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AIとNoSQLデータベース技術のコラボが新たな未来を築く

2045年にはAIが人間の能力を超える「シンギュラリティ」が到来すると予測されている。実世界の課題を扱うAIには膨大で多種多様なデータの扱いが不可欠であり、そこで注目されるのがNoSQLデータベースだ。NoSQLデータベース技術で先頭を走る米MarkLogic社と高度なAI技術を有するNTTデータの連携がどのような未来をもたらすか。米MarkLogic社の創設者であるクリストファー・リンブラッド氏と、AIの第一人者であるNTTデータ技術開発本部の樋口晋也氏が語り合った。

データ統合に
NoSQLデータベースは不可欠

宮本:リンブラッドさんは、2001年にMarkLogic社を創設し、NoSQLデータベースに取り組んできました。

リンブラッド:以前はデータベースの世界と検索エンジンの世界は別物でしたが、Googleによるインターネット検索が情報を探し出す強力なツールになっていたことから、この技術を他の分野で活用したいと考えていました。このアイデアがMarkLogicの基になっています。

宮本:今後、NoSQLデータベースはどのような役割を果たしていくのでしょうか。

リンブラッド:NoSQLデータベースの特長として考えられるのが、現在、リレーショナルデータベースに記録されている構造化データと他の多種多様な非構造化データを含めたデータの統合を実現できることです。その際、有効なのがMarkLogicが得意とする「スキーマレス」アーキテクチャです。これにより、データベース設計(スキーマ設計)なしに様々なデータを格納し、統合して利用することが可能です。

AIの発展には
意味の解釈が課題

宮本:樋口さんは音声認識から始まり一貫してAIに取り組んで来られました。AIの現状と将来についてどのように見ていますか。

米MarkLogic社 創設者 クリストファー・リンブラッド 氏

樋口:今のAIで不十分なのは意味を理解する部分だと考えています。人間はコンピュータとは異なり、音を正確に聞き取って理解しているのではなく、意味を考えて聞き取れない部分を補正することで理解しています。こうした点の改善が人工知能を本質的に進化させると考えています。

宮本:たしかにAIは、スマホなど身近な場で徐々に使われ始めていますが、精度などの面で、真に実用的な段階には至っていません。ブレークスルーを実現するにはどのような技術が必要でしょうか。

樋口:やはり意味理解がポイントでしょう。実は意味理解につながる技術革新はすでに始まっています。2016年11月にGoogle翻訳の性能が格段に向上したというニュースが流れました。この新たなGoogle翻訳は日本語から英語に翻訳する場合、原文をいったん、概念(中間言語)に変換し、その概念に対応した英語を生成しています。これは意味理解の実現と見ることもでき、AI のブレークスルーの1要素と考えられます。

宮本:NTTグループがAIのブレークスルーを実現する可能性はありますか。

樋口:十分あると考えています。実用的なAI の実現には、(1)高速な演算ができるハードウエア、(2)強力なアルゴリズム、(3)大量のデータという3要素が欠かせません。大規模で先端的な企業であるNTTグループはこれらの要素をすべて持ち合わせているので、世界一を狙えるポジションにあります。

宮本:一過性のブームが終わっても、AIの実用化は進みますか。

樋口:ブームはそろそろ終わるかもしれませんが、AIが各企業に浸透するのはこれからでしょう。今後、企業にとってAIの本質を理解することが極めて重要になってきます。

 例えば自動車配車システムで有名な米国のUber Technologies社は、グーグルと同様、人工知能を導入することで、極力人手を使わないビジネスモデルを成立させ、一気にビジネスを“スケール(拡大)”させました。持っているデータを強みとし、AIを活用して業界を超えた参入を果たす例も増えるでしょう。今後はAIへの理解度が企業の業績に影響を与える時代になると思います。