中小ビルTOPICS

「中小ビル空室増時代」を乗り切る戦略とは?

数年後には中小ビルの優勝劣敗がより鮮明に

2017/12/20
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中小ビルに市況が悪化するのはいつか?どんな戦略が考えられるか?

では、市況の潮目が変わるのはいつになるのだろうか?

今関氏は「既存の大規模ビルの2次空室の状況が見えてくる2018年後半に、潮目が変わる可能性がある。中小規模のビルに影響が出てくるのは、2019年になるのではないか」とみている。2020年にも大量供給が控えているため、その後も市況の悪化が進む公算が強い。

大規模ビルはオフィス需要をある程度、吸収することができる。市況悪化の影響を最も受けるのが中小規模クラスのオフィスビルだ。その時、ビルの優勝劣敗はどのような形で現れるのか。また、どのような戦略が考えられるのか。それを簡単にまとめたのが下の図だ。ビルの競争力とオーナーの経営力という二つの軸で整理してみた。

中小ビルオーナーが取り得る戦略

2017年時点で、中小オフィスビルの空室率が低いと言っても、注意深く見ると、古いオフィスビルが多いエリアはそれなりに空室率が高い。例えば、オフィスビルが少ない渋谷区の中型ビルでは2017年11月の空室率は2.14%。しかし、古いビルも多い品川区は4.05%、大田区は5.20%となっている。

ビルの競争力が高く、オーナーにも資金力があれば、市場での勝ち組となれる。

ビルのスペックが低くても、オーナーに資金力があったり、新たな投資に踏み切る判断ができたりすれば、リノベーション(改修)やコンバージョン(用途変更)によって、バリューアップを図る戦略が浮かぶ。

そもそも中小ビルのオーナーは多くのビルを所有しているわけではないので、エリア内で他のビルと差別化できる「1点もの」のビルを目指せばいい。そのための最初の一手が「リノベーション」となる。デザイン的な魅力やソフト面での運営の工夫で、感性の高いテナントをターゲットにする戦略だ。

次に、用途変更したほうが収益が見込めるなら、「コンバージョン」を考えたい。例えば、オフィスをシェアハウスにするなどが考えられる。ただし、建築基準法上の縛りが強くなる用途変更は、工期や手間、コストがアップすることに注意が必要だ。

オーナーに資金力があったり、新たな投資に踏み切る判断ができたりすれば、さらに「スペック向上」を目指したい。それが実現できたら、最新ビルにも見劣りせず、持続的に収益をあげられる。その一つが、省エネ対策だろう。光熱費負担を下げるなど、入居企業のランニングコストを抑えることができれば「テナントから選ばれるビル」として評価される。

「リノベーション」と「スペック向上」は、テナントが入っていない状態のスケルトンの時に、同時にやるのがベストだ。ただ、「リノベーション」しかできない場合でも、収益性が高まって余裕ができたら「スペック向上」を図れるように、あらかじめ設計上の配慮をしておきたい。

オーナーの経営力が低ければ、取り得る戦略は限られる。

ビルのスペックが高い水準にあれば、まだ価格競争で優位に立てる。賃料を下げるなどしてテナントを確保し、一定のキャッシュフローを得ることができるからだ。市場の負け組になるのは、ビルのスペックが低く、オーナーの資金力に問題があるケース。市況が悪化した時には、価格競争でもテナントを確保できなければ、ビルの売却など市場からの撤退が現実味を帯びてくる。


働きたくなるオフィス大全編集部

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