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PwC 日本企業の変革~戦略策定から実行まで

 M&A(合併・買収)、インフラ・PPP(官民パートナーシップ)、事業再生…。いずれも、日本企業がサステナブルな成長を目指すうえで、欠かせないテーマだ。変化する企業の外部成長戦略をディールのすべての領域において高い専門能力で支援するPwCアドバイザリー合同会社の3人の専門家に、同社を活用して企業が成長するためのポイントを聞いた。
(聞き手は日経ビジネス発行人 高柳正盛)


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――企業のサステナブルな成長を支援するために、どんなアドバイスをしていますか。

平林 PwCのアドバイザリーサービスは、経営戦略の策定やその実行(Execution)を支援するコンサルティング事業のほかに「M&A」「インフラ・PPP」「事業再生」の3分野のディールアドバイザリーを提供しています。

 まずは私たちの強みとしては、世界最大級のグローバルなネットワークです。157カ国に20万8000人以上のプロフェッショナルがいて、PwCという巨大なプラットホームの上に乗っています。世界中から最適な人材を集め、その知見を生かして様々な課題を解決することができるのです。

 第二に会計監査、税務、法務、人事、IT、サイバーなどあらゆる分野の経営支援機能を持っていることです。

 PwCは経営戦略の立案から細かな実務まで、企業のライフサイクルに応じたサービスを提供できます。

 お客様にはPwCという巨大な経営支援のプラットホームをぜひ使いこなしていただきたいです。

M&A

――日本企業のM&Aを取り巻く環境をどのように見ていますか。

平林 人口減による「内需の縮小」、収益性強化のための「構造改革」、そして金融庁、東証が策定したコーポレートガバナンス・コードなどによる「ステークホルダーとの協働」といった課題に直面する日本企業にとって、M&Aは欠かせない成長戦略であることには間違いありません。それは経営者の間で広く認識され、10数年前と比べると格段にM&Aの実行能力は上がっています。

――最近、どんな相談を持ちかけられることが多いのですか。

平林 事業の上流から下流まで、すべての流れをサポートして欲しいという要望が増えています。それだけビジネスが複雑になっているのです。

 これまで私たちは「実行(Execution)」の支援を中心に展開してきましたが、最近は企業の経営環境の変化に合わせて上流の案件を創出する「発掘(Origination)」の領域と、下流の価値の刈り取りを行う「統合(Integration)」の領域へビジネス領域を拡大させています。本年4月、M&A戦略を得意とするファームを経営統合したのも、そのためです。

 優秀な人材を確保するため積極的に投資もしています。PwCのアドバイザリーサービス部門には5万人のスタッフがいます。このグローバルネットワークをさらに強化し、世界中で起こり得るM&Aを成功させるために日本企業を支援していこうと考えています。

インフラ・PPP

――インフラ市場をめぐる日本および日本企業の現状をどう見ていますか。

野田 アジアのインフラ市場は2020年に1000兆円規模と言われますが、日本企業は苦戦しています。これまで国際協力機構(JICA)、国際協力銀行(JBIC)などの公的金融の低長期資金や高い技術力を武器に戦ってきましたが、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)が誕生し、新興国の企業も力をつけてきた今、従来方式は岐路に立たされていると感じています。

―今後、日本政府や企業はどうしたらよいでしょうか。

野田 モノ売りの発想から脱却して、相手都市が抱える課題に対するソリューションを展開する、というアプローチが重要と考えています。総合的な都市・インフラのソリューションという点では日本に一日の長があります。たとえば、鉄道整備と沿線開発を一体的に進めるTOD(公共交通指向型開発)手法は、世界で注目される日本の交通ソリューションのひとつです。

 また、近年アジアで関心が高まるPPPにも大きな可能性があります。PPP手法では、施設整備だけでなく、長期の維持管理・運営を含むライフサイクルベースの競争になります。初期コストは高くても、維持費やエネルギー消費を抑えられる「質の高いインフラ」技術を持つ日本企業の出番と言えます。

 PwCはわが国のPFI/PPP市場の創設時から深く関わり、官民へのアドバイザーとして先駆的役割を果たしてきました。今後も、インフラ・PPP分野のプロとして、官と民、世界と日本をつなぐ役割を担ってゆきます。

事業再生

――どんな案件が増えていますか。

倉田 一つは海外です。事業再生は国内より海外で増える傾向にあります。特に、中国や東南アジア諸国での案件が多くなっています。確かに、海外事業は難しい。しかし、国内市場が縮小していく中で、もはや海外展開しないという選択肢はないでしょう。経営の舵取りが難しい時代になったと言えます。

 もう一つは粉飾や不正・災害などによる危機対応支援。きちんとコーポレートガバナンスが効いていない企業が少なくありません。あるべき経営がなされていないのです。例えば、海外で問題が発生したとき、「何が起きているのか分からない」といった話をよく聞きます。「現地のことは現地に任せたほうがいい」ということを言い訳に、ガバナンスを効かせることができていないことが多くあります。

――ガバナンスをグローバルで効かせるにはどうすればいいのでしょうか。

倉田 ガバナンスの重要性をよく理解している現地の人と、本社の意向を理解している日本人スタッフが一緒になり、議論していくことが大切です。

 案件の難易度は高まるばかりです。すべてに通用する解があるわけではありません。どう対応していくのか考え続けることが唯一サステナブルな経営につながると思っています。


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