登壇者の林氏は2015年に「働き方変革プロジェクト」を立ち上げ、翌2016年に誕生した「働き方変革推進室」の室長を務めている。「リクルートホールディングス」がこれらを推進したきっかけは、女性の活躍推進を中心とする、より一層のダイバーシティ推進を実現するためだ。

元々「個の尊重」を経営理念に掲げ、仕事の評価も性差なく平等に行われる同社だが、育児・家事・介護等において女性の担う割合が高い日本社会では、実質的な「プロセス不平等」が存在しているという問題意識をもったこともきっかけだ。女性がより一層活躍できる環境にするためには、男性も含めて全員で働き方を変えていかないといけない。こんな思いから、「場所の制約をなくし、すべての従業員が自宅でもカフェでもシェアオフィスでもどこでも働ける」ことを目指したというわけだ。

根本には「個人の働き方の選択肢を増やすことで個人および会社の成長につなげ、イノベーションが起こりやすい環境をつくる」という考え方がある。具体的には、より効率的に働くことでムダな時間を減らし、新たに生み出された時間を学習・育児・介護・ボランティア・副業(別の)仕事に充てるなど、時間の使い方を多様化させることで個人の“経験”を多様化させ、成長を促し、仕事の価値を高め還元していくことが理想モデルだ。同社の約半年に渡るリモートワークの実証実験とその成果・課題は、変化の激しい日本社会において個々の価値を高め企業へ還元できるナレッジワーカーを増やすための示唆に富んでいる。