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PwC 日本企業の変革~戦略策定から実行まで

 ビジネスにおけるIT領域の拡大、いっそう強く押し寄せるグローバル化の波。企業経営を取り巻く環境は猛烈なスピードで変化している。一方で、会計不祥事によって日本の監査法人への信頼は揺いだ。
 PwC Japanグループは、いかにクライアントや社会のニーズに応えていくのか。7月1日付でグループ代表に就任した木村浩一郎氏に、今後の企業経営の行方と、経営のあり方を聞いた。
(聞き手は日経ビジネス発行人 高柳正盛)


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――英国の欧州連合(EU)離脱は、世界各国に様々な影響を与えています。改めてビジネスのすべてが世界中でつながっていることを実感させられました。我々を取り巻く環境は急激に移り変わり、先行きが見通せません。今、経営に最も大切なことは何でしょうか。

木村 「変化」に対応する力だと思います。IT領域が拡大し、企業のビジネスモデルや消費者が求めるものは変化しています。ビジネスのグローバル化も進んできた。当然、企業もあり方を変えなければなりません。こうした「変化」をいかに捉え、ニーズにスピーディーに応えていくか。これが企業経営にとって重要な時代になったと思います。

――「変化」に対応する力を養うには何が必要でしょう。

木村 お客様と同じ目線に立つということです。先日、米国でシリコンバレーの人たちと話した際、彼らは、テクノロジーが進化すればするほど、差異化のポイントは「人」になると主張していました。いかに相手の気持ちを理解し、それを汲み取ってビジネスを進めるか、ユーザーエクスペリエンスを向上させるか、それこそが重要になるというわけです。

 経営環境の変化が大きければ大きいほど、どうしても業績を追いかけ、自分の所属する会社の組織や製品を主として考えがちになります。

 しかし、言うまでもなく、ファーストプライオリティーはお客様にあります。どんなマーケットの環境があり、そこで何が起きようとしているのか。その中でお客様は何をすべきかを第一に考えることが、結果として変化の先取りをすることにつながります。

PwCの「普遍的な存在意義」

――PwC Japanグループの強みは世界中に持つネットワークと、多種多様な人材がいることにあると思いますが、一方で、組織の壁を破ることは難しいのではありませんか。

木村 多くの企業が抱える悩みであるのと同様に、我々にもそうした課題はあります。しかし、PwCの仲間やお客様と力を合わせ1つのプロジェクトを成功させたときの喜びはとても大きい。その成功体験こそが、自分の部署の損得などではなく、もっと大きなもの、大切なものがあると気づかせてくれるのです。

 私たちには『Build trust in society and solve important problems(社会における信頼を築き、重要な課題を解決する)』と定めたPwC Purposeという理念があります。PwCは世界の多様な地域の人々の結びつきで構成されています。当然、地域の歴史や文化、さらには世代によって価値観は異なります。

 そのような中でPwC Purposeは、お客様やステークホルダー、そして社会に対して一貫して重視すべき「普遍的な存在意義」として、複雑な課題に対して重要な決定を下すときの拠り所となっています。大切なことを見失うことなく、PwC全体が連携して、お客様や社会の要求に応えていきます。

――木村さんは新たなPwC Japanグループのトップとして、顧客や社会の変化にどう対応していくのですか。

木村 PwCはプロフェッショナルの集団です。業種ごとに固有の専門知識を持った部隊を“縦”に並べ、“横”軸に監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務サービスを提供してきました。2014年に法務サービスも開始し、さらに戦略立案に強いブーズ・アンド・カンパニーがPwCネットワークに加わり戦略系コンサルティングを強化したことで、お客様の成長戦略を考えるときにM&Aなのかそれとも組織変革なのかと、提案の幅が広がったのです。

――現場で議論しているPwCのスタッフは、幅広い知識を持たなければいけないので大変ですね。

木村 ええ。ですので、私は「自分が専門家でも、1人でできることは限られている。人につなげ」と言っています。PwC内でプロフェッショナルを5人、10人と集めれば、広がりと深みが増します。自分で何でもやろうとすると、深い議論ができないし、いい提案をすることも難しくなる。世界157カ国にネットワークを持ち、20万8000人以上のスタッフを擁するPwCのネットワークの強みを生かしてクライアントの要望に応えろと言っています。

独立監査人の「職業的懐疑心」

――不正会計問題をきっかけに、日本の監査法人に対する信頼が揺らいでいる今、監査法人のあり方についてどう考えていますか。

木村 改めて、企業のトップ、監査委員会・監査役会と外部監査人である監査法人の間で、しっかりと対話し、連携を密にすることが重要だと思っています。一方で、必要なことは言いにくいことでもはっきりと質問する。そして、しっかり説明していただく。独立監査人として「職業的懐疑心」を持つことが仕事ですから、それを全うしなければいけません。「徹底的にやらせていただきます」と最初から申し上げています。

――最後にPwCの人材像について聞かせてください。PwCのように世界各地に人材がいてダイバーシティーに富んだ組織では、個々の能力を引き上げやすい環境にあると言えそうですね。

木村 はい。スタッフには海外勤務を積極的にさせていますが、たった2年間行っただけでも、国内だけで働いているときとは明らかに違う成長が見られます。視点の違う外国人と議論し、相手に認められるようにしっかりと主張することで、お互いの違う価値観を尊重しあうプロフェッショナルが生まれます。ダイバーシティーへの取り組みは、PwC Japanグループがビジネスを展開するうえで、とても重要だと考えています。



*PwC Japanグループは、日本におけるPwCグローバルネットワークのメンバーファームおよびそれらの関連会社の総称です。各法人は独立して事業を行い、相互に連携をとりながら、監査およびアシュアランス、コンサルティング、ディールアドバイザリー、税務、法務のサービスをクライアントに提供しています。


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