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勝つための人と組織を実現する人事の役割

コーナーストーンオンデマンドジャパン カントリー・ゼネラルマネージャー
飯島 淳一氏

従業員の能力開発、すなわちタレントマネジメントで業界をリードするコーナーストーンオンデマンドジャパンは2017年2月17日、「グローバル タレント マネジメント セミナー」を東京で開催した。日本企業には年功序列といった人事の日本的慣習から脱却し、事業のグローバル展開の最中にあってさらにイノベーションを担う人材を集結させるために、新しい施策が求められている。基調講演では人事マネジメントの国際的な知見から現状分析と問題提起が行われ、米コーナーストーンオンデマンド社は企業におけるとりわけ人事部が抱える問題を解決する、モチベーションとエンゲージメントの方向性を提示した。グローバル人材育成で先行する日立製作所と日産自動車の事例紹介があり、最後のパネルディスカッションでは多くの示唆に富むメッセージが発せられ、大手企業の人事部を中心とした150人を超える参加者が熱心に聞き入っていた。

基調講演
人事が“経営のパートナー”となり、変革を推進し、企業文化を創造しよう
AIDA LLC代表
会田 秀和氏

 元プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)米国本社HR担当ヴァイスプレジデントで、現在AIDA LLC(Aida Consulting LLC)代表として戦略的人材マネジメントに関するコンサルティングを行う会田秀和氏は「国際競争に勝つ企業作り グローバル能力開発 人事の役割」と題する基調講演を行った。

 世界中の企業が年率4~5%の成長を目指してグローバル市場を開拓し、時には企業買収をいとわない。一方、日本は高度経済成長を経て成熟期も過ぎ、今や少子高齢化と人口減少、国内消費減少という衰退へ向かっている。これからは女性と高齢者を活用していくのが不可欠。そして輸出をもっと増やすべきと主張する。

 日本企業のグローバル化は不可欠であるのに、30年以上海外でHR(人事)一筋に活躍してきた会田氏には、人事制度が日本のグローバル化を遅らせている状況がもどかしく映る。

 日本企業の人事制度の特徴は終身雇用・年功序列・職能給はもちろんのこと、総合職育成と称するたらい回しキャリアや不透明なキャリアパスにとどまらない。上司の役割は業務集中型、従業員は残業依存型にあってコンセンサスを取ることに腐心する意思決定方式がはびこる。会田氏はこれらを「化石時代の人事制度」と一刀両断にする。このままでは「せっかく海外支店・支社があっても単なるガレージ。企業買収をしても統合効果を発揮できないだろう」と手厳しい。

 真にグローバル化を進めるにはまず社員の専門性を高めることだと断言する。専門性が高まれば影響力が増し、物事は正当に判断・決定される。人事部門の仕事は従業員の専門性を高める仕組みを整えることで、求められるのは部門別のキャリアをどう育成するかである。グローバル化に問われるコンピテンシー(能力・適性)の要素として「グローバルコミュニケーション」「戦略的思考」「異文化対応力」「リーダーシップ」をリストアップする。

 会田氏は「イノベーション」の重要性についても説く。日本は確かに研究開発や技術といったイノベーションを生み出す能力があった。しかし、会田氏は人事、財務、販売、マーケティングといった技術系以外の部門におけるイノベーションを見据える。「日本人の専門性を追究する文化が、間接部門で発揮されれば、新しいイノベーションが起こり、日本はすごい国になりますよ」と主張する。「人事が“経営のパートナー”となり、イノベーションを支援し、企業文化を創造していくことが大切です」と会田氏は締めくくった。

特別講演
ラーニング、社員の才能の活用、データ分析が人財戦略のカギ
米コーナーストーンオンデマンド社 シニアヴァイスプレジデント 企業戦略担当
ジェイソン・コルセロ氏

 基調講演で提示された部門ごとの専門性の獲得、企業経営のグローバル化とイノベーションの導入、そして企業文化の創造は、どのように実施すればいいか。しっかりとしたリーダーシップの下で経営戦略が立案されることがもちろん大切だが、米コーナーストーンオンデマンド社のシニアヴァイスプレジデント、ジェイソン・コルセロ氏は、特別講演「グローバル化時代におけるタレント〔社員の才能〕のチカラ」の中で、人事部門が果たすことのできる具体的なソリューションを提示した。

 コルセロ氏は、ビッグデータ向けのデータサイエンティストの人材獲得が、米国の西海岸に端を発して国際的な動きになっていることを引き合いに、「イノベーションと多様性は同時進行で進む」と語る。同氏は国際的に多くの企業戦略に接する中で、速やかにテクノロジーイノベーションを起こすこと、そして社員のスキル不足や多様性に関するマネジメントを行うことが、共通の課題になっているのだという。

 そして参加者に問い掛ける。「みなさまの組織はビジネスのスピードに合わせてタレント(社員の才能)をマネジメントできているでしょうか?」。タレントを戦略的資産(人財)と見なし、事業戦略とそれを達成する人財戦略を調和させることが大切で、それを実践している企業こそが業績向上を実現していると語った。

 具体的なソリューションの1つとは、継続的なラーニングだ。同社のラーニングシステムは個人に合わせたラーニングコースを自ら学べる仕組み。その社員が望むキャリアのために、次にどのコースを受けるべきなのかも、AI(人工知能)によって推奨される。コルセロ氏は、ラーニングに投資した多くの企業において「生産性が37%、社員満足度が65%、在職率が21%も向上している」と具体的な効果を示す。

 タレント(社員の才能)をどのように活用していくかについても語った。同社のソリューションにおける「予測的な後継者育成計画」の機能では、どの社員が新しい職務に対して準備ができているかを示すとともに、誰が後継者にふさわしいポテンシャルを備えているかを予測できる。

 また「予測的なキャリアモビリティ(異動)」の機能は、社員一人ひとりに最適なキャリアパスを示し、そのための育成計画を提案。さらに社員のエンゲージメント(組織の成功への貢献に対する意欲)をリアルタイムで測定し、何がエンゲージメントを突き動かしているのかを理解することもできる。まさに基調講演で語られた企業文化がデータで表現できるわけだ。

 コルセロ氏はデータこそが人財管理のカギだと断言する。コーナーストーンHRに蓄積されたデータを分析することで、採用やラーニング、業績、報酬など様々な分野で将来の成果を予測できる。またグローバルな社員データの中央ハブとして、タレントを包括的に可視化し、リスクを低減し、高い投資対効果を実現できる。

 コルセロ氏は最後に「当社の製品は世界191カ国、2900社以上、約3000万人に使用され、様々なアナリストから業界リーダーとしての評価を得ています。だからこそ私たちは絶え間ないイノベーションにより、皆様によりよい価値を提供し続けていきます」と語った。