BIM・CIM / i-ConstructionのためのオートデスクAEC Collection

 オートデスクは建設・土木業界向けの新パッケージ「Architecture, Engineering & Construction Collection」(以下、AEC Collection)を発売した。「AEC Collectionに統合したことで、どのSuiteを選び、グレードはどうするかといった、機能と価格を見比べ検討する手間が省けます。建築・土木など部門ごとにソフトを購入する必要もなく、ライセンス管理がしやすくなりました。都市計画など建築も土木も関わる案件では、プラットフォームが1つになり、作業効率が上がります」(オートデスク技術営業本部社会基盤ソリューション井上修氏)。

 国土交通省が2015年末から進めている建設現場の生産性革命「i-Construction」は、「ICTの全面的な活用(ICT土工)」「全体最適の導入(コンクリート規格の標準化)」「施工時期の平準化」をトップランナー施策として設定、あらゆる建設生産プロセスにICT(情報通信技術)を活用し、建設産業の生産性を向上させようというものである。国土交通省はまず「ICTの全面的な活用(ICT土工)」のために今年4月から15の新基準を設け、直轄事業で導入している。

 また「全体最適の導入(コンクリートの規格の標準化等)」は来年度実施に向けて基準等を整備・見直しが進められている。この中にCIM(コンストラクション・インフォメーション・モデリング/マネジメント)のガイドラインも含まれている。CIMは2012年から直轄事業において、試行が始まっており、2013年のCIM試行工事は21件、2014年は28件、2015年は61件と大幅に増えた。内訳として、発注者がCIMを前提に発注する「指定型」と受注者がCIMを希望する「希望型」があり、年々「希望型」の件数が増えている。積極的にCIM試行に取り組む企業が増えているのがわかる。

「企業が自ら進んで取り組むのは、CIM活用のメリットを感じているから。気づいた企業は、どんどん始めています」(井上氏)。大手ゼネコンだけでなく、小規模のゼネコンや建設コンサルタントもCIM活用の動きは広がっていると話す。

 日本建設業連合会がまとめた『2016施工CIM事例集』を見ると、掲載されている48事例のうち37事例にオートデスク製品が使われている。

「オートデスクは、日本でCIMが始まる前から3次元設計に力を入れており、10年以上の歴史があります。自分たちの業務を変えたい。効率化したいと思っている方に、AEC Collectionを試していただきたいですね」(井上氏)。

 土工分野では、2008年より国土交通省の直轄工事で情報化施工の試行導入が進んでいる。また、施工会社の自主的な取り組みの中でGNSSローバーなどの衛星測位システムやドローンなどを使った施工計画検討や出来高進捗管理などにより、測量などの作業人員と作業時間を大幅に短縮。自動制御が可能なICT重機は、作業員の重機周りでの作業や高所作業をなくし、人員削減だけでなく安全性の向上にも貢献している。重機の操作が簡単になり、経験の浅いオペレーターも熟練のオペレーターと同様に活躍できる。これらの実績をもとに、さらなる生産性向上を目指すために打ち出されたのがi-Constructionの「ICTの全面的な活用(土工)」。

「施工で効率が上がることは、多くの施工現場から報告されています。いち早く、i-Constructionに対応すべきです」(井上氏)。

 過渡期の今、i-Constructionの対応に必要な費用は、発注金額に含めるかたちで発注者側も負担してくれている。この機会を逃す手はない。効率化がある程度進んだら、その分、発注金額も下がることが予想され、従来のやり方を続けている企業は、コストが合わず受注できなくなる日がくるかもしれない。先を見据え、今の基準だけに対応して終わりではなく、i-Constructionの「全体最適の導入」すなわちCIMデータを一貫して活用できる万全の態勢を整えておきたい。

 AEC Collectionは、i-Constructionの出来形管理要領に沿ったツールの使用方法や、本年度に最終案が出る予定のCIMガイドラインの草案に沿ったモデル作りの操作マニュアルを公開し、よりよいものに順次アップデートを重ねている。

「オートデスク本社は日本の市場を非常に重視しています。i-Constructionに対して今までも様々な場面で協力してきており、もちろん今後も全面的に協力していく方針です。ユーザーのみなさんが、より素早く対応できるように、基準に沿った機能をできるだけ提供していくつもりです」(井上氏)。

 AEC Collectionは、建設業界向けのBIM/CIM/i-Constructionのワークフロー全体に対応するため、20本以上のソフトウェアを備えている。ここでは主要5製品を紹介しよう。

土木用の3次元CAD「AutoCAD Civil 3D」

ソフト画面キャプチャ

AutoCADをベースに、3次元設計機能を拡張した土木設計・施工のための3次元CAD。土工が得意。コリドーモデリング機能で道路や高速道路、河川など土木線形構造物の合理的モデルを作成。3次元モデルから土木図面とドキュメントを作成でき、3次元モデルの変更が、常に図面に反映される。測量データやメッシュデータから地形を作成したり、点群データからTINサーフェスを作成したりが可能。

土木構造物の詳細設計に「Revit」

ソフト画面キャプチャ

建築ではBIMソフトとして使用される3次元モデリングツール。土木では橋梁や橋脚、擁壁など土木構造物のモデリングに利用。3次元で配筋モデルを作成でき、2次元図面の作成や集計表の作成も可能。

点群データを編集・可視化する点群処理ソフト「ReCap 360 Pro」

ソフト画面キャプチャ

レーザースキャナーなど様々な測量機器で測定したデータから、点群データを取り込み、編集・加工し、AutoCAD Civil 3Dの土工管理などで活用。ドローンに搭載したデジタルカメラで撮影した写真から、点群モデルを作成する写真測量クラウドサービスも付属する。i-Constructionの無人航空機(UAV)を用いた空中写真測量、出来形管理要領に対応。

各種データからリアルな現況3Dモデルを作成「InfraWorks 360」

ソフト画面キャプチャ

測量データや国土地理院のメッシュ標高データ、点群データを取り込み現況地形の3Dモデルを作成できる。プロジェクト案の作成やプレゼンテーションにも威力を発揮。
リアルなビジュアライゼーションが作成可能なので、概略の段階で周辺環境を含めた検討ができ、フロントローディングツールとしても活用できる。クラウドサービスで洪水解析や道路の交通量のシミュレーションなども行える。

4D/5Dシミュレーションと干渉チェック「Navisworks」

ソフト画面キャプチャ

着工前に施工ステップを可視化し、チェックできる。鉄筋の干渉や埋設物の干渉、重機との干渉など、施工前に問題を発見し、解決できる。図面では見つけにくい問題も、時間軸を含めた4Dシミュレーションなら容易に見つけられる。コスト軸を加えた5Dシミュレーションも可能。

 AEC Collectionの発売に伴い、業界・業務別に7種類用意していたパッケージ製品「Suite」の販売を終了。永久ライセンスの販売も取りやめ、今後は期間ごとに利用料を支払うサブスプリクション方式のみの販売となる。

 新パッケージを3種類に集約したことで、ユーザーにとっては製品選びが容易になり、価格面でのメリットも大きい。従来の7種類のSuiteは、さらに3つのグレード(Standard / Premium / Ultimateエディション)に分かれていたが、新パッケージには最上位のUltimateエディションが入っている。それなのに価格はSuiteのUltimateエディションより安い。

 パッケージに含まれるソフト数も増えた。「AEC Collection」には20本以上入り、価格はシングルユーザーの場合1年間で44万2800円(税込)。単体製品のシングルユーザー1年間の価格は「Revit」32万9400円(税込)、「AutoCAD Civil 3D」34万6680円(税込)、「InfraWorks 360」26万0280円(税込)、「AutoCAD」27万7500円(税込)であるから、2製品以上使うなら、単体で購入するよりAEC Collectionのほうが断然お得だ。この機会にAEC Collectionの導入について真剣に検討してみてはいかがだろう。

Revit
InfraWorks 360
AutoCAD Architecture
AutoCAD Map 3D
AutoCAD Plant 3D*
AutoCAD Raster Design*
AutoCAD Utility Design*
Insight 360*
ReCap 360 Pro*
3ds Max
Vehicle Tracking*
AutoCAD Civil 3D
AutoCAD
AutoCAD Electrical
AutoCAD MEP
AutoCAD P&ID*
AutoCAD 360 Pro
FormIt 360 Pro*
Navisworks Manage
A360 でのレンダリング
Structural Analysis for Revit*

期間 シングルユーザー
3カ月 16万6320円
1年 44万2800円
2年 84万1320円
3年 119万5560円

オートデスク希望小売価格(税込)
2016年10月現在