ワークスタイル変革はなぜ進まないのか“働き方パズル”に足りないピースとは?

ITツールの導入だけがワークスタイル変革ではない

企業経営を取り巻くさまざまな課題の中でも、近年特に重要なキーワードとしてクローズアップされているのが、「ワークスタイル変革」だ。

現在の日本企業は少子高齢化による労働人口減少や、育児・介護などの事情を抱えた社員への対応など、数多くの問題に直面している。もしこれらへの対応を誤ってしまえば、離職率の増加や過酷な労働を強いることによる社会的な信用喪失といった、重大な事態にも発展しかねない。多様で柔軟な働き方をめざす取り組みは、まさに企業の成長を左右する重要なファクターといえるだろう。

しかし、いち早くワークスタイル変革に成功し、成果を上げる企業が現れている一方で、なかなか思うように取り組みが進まないという企業もまた少なくない。なぜ、このような明暗が生じるのだろうか。

その大きな要因の1つが、「ITツールの導入」をワークスタイル変革のゴールと捉えるプロジェクトが多いことだ。確かに自由な働き方を実現するためには、ITツールの活用が不可欠である。しかし、ただ単に道具だけを導入しても、それが実際に使われないのでは全く意味がない。中には、導入後にどれだけ利用されているのかについて追跡調査がほとんどなされていない企業もある。さらに問題なのが、そのITツールがそもそもの経営課題にどう貢献しているのかが明示できていない場合。これがきちんと把握できなければ、今後新しい予算を確保することも難しくなってしまうだろう。

社内制度や企業風土の再点検も重要なポイントだ。最近では在宅勤務制度やテレワークの導入を図る企業も増えつつあるが、そうした制度を社員が気軽に利用できるだけの環境は整っているだろうか。いくらさまざまな制度設計を行ったところで、社員が実際に使えないのでは“絵に描いた餅”である。

こうしたことを考えていくと、ワークスタイル変革の実現に向けては、ITツール・制度・風土を含めた管理手法の確立、つまり「チェンジマネジメント(マネジメントの変革)」が必要であることが見えてくる。次ページではそのための具体的な方策について考えていきたい。


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