働き方改革の名のもとに、営業部門にタブレット端末を一斉導入するといったケースはその代表例だ。現場からは「タブレットを配布されたけど、Excel作業するには不向きだし、これなら自分のスマホで十分なんだよな」といった不満の声が漏れてくる。
その結果、外出先でのメール確認やスケジュール管理、電子カタログによるプレゼンテーションといった限定的な利用にとどまってしまい、ひどい場合はデスクの引き出しの中に入れっぱなしで使用していないというケースもある。これでは働き方が変わるわけがない。
モバイル用のデバイスさえ渡しておけば、従業員は喜んでそれを使って、おのずとワークスタイル変革が進んでいくだろう——。そうした考えがそもそもの間違いなのである。「従業員」と一口にいっても、内勤、外勤、クリエイティブ、在宅など、実は多くの“タイプ”が存在する。それでは、不機嫌な従業員を減らし、働き方改革を成功させるために、企業はどうすればよいのだろうか。
(取材・監修:日経BPイノベーションICT研究所 上席研究員 星野 友彦)