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オールフラッシュ採用プライベートクラウド

IDCフロンティア
カスタマーサービス本部 プラットフォームエンジニアリング部
クラウドグループ
グループリーダー
菊石 謙介 氏

Yahoo! JAPANグループに属しているクラウド事業者のIDCフロンティアは2016年9月、プライベートクラウドサービスを刷新した。国内のホステッドプライベートクラウドサービスとしては初めて、VMware Virtual SAN(VSAN)にオールフラッシュストレージを採用したことが大きな特長だ。ストレージの読み出し性能は従来に比べて最大5倍に向上。高トランザクション処理が要求される基幹系システムをオンプレミスから同サービスへ移行することも可能だ。

 この数年、企業の情報システムにおいて、ストレージ(記憶装置)の入出力性能がボトルネックになるケースが増えている。CPUが大きく性能を向上させているのに対して、HDD(ハード・ディスク・ドライブ)の性能が限界に近づいているためだ。こうした課題を解決するために登場したのが、入出力処理が高速なSSD(ソリッド・ステート・ドライブ)を記憶媒体としたフラッシュストレージである。

 IDCフロンティアの新サービス「IDCFプライベートクラウド」は、記憶媒体の全てをSSDで構成するオールフラッシュストレージを採用。ストレージの読み出し性能は、従来のHDDとSSD併用型の階層化ストレージで構成した場合と比べて、最大5倍に向上するケースもあるという。コストを抑えつつ、なるべく速いシステムが欲しい企業には格好のサービスだ。

SSDはコスト・性能・信頼性でHDDよりも優れる

 IDCフロンティアの菊石謙介氏によると「当社は7年ほど前からパブリッククラウドサービスや社内のデスクトップ仮想化(VDI)システムなどでHDDとSSD併用型のハイブリッドストレージを採用していました。また、1年前からSSDを全面採用したオールフラッシュストレージを導入してきました。これらの運用実績から、フラッシュストレージのノウハウが蓄積しているため、その経験に基づいて、プライベートクラウドにオールフラッシュストレージを全面採用することに踏み切ったのです」と、確かな実績というバックグラウンドを強調した。

IDCフロンティア
カスタマーサービス本部 プラットフォームエンジニアリング部
クラウドグループ
朴 昶柱(パク チャンジュ) 氏

 一昔前であれば、HDDに比べて、SSDは性能は高いが記憶容量の単価が高く、寿命が短いと思われている。だが、いち早くSSDを取り入れたサービスを提供する同社の実績では、信頼性・性能はHDDよりも優れ、長期間の利用にも適しているという。朴昶柱氏は、「当社サービスで使用しているHDDは1年間で平均すると毎日1台以上が故障していますが、これまでにサーバーに搭載したSSDは1台も故障していません。SSDはお客様にも安心して使っていただけるようになっています。」と語る。

IDCフロンティア
技術開発本部 サービス企画部 サービス企画グループ
グループリーダー
梶本 聡 氏

 今回の新サービスについて同社の梶本聡氏は、「フラッシュストレージは重複排除や圧縮技術が優れているため、利用方法によってはSSDの物理記憶容量に対する実際利用可能な記憶容量は数倍になります。当社はパブリッククラウドでのオールフラッシュ採用の実績から、プライベートクラウドでもオールフラッシュストレージを十分活用できる――このような思いが、今回のサービス刷新のきっかけになったのです」と性能向上だけでなく、記憶容量についても実用的になっている点を補足した。

初期投資なしで200台以上のサーバーを調達可能

 IDCFプライベートクラウドは、6台のx86サーバー上でサーバー仮想化ソフト「VMware vSphere Hypervisor(VMware ESXi)」を稼働させた環境をプライベートクラウドとして提供するサービス。ストレージは、サーバー機に内蔵するSSDを利用する。ストレージ仮想化技術であるSDS(Software Defined Storage)を実現する「VMware Virtual SAN」を利用して、複数のサーバーに分散したSSDを仮想的に単一のストレージプールとして管理する(図1)

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図1 オールフラッシュを採用したIDCフロンティアのプライベートクラウドにおけるシステム構成図

 仮想マシンの収容台数の目安は1CPU・4Gバイトメモリーのサーバーで200台以上。サービスを利用するための初期費用は無償なので、一切の初期投資なしに、200台以上のサーバー(仮想マシン)を即座に調達できるのだ。サーバーが足りなくなった場合は、クラスター内は1台単位でホスト(物理サーバー)を最大16 台、1契約4クラスターまで利用でき、サーバーは64台まで利用することが可能だ。  さらに、同社はパブリッククラウドサービスも提供しているので、同じ物理ネットワーク上でプライベートとパブリックを混在させたハイブリッドクラウドを構築できるというメリットもある。オンラインゲームやバッチ処理システムなどのように、一過的に負荷が急増するようなシステムを保有する企業の場合は、リソースが足りない時にパブリッククラウドから調達して、不要になったら縮退するといった運用も可能だ。これらをシームレスに実現できるのが同社の強みになっている。

システム基盤だけでなくビジネス基盤を提供する

IDCフロンティア
技術開発本部 サービス企画部
サービス企画グループ
渡邉 奈月 氏

 ハードウエアの更改のタイミングでクラウド化を検討する企業は少なくない。オンプレミス環境でプライベートクラウドを構築しようとすると、システム設計だけでなく、機器・ソフトウエアからラックや電源などのファシリティや設置場所に至るまで、様々な検討・検証が必要になる。同サービスはクラウドサービスでの長年の実績に基づき、安定稼働を基礎としたノウハウが詰まった環境が提供されるサービスである。 加えて、SDSを採用したことにより、サーバーを追加するだけで性能・記憶容量を拡張できるのが大きな利点の一つになっている。同社の渡邉奈月氏は「スモールスタートで使い始めて、リプレースやソフトウエアのバージョンアップなどのタイミングで、オンプレミスのシステムを徐々にプライベートクラウドに移行していくような運用形態が効果的でしょう」と語る。システムの移行を支援するために、「VMware vMotion」にも対応している。これは、移行環境などの必要要件を満たせばオンプレミスからプライベートクラウドへ、仮想化環境をマウス操作だけで移行でき、移行時にビジネスを止める必要はない。(図2)

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図2 将来ハイブリッドクラウドへ展開するとき、素早くサーバー移行ができる

 また、物理サーバーが2台同時に故障した場合でも仮想マシンデータのアクセスを継続する耐障害性を備えている。万が一、故障が発生した際は、同社が復旧対応を24時間365日体制で行うなど、サーバーの運用保守は、同社のインフラやサーバー運用に長けたプロフェッショナルが全面的に対応する。顧客企業は、収益に結びつかない運用保守の作業やコストから解放されるのである。渡邉奈月氏は、「運用保守の作業は私たちが責任を持って担っていきますので、お客様には利益を生み出すアプリケーションの開発・運用に専念していただきたいと考えています」と語る。

 IDCフロンティアはこれまで、顧客企業がITインフラの設計や移行時にクラウドを優先して検討する「クラウドファースト」に応える体制を築いてきた。さらに、クラウドにおいて「データ処理」だけではない「データ集積地」構想を展開してきた。また、「Data Centric Cloud」という、データ中心にインフラを設計し、シームレスなデータ利活用を実現する構想も進めている。今回のプライベートクラウドサービスは、これらの構想を推し進める一環である。それは「システム基盤を提供するだけでなく、お客様のビジネス基盤を提供する」(梶本氏)という意識の表れだ。

 同社は、2016年10月19日(水)~10月21日(金)に東京ビッグサイトで開催される「ITproEXPO 2016」に出展し、今回のプライベートクラウドサービスを実機展示する計画だ。同社のブースでは、システムを無停止で移行した事例に関するセッションや、デモンストレーションを予定している。

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    〒160-0004 東京都新宿区四谷4-29

    TEL:0120-26-2725 (平日9:00-17:00)

    URL:https://www.idcf.jp/

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