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英国、再生医療の商業化にらみ国際連携進む

 再生医療分野における英国企業2015年投資額は4億ドル(約400億円)で、2012年の5400万ドルから大幅に増加。それに伴い、研究者の2015年新規雇用数も1000人となり、今後5年間で新たに2000人の雇用が見込まれるという。

 英国は今、再生医療分野に積極的に投資を行い、世界をリードしようとしている。同時に、国際的なパートナーシップを強化し、安全な再生医療の実用化を加速しようとしている。

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商業化を見据えた体制を整備

 2013年に、UK Regenerative Medicine Platform(英国再生医療プラットフォーム)が立ち上げられた。同プラットフォームの生体材料部門ディレクターを務める英ノッティンガム大学教授のケビン・シェイクシェフ氏は、その役割をこう説明する。

 「新たなテクノロジーにつながるようなハイリスクの研究には、共同研究開発を行うプラットフォームが必要になります。英国には優れた再生医療の研究をしている大学が数多くあり、様々な研究者と共同研究をしています」

 同プラットフォームでは、多能性幹細胞の製造、細胞分化と組織生成の制御、修復における免疫系の役割の理解など、5つの主要テーマを掲げている。

 次のステップとして、研究から生まれた新しい再生医療技術を実用化するには数々の障壁を乗り越えなければならない。その研究開発と商業化の橋渡しをする目的で2012年に設立されたのがCell and Gene Therapy Catapult(細胞・遺伝子治療カタパルト)だ。

 契約・知的財産担当責任者のマイコル・ベネット氏は、「最先端の研究成果を企業に提供し、知財のライセンシングを仲介する一方で、法規制や医療経済などの情報を提供しています」と語る。

日本の優れた再生医療技術

 両機関が設立された2012年、2013年ごろは、「英国で臨床から商業化への動きが始まったころで、再生医療への投資も加速された時期と言ってもいいかもしれません」とベネット氏は振り返り、次のように続ける。

 「現在、英国のトップ大学すべてに再生医療およびその関連プログラムがあります。再生医療の治験に対する寛容度はどんどん深まり、今後10年間を見通せば、たとえばより難しい1型糖尿病、心臓の修復、黄斑変性といった高い品質を求められる治験への寛容度も深まっていくと思います」

 研究が複雑になり、治験もより高レベルのものになると、費用や研究開発機関を削減するため、商業化の実現には国際的なパートナーシップが必要になる。

 「私たちのプラットフォームでは、北米、日本、ドイツやフランスなどの欧州諸国、オーストラリアとの連携を強めています」とシェイクシェフ氏。

 「日本には大学と大手製薬会社の協力プログラムがたくさんあります。糖尿病、脳卒中、パーキンソン病など世界で問題になっている主要疾患についても、共同で取り組んでいる。これは日本の優れた点だと思います」(シェイクシェフ氏)

 再生医療をめぐる法規制に詳しいベネット氏は、「現在の英国は日本より法規制が厳しい。しかし最近、再生医療分野については日本と同様に変えていくことが検討されています」と言う。

 「山中伸弥教授のiPS細胞をはじめ日本には優れたテクノロジーがたくさんあります。言語の問題はあるかもしれませんが、それ以外は特段、障壁があるとは思いません」。ベネット氏は日本とのコラボレーションに期待を寄せる。

「日本のパートナーを増やしたい」

 英国では独自の再生医療技術をもつベンチャー企業が少なくない。2011年設立のVideregen社は社員5人の小さな企業だ。免疫拒絶を抑える独自の臓器再生技術をもち、今年末か来年初めに、気道狭窄の重篤な患者4人に細胞移植して臨床試験を実施する予定だ。

 スティーブ・ブローアCEO(最高経営責任者)は、「小さな企業にとって細胞の製造設備費などは大きな負担になるため、コラボレーションは欠かせません。今回の来日では、今後の日本での活動を視野に入れ、日本のパートナーを探したいと考えています」と話す。

 2002年設立のPlasticell社は細胞の分化を効率的に行えるコンピナトリアル・スクリーニング技術「CombiCult」を開発している。最適な分化条件を見つける際、試行錯誤を繰り返すのではなく、数学理論に基づきコンピューターで行うため、時間とコストを大幅に削減できるうえに、研究開発に伴うリスクが避けられるという。

 デニス・ソーCEOは「米国、ベルギー、フランスでコラボレーションを行っているほか、日本でもCombiCultを利用している企業があります。今後さらに日本のパートナーを増やしたいと考えていま す」と抱負を語る。

 カタパルトのベネット氏は「日本企業は国内で成功してから海外進出を考える傾向にあるようですが、今後は海外展開を同時に考えていく必要があるのではないでしょうか」と指摘する。そのためのキーポイントは「国際的なパートナーシップ」にあると言えそうだ。





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