日経アーキテクチュア Special

木造の雰囲気を生み出す仕上げとは

視覚と嗅覚で「木造」を感じる建築物である。オープンは2016年1月。木へのこだわりの強い匠工房代表取締役の島田廣己氏が、地元産のスギやヒノキを内装にも可能な限り取り入れ、鉄骨造ながら木造さながらの雰囲気を生み出した。仕上げには屋内木部用ステイン「キシラデコールインテリアファイン」を用いる。

遊戯室。正面に見えるステージの三方枠や天井部分の格子に地元の区有林で伐採したスギ材を使用。左手、南に位置する園庭から、明るい日差しが入り込む(写真提供/匠工房)
保育室は腰壁にスギ材を使用。キシラデコールインテリアファイン「オリーブ」を塗ってすぐ拭き取ることで、心材の赤っぽさと辺材の白っぽさの差を和らげるように仕上げた
トイレも腰壁にスギ材を使用。ここではキシラデコールインテリアファイン「ワイス」で心材と辺材の色の差を和らげるように仕上げた

 山々に囲まれた広々とした敷地に建つ保育園である。地元有志が設立した社会福祉法人が運営する、まさに地域の保育園。古くなった施設を、隣の市有地に建て替えた。

 建築設計を担当したのは、地元で個人住宅の設計や民家の再生などを手掛けてきた匠工房。代表取締役の島田廣己氏は「郡上八幡出身で木の存在はもともと身近。その優しさと柔らかさに引かれます」と話す。

匠工房
代表取締役
島田 廣己 氏
滋賀県米原市内、中山道柏原宿の近くに約30年前に事務所を開設。地域に伝統工法の家屋が多いという土地柄もあり、木造を中心に個人住宅などの建築設計を手掛ける。約20年前からは、民家の再生にも取り組む

腰壁は底目地・目透かしで
小口からスギ材の香りを

 しかも、保育園の立地する自治区では山林を保有し、そこで伐採したスギやヒノキを利用できる。建て替えに向けて、木造を第一に考えた。

 立ちふさがったのは、コスト上の制約だ。「遊戯室のような広い空間を生み出すには、大断面の集成材に頼らざるを得ません。ところが、それを前提にすると、建築工事費を予算内に納められません」(島田氏)。

 そこで目指したのは、躯体は鉄骨造ながら木造と見間違うような空間づくり。内装制限上、可能な範囲内で、区有林で伐採したスギやヒノキをふんだんに取り入れた。

 その特性を生かしたディテールにもこだわりを見せた。例えば保育室やトイレでは、腰壁に使用した厚さ15㎜のスギ材を底目地・目透かしで納めた。「小口を見切り材でふさぐような納まりにしなかったことで、そこからのスギの香りを感じさせることができました」(島田氏)。

 仕上げには、屋内木部用ステインである「キシラデコールインテリアファイン」を用いた。これが、スギの香りを妨げることなく、木材の表面を保護する。島田氏は「長年使用してきた木材保護塗料『キシラデコール』シリーズの一つで、安全性の高さも評価できます」と話す。

塗った後ですぐに拭き取り
心材と辺材の差和らげる

 この塗料はホルムアルデヒド放散等級「F☆☆☆☆」で、厚生労働省が定める「室内濃度指針値」や文部科学省が定める「学校環境衛生基準」など多くの基準や規格に適合する。さらに、作業性、着色性、耐光性に優れる点も、特徴だ。「キシラデコール」と同系の計12色をそろえる。

 着色性の良さから、通常は塗料を拭き取ることなく、イメージ通りの仕上げを期待できる。ただここでは、「ノイズ」と呼ぶスギ材の色の差を和らげる狙いでも用いたため、拭き取り作業も織り交ぜた。

 スギ材は心材の赤っぽさと辺材の白っぽさが1枚の板に現れるため、それを腰壁に使用すると、仕上りはまだら模様になりがち。「そこでまず『オリーブ』や『ワイス』をいったん塗り、それをすぐ拭き取って、心材と辺材の色の差を落ち着かせました」。島田氏は説明する。

 色の残り方を調整するのは容易ではない。塗ってから時間がたつうちに塗料が吸い込まれるため、作業の直後に比べて色は薄くなる。しかし塗る量が多すぎると、「オリーブ」や「ワイス」の色が濃くなる。「これらを計算に入れて、塗料の量を決めています」(島田氏)。

 仕上がりへの満足度は高い。「地元産材をふんだんに用いた雰囲気を壊さず、木造のような感じを打ち出すことができました」。島田氏は今後も、木の質感を生かしながら狙った色を表現しやすい「キシラデコールシリーズ」を、内外に使用していく考えだ。

社会福祉法人 柏葉会 柏原保育園
社会福祉法人 柏葉会 柏原保育園
所在地/滋賀県米原市柏原2293-1
敷地面積/5221.92m2
延べ床面積/869.69m2
構造・階数/鉄骨造・平屋建て
工事期間/2015年3月~12月
屋根勾配は旧中山道の民家に合わせ、外壁の一部に地元のスギ材を下見板張りや大和張りで使用。仕上げには、木材保護塗料「キシラデコール」の「エボニ」と「パリサンダ」を同じ割合で混ぜ合わせたものを使用した
木材保護のトータルソリューションパートナー 大阪ガスケミカル株式会社

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