なぜ富士ゼロックスは新しいコミュニケーション改革に挑戦するのか?〜抱えていた「危機感」とその先にある「未来」とは〜

「コミュニケーション」に対する富士ゼロックスの強い想い

 富士ゼロックスと聞くと、「複写機」のイメージを持つ人が多いだろう。事実、同社は、日本国内に「複写機」を販売する目的で、イギリスのランクゼロックス社(当時、米国ゼロックス子会社)と富士写真フイルム(当時)のジョイントベンチャーとして、1962年に設立された企業。普通紙コピーがまだ一般的でない時代、業界初の普通紙複写機である「富士ゼロックス 914」は、普通の紙に誰でも手軽にコピーが取れる革新的な商品として注目を集めた。

 時代とともに、あつかう商品やサービスは多様化しているが、創業以来、同社の追求するビジネスは一貫している。その象徴と言えるのが綿々と続くゼロックス・フィロソフィー「better understanding through better communications(人間社会のより良いコミュニケーションを通じて世界の相互理解に寄与する)」である。

富士ゼロックス株式会社 情報通信システム部 部長 松田 健二氏

 つまり、顧客やパートナーとの対話、社内や部内、取引先とのコミュニケーション、あるいはアイデアを練るためのブレインストーミングや自分の中での思考作業——。製品や顧客サービスの改善から、イノベーションの創出にいたるまで、すべての価値創造の源泉にコミュニケーションがあると捉えているわけだ。

 「このゼロックス・フィロソフィーを継承しながら、現在では、お客様の課題を発見し、より良いコミュニケーション環境を提供することで、お客様の価値創造を支援する企業へと進化。ソリューションサービス事業、プロダクションサービス事業、グローバルサービス事業の3つのサービス事業を国内外で広範囲に展開しています」と同社で情報通信システム部長を務める松田 健二氏は語る。

 ただし、こういった事業を展開する一方で、社内を見渡せば少なからず課題もあった。同社ではメールや電子文書によるコミュニケーションを1980年代より行ってきており、その取り組みがかなり早かったが故に、その環境が文化として固定化していたのだ。

 「いつを起点にそうなったのかは分かりませんが、いつのまにかメールを中心とした非同期型のコミュニケーションに偏重していました。もちろん、メールを使用すること自体は悪いことではありません。ただし、それに偏り過ぎると情報伝達が遅くなる上、個人の情報感度に依存してしまう。これらがビジネスでの機会損失や判断の遅れを招くのではないかという危機感を抱き始めていました」と同社 情報通信システム部 ICT活用推進グループ長 日比野 元哉氏は語る。

 従来の文化を再構築し、今のオープンな環境を生かしたコミュニケーションスタイルへと舵を切るべきではないか——。こうした考えのもと、同社では、2013年夏にコミュニケーション改革の検討に着手。同年12月に改革に向けた取り組みを開始したのである。
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コミュニケーション改革により、
  • 「意思決定の速度が向上し、知識・経験・スキルの共有も拡大」
  • 「会議の開催がフレキシブルになり合意形成が迅速化」
  • 「営業部門では顧客への提案がさらにスピードアップ

富士ゼロックスはどうやってこの改革を成功させたのか?
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