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APIバンキングによる共創戦略

FinTechのためのAPIバンキングによる共創戦略
— APIバンキングで始まるフィンテックのさらなる進化とは —

デジタル技術を活用し、顧客との関係をさらに強化しようとする企業が急増している。金融サービスにおいては、フィンテックがそのカギを握る。次々と生まれるフィンテックアプリとの連携によって金融サービスの魅力を高め、顧客の利便性を向上することができる。そのための第1ステップは、APIバンキングによるデジタル基盤の構築だ。フィンテックの活用、そのための基盤整備などをIBMはさまざまな形でサポートしている。

破壊的な技術の脅威とフィンテックの進化

日本アイ・ビー・エム株式会社
技術理事(IBM Distinguished Engineer)
二上 哲也 氏

 「今後3~5年で自社に大きな影響を及ぼす外部要因は?」という質問に対して世界の有力企業のCEOは、3回連続で“テクノロジー”を1位に挙げた。IBMが定期的に実施している「グローバル経営層スタディー」の調査結果である。

 ちなみに、2015年の2位は“市場の変化”、3位は“法規制”だった。こうした外部要因を抑えてテクノロジーが1位になったという事実は、この時代を特徴づける重要な側面だろう。
「近い将来、破壊的なテクノロジーが登場し、既存のビジネスモデルを無効化してしまうかもしれない。そんな危機意識を抱く経営者は少なくありません」と語るのは、IBMの二上哲也氏である。破壊的な技術の代表例が、タクシー配車アプリを展開するウーバーだろう。
「ウーバーは世界各地のタクシー業界を変えつつあります。そして、金融業界にも大きな影響を及ぼそうとしています。同社は登録ドライバーに対して推奨保険などを提示し、すでに4万人以上がこれを利用しています。また、契約したドライバーへの報酬を振り込むため、新規銀行口座を開設するサービスを計画しているとのことです」(二上氏)

 タクシー業界から金融業界へ、業界の垣根を軽々と越えてサービスを拡張するウーバー。同じような動きがさまざまな分野で加速しつつある。

 この大波に飲み込まれないよう、あるいは大波を乗りこなすために、多くの企業はあらためて顧客との関係づくりに注目している。図1に示したように、デジタル技術を活用した顧客接点強化、あるいは個々の顧客へのアプローチ強化を考える企業が増えている。

(図1)

 同様の動きが金融サービスにおいても進行中だ。その駆動力がフィンテックである。日本のフィンテックアプリケーションにはいくつかの特徴がある。
「日本ではモバイル環境が整っています。スマホなどの普及に伴い、フィンテックアプリについてもモバイルへの集約が進んでいます。また、家計簿アプリがよく使われていることも日本の特徴の1つ。一方で、多くの金融機関がフィンテックアプリを、若い世代や富裕層の取り込みに活用したいと考えています」(二上氏)