CASE1:SAP HANA Cloud Platform導入事例 SAP S/4HANA以外の選択肢はなかった グローバルを視野に入れた成長企業が語る導入の背景とは 事業の拡大に基幹システムが追いつかない──。NRIセキュアテクノロジーズは、こうした課題を解決するために「SAP S/4HANA」による新基幹システムの構築に着手した。システム基盤にパブリッククラウドを採用し、自らクラウド上での安全な基幹システム運用モデルを示す意欲的なプロジェクトは、データの活用度を上げ、収益に貢献できる基幹システムの実現という点で大きな注目を集めている。

背景・課題
増加する顧客とサービスの多様化で既存の基幹システムに限界が近づく

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社 代表取締役社長 小田島 潤氏

 野村総合研究所(NRI)の社内ベンチャーを前身とするNRIセキュアテクノロジーズ。情報セキュリティポリシー策定支援などを行う「セキュリティ・コンサルティング」、CSIRT(Computer Security Incident Response Team)の構築や運営を支援する「組織内CSIRT総合支援」、顧客のシステムに設置したファイアウォールの運用監視を行ったり、多様なゲートウェイ機能を提供する「ファイアウォールネットワークセンター」、さらには独自のセキュリティソフトなど、多彩なソリューションを提供し、企業のセキュリティ課題をワンストップで解決している。

 社内ベンチャーとしてのユニットから始まり、現在の規模にまで急速に成長した同社のビジネスの変化は、そのまま基幹システムの変遷にも当てはまる。

 「以前導入したERPシステムは、ビジネスの拡大に伴い限界が見え始めた」とNRIセキュアテクノロジーズの小田島 潤氏は語る。

 例えば、「ファイアウォールネットワークセンター」の運用監視サービスの対象となるファイアウォールは、すでに数千台を超えている。件数が増加すれば、それだけ契約処理や請求処理は煩雑になる。また、毎月、決まった額を請求すればよいサービスだけでなく、従量課金制を採用しているファイル転送サービス「クリプト便」のようなサービスもあり、請求業務はますます複雑化している。

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社 総務部長 伊藤 達也氏

 同社に限らず、サービスはマスに向けたものから、「個」客ニーズに対応する流れにある。そのため1件あたりの取引額は小さくなる一方、取引量は莫大に増加する傾向だ。こうした状況で従来のシステムでは限界を迎えつつある。

 「契約件数やサービスの種類が増加していることに加え、既存のERPは、会計、受注、請求などの機能間の連携が取られておらず、データの抽出や加工、再投入などを人手で行わなければなりませんでした。もはや、当社のビジネスに対応しきれていなかったのです」と同社の伊藤 達也氏は振り返る。


導入プロセス
グローバル市場へのビジネス拡大はもはや「待ったなし」

図1:従来の課題とS/4 HANAによる解決 図1:従来の課題とS/4 HANAによる解決 NRIセキュアテクノロジーズが解消を目指す課題と、その要件に応えるSAP S/4 HANAの特徴。業務効率向上、経営管理の高度化の両面における成果が期待されている  そこで同社は、ERPのリプレースを決断。検討の結果、「SAP S/4HANA」の採用を決めた。性能や機能面で同社が直面していた課題の解決が期待できることはもちろん、同社の今後のビジネス戦略にも最適と判断したことが決め手となった(図1)。

 例えば「グローバル対応」。同社は現在、北米に支社を設置し、時差を利用して、日本国内における夜間の監視業務を分担しているが、今後は、北米支社を通じて、現地のユーザーへのサービス提供をより拡大したいと考えている。

 「そうした将来的な展望を踏まえれば、当然、海外拠点でも利用できるERPであることが前提となります。世界中で活用されているSAPの採用は必然でした」と小田島氏。その上で、SAP S/4HANAが、必要機能を網羅しており、常に時代の最先端を捉えたERPである点を高く評価したという。

セキュリティ会社の矜持、クラウドの安全性は自身で証明する

 また同社は、システムの基盤に「クラウド」を選択。これまでのようにオンプレミス環境にシステムを設置するのではなく、アマゾン ウェブ サービス(以下、AWS)上でシステムを稼働させることにした。その理由について小田島氏は、次のように説明する。

 「パブリッククラウド上での基幹システムの運用は、これから多くのお客様が着手することが予想されます。そうした状況の下では、セキュリティベンダーである当社自身が、自社ソリューションを活用して、AWS上でセキュアに基幹システムを運用できることを実証することが重要。これにより、自社のサービスの有効性も、明確にできると考えたのです」

成果と今後
デジタル化の時代ならではの現場業務の改善

図2:NRIセキュアテクノロジーズのSAP S/4HANA利用イメージ 図2:NRIセキュアテクノロジーズのSAP S/4HANA利用イメージ 財務会計、管理会計から販売管理、購買管理、各種分析システムまで、ビジネスを加速するシステムを統合的に構築する  SAP S/4HANAを採用した同社の基幹システムは、現在、構築作業が進んでいる(図2)。稼働を開始した暁には、新基幹システムは、同社のビジネスに大きなインパクトを与えると期待されている。

 まず挙げられる効果が、刷新のきっかけともなった複雑化、肥大化していた事務処理の効率化だ。「以前は、情報入力、帳票出力、承認など、紙ベースのフローだったものが電子化され、大幅な効率化が期待できます。しかも、SAP S/4HANAは、モバイル環境にも対応。上長がスマートフォンを使って、外出先から承認を行うことも可能です」(伊藤氏)。これに関して、SAPの出張管理・経費精算ソリューション「Concur(コンカー)」とも連携し、多様な経費業務のペーパーレス化を実現していくという。

月次ではもう遅い! 一刻も早い経営判断を実現

 さらに、一般的なERPと比べ「データ活用」に威力を発揮するSAP S/4HANAは、業務の効率化だけでなく、直接、収益にも貢献できる基幹システムになると考えている。

 例えば、業績をリアルタイムに確認することも可能だ。「これまでは会議の場で定期的に集計された資料を通じて、ビジネスの現状を把握していましたが、稼働開始後はSAP S/4HANAの画面上で、常に最新の情報を確認可能。会議を実施せずとも、マネージメントが自分で業績をいつでも、リアルタイムに把握することができます。利益率の高いセグメントにより多くの人材配置を行うなど、月次ごとにしかできなかったアクションも、週次サイクルなどで行えるでしょう」と小田島氏は期待を込める。

高精度なデータ分析が、ビジネスを加速する

 売上や収益の予測精度も向上する。「これまでは独自の算出ロジックをExcelのマクロに組み込んで予測を立てていました。正確な予測を行うには、商材の多様化や、取引量の増加に応じて管理手法を変える必要があります、お客様ごとの商談状況を踏まえた受注確度なども加味しなければいけません。そのため、様々なシステムから情報を収集し、Excelに反映するという作業を行っていたのです。膨大な手間がかかる上、取り込むことが困難な情報もあり、十分な予測精度を得ているとはいえない状況でした」(小田島氏)。

 その点、SAP S/4HANAなら、システム上で商材や顧客ごとの収益情報、あるいは商談情報などが有機的に連携されている。わざわざ人手で抽出、入力しなくても、顧客、商材、地域など、任意の切り口でデータを分析することが可能だ。過去の統計情報を踏まえた分析なども行え、収益予測をスムーズかつより正確に立てることができる。

事前準備なしでも、欲しい経営指標がすぐに得られる

 加えてSAP S/4HANAでは、インメモリ技術とシンプル化されたデータモデルにより、従来の基幹システムでは成し得なかった経営のスピード化を実現できる。「従来は、売上情報や、商談情報といったデータは月次でしか取得できませんでした。また、それぞれが連携しないため、売上が達成しなかった際の原因を探るのも一苦労だったのです」(伊藤氏)。

 こうした状況では当然、経営も月次ベースになる。その点、SAP S/4HANAではこうした事前のデータ準備がすべて不要。取引データさえあれば、データを瞬時かつリアルタイムに、見たい軸で集計することが可能だ。これまで準備にかけていた時間が不要になれば、まったく別次元の経営スピードが実現できるだろう。

変化するビジネスに追随できるシステムを実現

 「特にこだわったのは、将来にわたってビジネス成長を支えられるかという点です。業務の変化に対し、都度変更が必要なシステムでは経営の足かせになりますが、データモデルを極限までシンプル化しているSAP S/4HANAなら、そうした変化に柔軟に追随できると感じました」と小田島氏は語る。

 パブリッククラウドとの組み合わせ、そして、データ活用によって収益に貢献できる基幹システム──。このように同社は、SAP S/4HANAを活用し、まったく新しい基幹システム像を確立しようとしている。期待している成果が明確になれば、今以上に大きな注目を集めるだろう。
導入先プロフィール

NRIセキュアテクノロジーズ株式会社

野村総合研究所(NRI)グループの情報セキュリティ専門企業として2000年に設立。セキュリティ運用監視事業、コンサルティング事業、およびID管理やファイルセキュリティをはじめとするソリューション事業を軸として顧客のセキュリティニーズに応えている。
www.nri-secure.co.jp
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SAPジャパン株式会社
SAPジャパン株式会社
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