OKIの丸井武士氏は、現在の社会が抱える課題として、「自然災害/環境問題」「労働力不足」「インフラの老朽化問題」「働き方改革」「少子高齢化」の5つを挙げた。いずれもIoTが解決手段として期待されている。
しかし現実の適用を考えると、IoT自身にも乗り越えなければならない問題がある。例えば、情報を取得するセンサーは、対象が広大な場合、センサー数が膨大になってネットワークに大きな負荷がかかる。また、外部とつながることでセキュリティにも不安が生じる。OKIが目指すIoTは、閉じたIoTから連携するIoTへ、そして個人最適へ至るIoTの機能強化だ。
センサーの配置の点では、光ファイバーセンシング方式を用意する。小さなセンサーを数多く設置するのではなく、光ファイバーそのものをセンサーとして使えば、広いエリアを1つの線でカバーできる。インフラの老朽化対策などに限らず、製造業の場合でも「例えば熱処理で、熱が工程全体で安定しているかを検知するのにも使える」(丸井氏)。
音や画像によるセンシング技術も用意している。音のセンシングは、物体をソレノイド式ハンマーでたたいた音から破壊箇所を見つけたり、違法に飛ぶドローンを探知したりするもので、必要な音だけを取り出す技術がベースにある。画像のセンシング技術は、人による状態認知を肩代わり可能だ。
ネットワークの負荷対策では、エッジコンピューティングを活用したインテリジェントなゲートウエイや、920MHz帯の無線によるマルチホップのネットワークなどで解決を図る。「個々のセンサーに通信回線を導入するよりも、マルチホップで1カ所に集めてからデータをアップする方が、コストを抑えられる」と丸井氏は指摘。920MHz帯の無線はWi-Fiよりも到達距離が長く、低消費電力で長期間の電池駆動が可能だ。
セキュリティ面では、多様な攻撃に対応するため、ネットワークの入口や出口、末端デバイスの各ポイントに防御機能を設ける。個々のログを統合的に管理して解析する機能も設け、新たな脅威にもすぐに対応できるようにしている。その他にもAIによる問い合わせ対応自動化や、DSRCによる物流効率化にも取り組む。
OKIでは、これらIoTの機能強化はもちろん、社会問題の解決という大きな構想の下に、IoTシステム全体を引き受ける実力があることを強調した。
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