この準備時間を短縮することが、競争優位性を高める第一歩になります」とSAS Institute Japanの宮崎洋氏は語る。

 宮崎氏は「データマネジメントの課題は五つ」だと説明する。散らばって存在する膨大なデータ、低いデータ品質、データ形式やコード体系などの一貫性のなさ、セキュリティを重視してユーザーの利用を想定していないデータ統制、そしてビジネスユーザーのためのデータ準備ツールがないことだ。

 「こうした課題が連鎖して、複雑にからみあうことで、全体のレベルの劣化につながっています。だからこそ、データマネジメント戦略が必要とされるのです」(宮崎氏)

データマネジメントの課題は金融機関の諸原則と同じ

 「バーゼル銀行監督委員会の諸原則(BCBS239)で金融業界に求められている問題解決の方向性と、データマネジメントの課題解決へのアプローチは、実は同じです」と宮崎氏は指摘する。

 大手金融機関に求められる「バーゼル銀行監督委員会の諸原則」は四つある。データを正しく自動的に収集する「正確性・完全性」、重要なデータが漏れずに集められているかといった「網羅性」、適切なタイミングで適切なデータを見ることができる「適時性」、そして非定型なデータにも対応できるようにプロセスが明確になっているかという「適応性」である。

 これらの諸原則に対応して問題を解決していくには、包括的なデータマネジメントが必要になる。「データに基づく意思決定のための土台となるデータマネジメントの構成要素は、データの収集と統合、データモデル、品質管理、セルフサービス、データガバナンスの五つです。これらを網羅した原理原則に従うことで、BCBS239の諸原則にも対応できるのです」と宮崎氏は二つの共通性を指摘する。

データマネジメントの五つの構成要素とデータスチュワード
包括的なデータマネジメントとデータの品質と活用に責任を持つ者が必要
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 データマネジメントによって効果的な顧客マーケティングが実現できるメリットも大きい。例えば、「イベント・ベースド・マーケティング(EBM)」。金融ニーズの発生のタイミングをとらえて顧客との対話を行うリテールマーケティングでは、イベントの発生を把握してアクションを取るEBMが有効だ。マーケティング側がニーズのある顧客を特定し、コールセンターや営業担当にアクションを促すためには、適切な頻度でデータを収集し、統合する仕組みが必要になる。

 ドイツのメガバンクであるコメルツ銀行では、各種の商品についての情報を営業店やダイレクトメール、インターネットなどの複数のチャネルで提供し、全てのキャンペーンを通してROIの最大化に取り組んでいる。「接触するのは年に1回から6回まで」といったコンタクトポリシーを設けるなど、プランニングとキャンペーンの実施を統合する仕組みを構築。収益率を55%向上させた。

 宮崎氏は「データマネジメントの各要素を網羅することで、効果的な顧客マーケティングが実現できている好例です」と話す。

人、組織をどう整備すれば課題を解決できるのか

 しかし、実際のところ、ビジネス環境が複雑化する中で、データマネジメントの五つの要素を満たすのは並大抵のことではない。「例えば、リスクデータ収集能力に関する対応でも、G-SIBs(グローバルなシステム上重要な金融機関)の3割以上が遅延を起こしています。一足飛びに五つの要素に対応するのは難しいでしょう」と宮崎氏は指摘する。

 そこで求められるのが、データマネジメントのプロセスを意識した継続的な見直しと改善への取り組みだ。宮崎氏は「データは生もの。継続的に誰が進めていくのかが重要」だと説き、「データの品質と活用に責任を持つ“データスチュワード”の役割を担う部署を、全社の合意形成を踏まえて決めるべき」だと提言する。

 「データマネジメントのゴールはより良い意思決定を迅速に行うこと。その実現のためには、データスチュワードと五つの構成要素を両輪として段階的に環境を整備していくのが重要です」と宮崎氏。それをトータルで支援する仕組みが「SAS Business Analytics Platform」である。

 SAS Business Analytics Platformは、「INFORMATION MANAGEMENT」「ANALYTICS」「BUSINESS INTELLIGENCE」から構成されており、ビジネスアナリティクスの活用を真の目的として、データの準備から加工、分析、レポーティングまでを一気通貫した統合プラットフォームにて実行される。また、ビジネスアナリティクスの活用を促進させるためにプロセスを重視したこの統合プラットフォームには、同社にて培われたデータマネジメントのノウハウが結集されているのである。

 データマネジメントプロジェクトは目的ではない。あくまでも経営課題を解決する要素の一つだ。「だからこそ経営戦略に直結したデータマネジメント戦略が必要です」と宮崎氏は語る。データマネジメントのソリューションを選択する際には、経営的な視点が求められているのである。

SAS Business Analytics Platformの概要
知見の生成と展開を効率的かつ効果的に行うための技術基盤であり、情報活用におけるTCOの最小化・ROIの最大化を実現する
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