新サービス創出やコスト削減など、本格的に始まった企業のIoT活用

ビジネスを変え、社会を変える
IoTの普及を加速する仕組みとは

IoT(Internet of Things)によるイノベーションが大きな話題になりつつある。私たちの身の回りの生活やワークスタイルを変え、社会の仕組みまでを変えると期待されているからだ。では、IoTは具体的にどんな変化をもたらすのだろうか。IoTが注目される背景、IoTがもたらすインパクト、その変化とIoTを実装するための仕組みなどについて、日本IBMの林健一郎氏に話を聞いた。

日本アイ・ビー・エム株式会社
Watson IoT事業部 事業部長
林健一郎氏

新しいサービスを生み出し、
顧客満足度を向上させるIoT

「モノをインターネットにつなげてシステムで制御するIoTが注目されるようになった背景にあるのは、クラウドとモバイルという2つのテクノロジーの進化です。コンセプト自体は以前からありましたが、テクノロジーの進化やコストの観点から実現可能な時代になりました」と語るのは、日本IBMでIoT事業を推進する林健一郎氏だ。

林氏はIoTがもたらすインパクトについて、「これまでにない新しいサービスを創造できること」と「顧客へのサービスレベルを向上させること」と指摘する。「たとえば、高層化と複雑化が進むビルでは、メンテナンスを自動化することで安全なビルメンテナンスサービスができるようになり、エレベーターを制御することで効率的な運用を実現し、居住者の満足度を高めることができます」(林氏)。

すでにいろいろな業種でIoTによるイノベーションが起きつつある。ベッドに付けたセンサーからのデータで健康状態を診断するサービスや、インテリジェンス機能を搭載したホワイトボードによるワークスタイル変革などは、我々の生活やビジネスを変える取り組みだ。車のコネクテッドカーなどもIoTの代表的な適用事例である。

「今、日本企業の多くはIoTの必要性を認識し始めた“限定的導入の段階”です。しかし、先進企業ではすでにIoTへの取り組みが本格的に始まっています」と林氏。日本IBMでは下図のように多くの先進的な企業とともにIoTビジネスの実績を積み重ねており、現在も多くのプロジェクトが立ち上がりつつあるという。

Watsonとの組み合わせでさらなる進化が期待される

IBMのIoTビジネスの特徴は、IoTの普及を加速させるプラットフォームを用意していることだ。それが「Watson IoT Platform」である。ビジネスにおけるIoTの実装を支援するとともに、コグニティブ・コンピューティングであるWatsonとIoTを連携させることでその価値をさらに高めていくのが狙いだ。

「たとえば、冷蔵庫にセンサーを付けて、中にどんな食材があるのか、賞味期限はいつまでなのかといった情報を提供するなどのアプローチがありますが、これをWatsonと連携させることによって、今ある食材から考えられるレシピを提示し、料理のカロリーを自動で計算するなど、一歩進んだサービスを提供できるようになります」と林氏。

クラウドサービスであるWatson IoT Platformの特徴は、センサーから収集したデータを保管するとともに、用意されている機能を簡単に組み込める点にある。天気予報を活用したアプリケーションを開発したり、ブロックチェーンなどの高いセキュリティー機能も提供していく予定だ。「さらに、IoTの情報を販売管理や財務会計などの基幹システムで活用したり、企業間で共有したりする仕組みを提供できるのも当社の強みです」と林氏は話す。

なかでも注目すべきなのが、製造業向けのソリューションだ。林氏は「IoTの活用がもっとも期待されているのは製造業です。当社はIoT事業の本部をドイツに置き、製造業向けのソリューションを強化しています」と語る。経費を年間36億円削減した航空機メーカーや、ダウンタイムを最小化した建機メーカーなど、すでにIoT活用で成果を上げている企業も少なくない。その先には自動運転車、さらには会話をしながらさまざまな要求に応え、注意を促してくれるロボットカーなども実用化に向けて動き始めている。

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