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ライセンス契約管理と自動化のポイント

仮想環境が広がる中で、サブキャパシティライセンスが増えている。VM(仮想マシン)が利用しているサーバー資源(CPUコア数やMIPS値)に比例してソフトウエアのライセンス料金が決まるもので、ライセンスを物理サーバーごとに契約するフルキャパシティライセンス契約に比べて一見合理的に思える。しかし、ソフトウエアベンダー側から監査を受けた結果、多額の追加料金を請求されることも多いという。ソフトウエアライセンス契約の「落とし穴」に迫る。

仮想環境で見えにくくなる
ソフトウエアの利用実態

紀平 克哉 氏
ウチダスペクトラム株式会社
常務執行役員
ソリューショングループ担当
紀平 克哉 氏

 ITがビジネスの前提条件になる中で、柔軟にコンピュータリソースを伸縮できる仮想環境は、パフォーマンス向上のリクエストに対して迅速に対応できることから、ユーザー部門にとってメリットは大きい。しかし、その一方でますます複雑化し、動的に変化する環境の管理は運用チームにとっては大きな負担となっている。

 ソフトウエアのライセンス契約も、仮想環境に合わせたものが出てきている。物理サーバーごとにソフトウエアを契約する「フルキャパシティライセンス」契約に対して、VMが使用しているサーバー資源(CPUコア数やMIPS値)に対して課金する「サブキャパシティライセンス」である。

 一般に、より少ないライセンス料金でソフトウエアを使用できるとされるサブキャパシティライセンスだが「そこに落とし穴がある」と、ソフトウエアライセンスに詳しいウチダスペクトラムの紀平克哉氏は指摘する。「実際にソフトウエアベンダー側から監査を受けた結果、数億円という多額の監査補正料金を請求されるケースも珍しくない」(紀平氏)という。

 なぜ、こんなことが起きてしまうのだろうか。単純に考えれば契約内容を定期的に見直せばよいように思える。しかし、話はそう単純ではない。ソフトウエアのベンダー各社によって料金体系や契約形態が違い、しかも契約書の中身は複雑で全てを理解するのは難しい。それ以前に利用実態を把握していなければ、契約内容と突き合わせても最適解は得られない。

 「VM(仮想マシン)に割り当てたリソースが増えたり、減ったりする中で、今どのVMにどれだけのサーバー資源が割り当てられているのか。それをソフトウエアごとに見るとどうなっているのか。ライセンス契約という視点から現状を捉えている企業は少ないと思います」と紀平氏は話す。

 利用実態が把握できていなければ、無駄に多く料金を払っている可能性もあり、逆に少ない場合もあるのは当然だ。ソフトウエアライセンスの費用は決して小さくない。それがノンコントロールになっているとしたら、ガバナンスの観点からも大きな問題である。

ライセンス体系の例(Oracle DBの場合)
ライセンス体系の例(Oracle DBの場合)
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契約の最適化のためには
利用実態の見える化が前提条件に

 紀平氏は多くのケースを見てきた経験から、「こうした現状に陥っている原因の一つは、これまでのシステムの開発と運用の体制にあります」と分析する。

 ソフトウエアライセンスの契約をするのは、システムを開発・構築する開発部門だ。システムが完成すれば運用部門に引き継がれる。運用部門が最も重視するのはシステムが止まることなく運用されていること。ライセンス契約については無関心になりがちだ。ここに利用実態との乖離が生じるメカニズムが潜んでいる。

 それでは、どうやってライセンス契約の最適化を図ればよいのだろうか。理屈は簡単だ。アプリケーションごとのライセンスの割り当てを管理し、実際の利用状況を調べ、突合し、整合化するために不足ライセンスを調達し、必要に応じてライセンス契約を見直すようにすればいい。しかし、一体誰がどうやって利用状況を調べて管理するのだろうか。大企業であれば数千台の仮想サーバーがあり、次々と新しいアプリケーションがリリースされ、利用量の増減もある。

 真剣に管理しようとしているところでも、うまくいっていないことが多い。「スプレッドシートで管理しても情報がすぐ陳腐化して意味をなさない。構成管理ツールでできるはずが、作り込みが大変」(紀平氏)という状況に陥る。

 こうした中で、大手企業を中心に注目されているのが、フレクセラ・ソフトウェアのIT資産管理ソリューションだ。世界で1500以上の大手組織に導入され、ライセンス費用の最適化などに高い成果を上げている。P&Gでは導入後すぐに3000万ドル削減できたという。

 このソリューションの強みは三つのライブラリーにある。ソフトウエアインベントリの情報のインストールソフトウェア名を名寄せをするための、名寄せライブラリー。ライセンス発注書の情報としてSKU(Stock Keeping Unit)番号を利用規約に紐付けて管理するSKU番号ライブラリー。そして、ライセンスのメトリックスを自動化し、メトリックスに基づいて使用中のライセンスを利用規約と突合して整合化するための利用規約ライブラリーだ。

 「日本のIT資産管理ソリューションはインベントリ情報を集めるだけですが、フレクセラ・ソフトウェアのソリューションは各社のライセンスポリシーや利用規約の変更などを自動でアップデートして、正確な見える化を実現してくれます」と紀平氏。IBM、Oracle、SAPなど大手ソフトウエアベンダー各社がフレクセラのレポートを正式なものとして認めていることからも、その正確さが分かるだろう。

コストの最適化だけでなく
ガバナンスの確立が大事

 長年にわたってグローバルライセンス統合などエンタープライズ向けのIT資産管理サービスを手掛けてきたウチダスペクトラムでは、国際標準となっているIT資産管理プロセスと合わせて、フレクセラ・ソフトウェアの活用を推奨している。

 「フレクセラ・ソフトウェアのソリューションによって利用実態を把握するとともに、国際IT資産管理者協会(IAITAM)が提供するベストプラクティス(IBPL:IAITAM Best Practice Library)を導入することで、高い効果が期待できます」と紀平氏は説く。同社ではIT資産管理のプロセス設計コンサルティングから自動化ソリューションの導入、運用アウトソーシングまでワンストップで手掛ける「ITAM(IT資産管理)統合ライフサイクルサービス」を提供する。特徴的なのはプロセス設計したIT資産管理の運用業務をアウトソーシングして請け負うことだ。ユーザー側にプロセスのコントロールを提供し、アウトソースすべきプロセスの分界点を明確にする、さらに、必要となるスキルセットを定義して、不足しているスキルセットとプロセスを明確にすることでアウトソーシングを効果的、効率的に実施し、期待する結果を明確に共有し、リスク共有モデルのサービスパートナーシップを構築することが可能となる。

 「重要なのは、ベンダーの監査に対応するために現状を把握することではなく、コストの最適化とガバナンスの確立が両立できることです」と、紀平氏はIT資産管理に継続的に取り組むことの重要性を強調する。アウトソーシングもそのための手段だ。

 利用実態を見える化しておくことでユーザー課金もやりやすくなり、コア数を増やしたらライセンス費用はいくらになるなど、増設や削減などのシミュレーションもできる。

ウチダスペクトラムの「ITAM統合ライフサイクルサービス」
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 IAITAMの日本支部長である武内烈氏は「利用実態の見える化とは、ライセンス契約の諸条件を管理し、契約条件を順守した運用が実施されているかという、契約順守を把握すること。財務、契約、在庫という三つの要素を捉えたIT資産管理の適正化の第一歩。こうした取り組みをぜひ進めてもらいたいです。この分野での取り組みは欧米に比べて10年遅れています。ライセンス契約の運用についても契約は契約、運用現場は運用現場というダブルスタンダードは、日本におけるベンダーとユーザーの悪しき商習慣。グローバルではそのような契約内容と現場の乖離は受け入れられません。ライセンス契約とライセンス運用の整合化は契約順守の観点からは必須です。今着手しないと、日本はガラパゴス状態のまま、グローバルチームからは、鎖国的で国際的な常識のない組織になってしまいます」とウチダスペクトラムの取り組みに期待する。

 しかし、実際には、どこからどう取り組めばよいのか、どんな効果が期待できるのか、不安に思うことも多いだろう。そこでウチダスペクトラムでは、2016年の4月から、ライセンス契約金額の大きいIBM、オラクル、SAPに特化していつでもアクセス可能なWebセミナーを開設するという。参加者がいつでも受講できるWebセミナーだけに、基本的な疑問点が解消できる可能性は高い。IT資産管理を真剣に考えるなら、ぜひ受講してみてはどうだろうか。

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