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米国発の試作サービスでスマートグラス開発

誰も部品を作ってくれない

ホルト 先日、MOVERIOの最新シリーズが発表されました。

津田 おかげさまで、無事商品化できました。ありがとうございます。

津田敦也氏
セイコーエプソン株式会社
HMD事業推進部部長

入社後、中型および小型液晶、有機ELディスプレイの開発設計に従事。2011年には、エプソン独自のコア技術マイクロディスプレイを応用したスマートグラスMOVERIOを商品化。現在は、 HMD事業推進責任者として新規事業領域の開拓に取り組む。

ホルト MOVERIOはとても魅力的な製品ですね。ウェアラブルな映像デバイスとして、ユーザーをデジタルの世界につなげてくれます。コンシューマーばかりでなく、産業用としてもニーズが高いのではないでしょうか。開発当初、技術面では、かなり苦労されましたか?

津田 いえ、じつは一番苦労したのは、技術の方ではなくて部品の調達の部分なんですよ。

ホルト 調達? エプソンならば、協力してくれる製造パートナーがたくさんいらっしゃるのでは?

ヴィクトリア・ホルト氏
プロトラブズ米国本社
社長兼CEO

バイオ化学の大手モンサント社で経験を積み、ガラスメーカーのPPGインダストリーズ社でシニアバイスプレジデント、プラスチックのスパーテックではCEOを務める。現職としてウェイストマネジメント社の取締役も兼務。プロトラブズの最高経営責任者。

津田 いえ、MOVERIOは2008年に企画が始まったのですが、当時は誰も耳を傾けてくれませんでした。景気の影響もあったかもしれません。製造業全体に元気がなく、「これまで見たことのないものを作る」と話しても、あまり夢に投資をしてくれないのです。

 正直、そのときにプロトラブズさんのことを知っていれば、いろいろお願いできたかもしれませんね。設計データをアップロードするだけで、ビジネスとしてすぐに製造を請け負ってもらえる。オンデマンドで手軽に部品や試作が手に入れば、エンジニアは助かります。日本以外に、アメリカでもユーザーは多いのですか?

ホルト ロッキード・マーティン社などのフォーチュン500企業から中小まで、たくさんのメーカーの方々に利用していただいています。業界も電子機器、医療機器、自動車、産業機械など多岐にわたり、ユーザー数は伸びています。世界中のエンジニアの方々にも喜ばれていますが、受け入れられている理由はいくつかあると思います。

セイコーエプソンが新たに開発したスマートグラス「MOVERIO BT-300」
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