日経アーキテクチュア Special

防災・減災にPC技術生かす

橋梁で実績を重ねてきたPC(プレストレスト・コンクリート)技術を、建築部門、それも防災・減災の分野に展開しているのが、ピーエス三菱である。国内におけるPC技術のパイオニアとして各方面に技術を発展させてきた同社ではいま、防災・減災分野で津波避難施設、人工地盤、耐震補強工事の施工を手掛ける。同分野での同社の強みやPC技術の優位性は、どこにあるのか──。代表取締役社長の藤井敏道氏にお聞きした。

合併で「PCゼネコン」へ
母体はPC技術と信頼性に

藤井 敏道 氏
株式会社ピーエス三菱
代表取締役社長
藤井 敏道 氏

──建設系の2社が合併して誕生した会社とお聞きしています。

藤井 一つは、ピー・エスです。同社はその前身が1951年に日本初のPC(プレストレスト・コンクリート)橋である長生橋を石川県七尾市内に施工した実績を持つPC技術のパイオニアです。土木部門におけるPC技術を、その分野でのトップランナーとして国内に広めてきました。お客様は国や自治体といった公共です。公共からの信頼を背景に事業を展開してきました。

 もう一つは、三菱建設。三菱グループの建設会社として1960年に設立されました。以降、グループ内外の民間企業をお客様として建築と土木の両部門で実績を積み重ねてきました。三菱の名前に恥じない、責任のある事業が期待されてきた会社です。そういう意味ではやはり、お客様からの信頼を背景に成長してきたと言えます。

 この2社が2002年に合併して誕生しました。母体は、PC技術とお客様からの信頼です。その2つを、脈々と受け継いでいます。

──すると、コア技術の一つはPC技術。つまり、「PCゼネコン」ですね。

藤井 そうです。PCは、圧縮には強いものの引っ張りには弱いコンクリートにPC鋼材を用いて圧縮力をあらかじめ与え、その弱点を大幅に改善し、強度を高めたものです。その技術を駆使して、通常の鉄筋コンクリート造とは異なる「大スパン、大荷重、ノンクラック」という特長を持った構造物を生み出しています。また建物の完成後はほぼメンテナンスフリーでランニングコストが低く、耐久性にも優れています。

津波避難施設や人工地盤で
PC技術が大スパンを実現

──そのPC技術を防災・減災にどのように生かしていますか。

藤井 PC技術は防災・減災に非常に役立つ技術です。特長は何かと言えば、先ほど申し上げたようにコンクリートの引っ張りに対する弱さを大幅に改善し強度を高めたので、構造材の間隔を広げ、大スパンの空間を確保できる点です。鉄骨造と比べても、スパンのより大きな空間、例えば津波避難施設や人工地盤を生み出せます。

 しかも、PCa(プレキャストコンクリート)として工場生産した部材を現場で組み立てる工法と併用すると、現場でコンクリートを打設するのと違って、木製型枠を必要としません。省CO2・省資源の環境に優しい工法という特長も加わります。環境配慮が求められるいまの時代に見合った防災・減災技術である点も大きな意味を持っています。

 時代に見合っているという点では、人手や工期の面での厳しい条件に対応しやすい点も見過ごせません。工場で生産した部材を現場で組み立てる工法だからこそ、省人化や短工期といった現場の要請に応えることが可能です。この点も、PCaPC造の建物の良さです。省人化や短工期を実現しながら、耐震性や耐久性に優れた世の中の役に立つ構造物をつくり出すことができるわけです。

津波避難施設
津波避難施設
大スパン構造によって柱を少なくできるので、津波の波力を受けにくい構造が可能。漂流物の衝突リスクも抑えられる。工場生産の部材を現地で組み立てるため、現場でコンクリートを打設するのに比べより少ない人数で施工が可能。離島で施工メリットを得やすい。
人工地盤
人工地盤
平常時は駐車場や展望施設として開放し、災害時は避難所として利用する。日ごろから開放することで、いざというときにも避難所として認知されやすい。鉄骨造と比較して塩害に強く、メンテナンス性に優れる。

全国に整備された生産拠点
品質確保も万全の体制で

PCaPC外付けフレーム耐震補強工法
PCaPC外付けフレーム耐震補強工法
既存建物の外側にPCaPC工法による補強フレームを取り付け、既存建物と接合することによって耐震性を高める。高品質・高強度部材で優れた耐震性・耐久性を発揮する。建物内部の空間には影響がなく、建物を利用しながら施工することが可能。

──そうしたPC技術を全国に展開する体制も万全ですね。

藤井 PCaのPC部材を工場生産する拠点が不可欠です。その拠点網は、東北、関東、北陸、関西、中国、九州、と全国に整備されています。生産拠点が全国に整備されていて、そこでの品質管理ももちろん万全です。これだけの供給体制を整えている点も、当社独自の強みと言えるでしょう。

 今後は、建設費に対するご要望にお応えできるように、オーダーメードの一方で規格品の販売もさらに進めていく方針です。意匠性より機能性を重んじるお客様に向けて、こうした標準仕様に基づく規格品を積極的に提案できれば、と考えています。

──最後に、防災・減災に取り組む自治体や企業向けにメッセージをいただけますか。

藤井 日本は災害大国です。地震も、津波も、豪雨も、台風も、襲ってきます。災害が身近に起こる中で、生命や財産を守って、日常生活や企業活動を安全・安心に継続できるようにするには、災害に強い構造物をつくることが欠かせません。

 では、災害に強い構造物をつくる技術とは何か。それがPCaPCです。いままでご存じなかったかもしれません。しかしここに、省人化や短工期といった現場の要請に応えられるうえに、つくるときに環境に優しく、完成後は耐震性や耐久性に優れる、そうした構造物を生み出す技術があるのです。ぜひ一度、まずは施工実績をご覧ください。

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