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手軽で安心なモバイル通信基盤。SORACOMで広がるIoTの可能性

IoTの活用には、多様なモノをつなぎデータの送受信を支えるモバイル通信の整備が欠かせない。ソラコムはIoT通信プラットフォーム「SORACOM」の提供を通じ、多くの企業のIoTソリューションの実現を支援する。利用顧客数は4000超。革新的なサービスで新たなビジネスモデルを創出した企業も数多い。SORACOMはIoTビジネスにどのような価値をもたらすのか。先進的な企業の取り組みを紹介する。

IoTの通信を支える「SORACOM」
利用顧客数は4000超

ソラコム
エバンジェリスト
プリンシパルソフトウェアエンジニア/片山暁雄氏

 あらゆるモノがインターネットにつながるIoTは、ビジネスに大きな変革をもたらす。多様なデータを収集・分析することで、企業のビジネスやカスタマーエクスペリエンスを改善・拡張できる可能性が広がるからだ。そのために欠かせない技術要素の1つが「通信」である。

 しかし、通信環境を整備するには、手間もコストもかかる。ソラコムはこの課題解決を図る画期的なIoT通信プラットフォーム「SORACOM」を提供する。

 SORACOMではモバイルのデータ通信用SIMカードを提供する。「クラウド上のモバイル通信管理システムを使って、回線ごとの使用状況や通信量、速度変更などをWebブラウザから統合的に監視・管理できます。APIを利用して各種設定の変更も可能で、IoT通信の一元管理にも対応します」と同社の片山暁雄氏は説明する。通信会社の基地局とクラウド間はセキュアな専用線でつながれ、インターネットを介さず通信できる(図1)。

図1 IoT通信プラットフォーム「SORACOM」のサービスイメージ
SORACOMのモバイル通信は通信会社の基地局から専用線を介してソラコムが管理するクラウドにつながり、インターネットに接続する仕組み。専用線を介すため安全性が高い
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 認定デバイスは50種類以上。サービスラインナップも豊富だ。専用線接続サービスの「SORACOM Direct」、仮想専用線接続サービスの「SORACOM Door」、認証サービス「SORACOM Endorse」などがある。サービス利用の入り口となるのが「SORACOM Air」。通信手段はLTE/3G回線を使用。デバイスにSIMを挿すだけで手軽に利用を開始できる。国内向けのほか、120の国と地域にわたる海外向けサービスもある。料金も安い。例えば日本向けSIMの基本料金は1日1枚10円、データ通信料は1MBあたり0.2円からの従量課金で利用できる。

 「SORACOM Airはサービスの革新性が高く評価され、昨年の『ITpro EXPO AWARD 2015』での大賞をはじめ、数多くの賞を受賞しています。現在、4000以上の顧客が利用しています」(片山氏)。

 2016年7月には省電力・長距離の通信方式として注目される「LoRaWAN」の実証実験キットの提供も開始した。LoRaWANは低データ転送速度ながら、省電力で広域をカバーできるのが特徴だ。「ソラコムではパートナー企業とともに、LoRaWANを利用した実証実験を行うなど、商用利用に向けた取り組みを進めています」(片山氏)。

 2016年12月にはKDDIのネットワーク回線を利用したIoT向け回線サービス「KDDI IoTコネクト Air」の提供も開始する。IoT向けモバイル通信の選択肢が広がるとともに、従来のSORACOM Airと組み合わせることで、可用性の高いネットワークを実現できる。

革新的な事例が目白押し
工場・交通から養殖・酪農も

 ソラコムのサービスを利用し、数多くの企業が革新的なIoT活用を展開している(図2)。その1社が農業・建設機械メーカー大手のヤンマーだ。フォークリフトの生産工場のほか、環境配慮型の農業用施設「スマートグリーンハウス」の遠隔監視を行い、設備のモニタリングや予防保全などに役立てている。

図2 SORACOMを活用したIoTビジネスの一例
業種・業態を問わず、様々な企業が革新的なIoTビジネスを展開する
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 北海道十勝エリアで路線バス事業を展開する十勝バスは、130台の路線バスすべてにGPS機能のついたスマートフォンを設置。「5秒に一回位置情報をクラウドサーバーに送信し、バスの時刻表や路線情報と照合することで、指定したバス停の到着時間の検索・通知サービスを実現し、バス利用者の利便性向上に寄与しています」(片山氏)。

 農水産ベンチャーのウミトロンもユニークな事例だ。魚の養殖事業にソラコムのサービスを活用。魚群センサーの情報と魚の行動解析プログラムとの連動により、養殖場での給餌の量とタイミングの最適化を図る。「給餌の量が多いと無駄になるだけでなく、養殖場の水質が悪くなり、給餌の量が少ないと魚の成長に影響をおよぼす。養殖事業ではいつ、どれだけの量の餌を与えるかが極めて重要なのです。これにより、同社は養殖事業の安定性向上とコスト削減を両立しています」と片山氏は話す。

 酪農・畜産事業のスマート化を目指す企業もある。北海道帯広市のITベンチャーのファームノートは牛のウェアラブルデバイス「Framnote Color」を開発。牛の活動量を人工知能で解析することにより、発情や疾病兆候を検知しスマートフォンへの通知する。広大な酪農場での牛の行動把握のために、省電力広域の通信が可能なLoRaWANでの検証実験もはじめている。

IoTで広がるビジネスチャンス
パートナー支援プログラムを提供

 自社ビジネスの効率化や最適化だけでなく、IoTによる付加価値の高い商用サービスで競争力強化を実現した企業もある。クラウド型マニュアル作成・共有ツール『Teachme Biz』を提供するスタディストはその好例だ。同サービスでは、スマートフォンやタブレットで簡単に業務マニュアルや手順書を作成することができる。「SORACOM Airとセットで提供することで、ユーザーは回線の手配をすることなく、いつでもどこでもサービスを利用でき、同社のビジネスの拡大につながっています」(片山氏)。

 また、補聴器の販売・サポートを行うネッサジャパンは、顧客から補聴器の聞こえ具合を確認した上で、専用機器に補聴器をセットするだけの設定適正化サービスを提供している。「顧客の手を煩わせることなく、スピーディに最適な設定調整が可能です。利便性の高い画期的なサービスをSORACOM Airが支えているのです」と片山氏は語る。

 ソラコムは自社でサービスを提供するだけでなく、こうしたビジネス展開を加速するための取り組みも進めている。その象徴がパートナープログラム「SORACOM Partner Space」(以下、SPS)である。デバイスメーカー、ネットワークベンダー、SIベンダーなどとの連携を促し、IoTソリューションの開発をサポートする。既に52社が認定パートナーとしてSPSに参加。SPS参加を求める申請パートナー数は230社超に上る。

 「IoTビジネスにとって、多様なモノをつなぎ、データの送受信基盤となる通信環境は重要な役割を担っています」と話す片山氏。今後もソラコムはIoT通信プラットフォームの拡充を図るとともに、パートナー連携の強化に取り組み、より多くの企業のIoTビジネスの成功に貢献していく考えだ。

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