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50年後も資産価値を保てる家に必要なもの

家を購入する際に住宅ローンを利用する人は多いだろう。無理なく返済していくには、正しく計画を立てることが大切だが、一般消費者はどのくらいの知識を持っているのか。2万5000人を対象に行った、大規模な調査の結果を紹介しよう。

 「人生の3大費用とは何を指すか」。この問いに、すぐに答えられるだろうか。正解は「老後費用」「住宅費用」「教育費用」だ。

 この質問は金融広報中央委員会(事務局:日本銀行情報サービス局)が、個人の金融リテラシー(お金の知識・判断力)に関する現状を把握するために、今年の2月~3月に実施した「金融リテラシー調査」の設問の一部である。18歳~79歳までを対象とし、2万5000人からの回答を得た大規模な調査で、結果は「知るぽると(http://www.shiruporuto.jp/finance/chosa/literacy2016/)」サイト上で閲覧できる。家計管理や生活設計、金融知識など幅広い項目について調査しており、住宅ローンに関しても、興味深い結果が得られている。

定年退職後もローンの返済が終わらない

 住宅ローンを利用している人の年齢層別の割合は、40歳代が34.3%と最も多く、次いで50歳代(30.7%)、30歳代(27.0%)となっている(図1)。一方で60歳代でも11.8%、さらに70歳代での利用者も6.1%となっている。この点について日本銀行情報サービス局・金融知識普及グループ長の川村憲章氏は「借入金の金額や返済期間の妥当性を十分に検討していなかった可能性がある」と分析する。

 無理なく返済していくには、借入時の計画が大切だ。では、利用者の割合が多い40歳代の住宅費への対応はどうか。必要額を認識している人は56.5%と比較的高いが、資金計画を策定している人は38.6%、資金を確保している人は16.7%という結果だった(図2)

図1 各年齢層別の住宅ローン利用者の割合
図1 各年齢層別の住宅ローン利用者の割合
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図2 40歳代の住宅費への対応
図2 40歳代の住宅費への対応
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 「ライフプラン全体の中で住宅投資を考えることが重要だ。借入時に適切な計画を立てておかないと、高齢になっても返済が残ってしまい、老後資金の確保が出来なくなる」(川村氏)。

 逆に言うと、きちんと計画を立てたうえで上手に住宅ローンを使えば、資産ともなる持ち家を取得することができる。定年退職あたりまでに返済を終えていれば、固定資産税の負担はあるものの、毎月に支払う家賃に比べれば少額で済むケースが多いはずだ。そうなれば年金収入を生活資金に回しやすくなる。

住宅ローン利用者は金融リテラシーが高い

 金融リテラシー調査では、行動特性や考え方に関する設問のほか、クイズのような正誤問題も含まれている。住宅ローン利用者は、全体と比べて正答率が高いことも明らかになった。ここでは住宅ローンに関する正誤問題の一部について、結果を解説する。

 まず返済期間と月々の支払額、支払金利の総額に関して正しいかどうかを問う問題だ。

Q1.住宅ローンを組む場合、返済期間が15年の場合と30年の場合を比較すると、通常、15年の方が月々の支払い額は多くなるが、支払う金利の総額は少なくなる
正解の「正しい」を答えた人の割合は全回答者が68.4%だったのに対し、住宅ローン利用者は76.5%と、8.1ポイントも高くなっている。

Q1.正解率
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 金利を含めた、住宅ローン全体に関わる設問もある。

Q2.住宅ローンに関する以下の記述のうち適切なものを選択してください(1つだけ)

1.ローンを組んで住宅を購入するよりも、生涯賃貸住宅に住み続ける方が、圧倒的に資金負担が小さい

2.住宅ローンの返済方法には、元利均等方式と元金均等方式があるが、総返済額はどちらも同じである

3.住宅ローンの金利タイプには変動金利型や固定金利型があるが、固定金利型の方が変動金利型よりも常に有利である

4.住宅ローンにかかる総返済額を減らすためには、頭金をできるだけ多く用意するとともに、可能な範囲で繰り上げ返済を行うのが有効である

5.わからない

 正解は「4」。全体では50.9%、住宅ローン利用者は62.6%の人が正解しており、この設問でも、11.7ポイントもの開きがある。

 調査では住宅ローンに限らず、家計管理や生活設計、金融取引の基本など、幅広い分野にわたって正誤性を問う問題が25問あった。全体の正答率は、全回答者では55.6%だったのに対し、住宅ローン利用者では、58.5%だった。「これは都道府県別の正答率ランキングで2位~3位のレベル。住宅ローン利用者の金融リテラシーは高い」(川村氏)。

Q2.正解率
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正答率の比較
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金利上昇時の対応では正答率は半数以下

 一方で、金利上昇時に選択すべき運用方法に関する問題では、興味深い結果が出た。

Q.金利が上がっていく時に、資金の運用(預金等)、借入れについて適切な対応はどれでしょうか

1.運用は固定金利、借入れは固定金利にする

2.運用は固定金利、借入れは変動金利にする

3.運用は変動金利、借入れは固定金利に

4.運用は変動金利、借入れは変動金利にする

5.分からない

 正解である「3.運用は変動金利、借入れは固定金利にする」を選択した人は全回答者では43.9%。さらに住宅ローン利用者でも48.9%と半数以下にとどまった。

 低金利が続いている現在は、変動金利の方が有利だが、金利が上昇していく局面では、ローンプランを見直すなどの対応が必要になる。

Q3.正解率
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「ライフプランの下で、お金の管理や運用を考える」のが基本
川村憲章 氏
日本銀行情報サービス局
金融知識普及グループ長
川村憲章

 金融リテラシー調査では、日本では金融教育が米国の3分の1程度しか行われておらず、ライフプランにかかるお金の管理が総じて弱いことが確認された。同調査の公表後、金融教育を強化する動きが各都道府県で拡がっているが、お金との付き合い方は必要不可欠な「生活スキル」であり、個人としても自ら積極的に習得する姿勢を持つことが重要だ。「ライフプランの下で、お金の管理や運用を考える」のが基本であり、住宅費用を「3大費用」の残りの2つの費用(老後費用、教育費用)とともに、ライフプラン全体の中で計画することが大切だ。(談)

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