SPECIAL REPORT:AIで経営戦略はどう変わる? 現状の人員のままで売上増大が可能 AIを駆使した次世代の営業スタイル

AIがもたらす新たな洞察で営業活動を最適化

営業活動の中でAIを活用するには、まず顧客や営業プロセスに関する情報を蓄積することが前提となる。そのためには、Microsoft Dynamics 365のようなSFA基盤が不可欠だ。これによって営業活動に関連するあらゆる情報を集約・管理し、顧客の状況や商談進捗状況等を「見える化」しておくのである。また商談ステージを標準化し、どのような条件を満たせば次のステージに移れるのかも、明確化しておくべきだろう。

必要なデータが十分に蓄積されたら、いよいよAIの出番となる。その活用方法の1つとして挙げられるのが、リードスコアリングだ。

これはまだ商談には至っていないリード案件の状況をAIで評価し、商談化の可能性を定量的なスコアとして算出するというもの。自社にとって望ましいプロファイルの顧客か否か、十分なリードナーチャリングが行われているのか等を総合的に分析し、リードの重み付けを行う。これによって顧客アプローチの優先度を明確化でき、商談化の効率を高めることが可能になる。

またWebサイト内での顧客の行動(どのページを重点的に閲覧しているか)やメールマガジンへの反応(どのような内容のメールの開封率が高いか)を分析すれば、提案すべき商材も明確になる。これによって提案内容も的確になり、顧客にとって見当外れな商談を行う危険性も回避できる。

外部のデータベースから得られる顧客情報を分析対象に組み込めば、新規顧客を獲得するためのコネクション発見も可能になるだろう。顧客アプローチに必要なキーパーソンを見つけ出すことが容易になれば、リードそのものの数を増やすことができる。適切なコネクションからアプローチしたリードであれば、商談化に至る可能性も高くなるはずだ。

AIを駆使した次世代の営業スタイルの例。リーチしたいターゲット顧客とのコネクションを、AIが自動的に発見してセールスパーソンに提示している。適切なコネクションを使ってアプローチすれば、商談化に至る可能性の高いリードを獲得しやすくなる。

AIを駆使した次世代の営業スタイルの例。リーチしたいターゲット顧客とのコネクションを、AIが自動的に発見してセールスパーソンに提示している。適切なコネクションを使ってアプローチすれば、商談化に至る可能性の高いリードを獲得しやすくなる。

リードの商談化や成約の可能性(勝率)がきめ細かく把握できれば、各案件を時系列分析することで、売上予測を行うことも可能になる。大まかな「案件積み上げ」だけによる従来型の方法に比べ、より精度の高い予測が実現できるはずだ。これによって、目標を達成するにはどのような施策を打つべきなのかという意思決定を、より適切かつタイムリーに下せるようになるだろう。

このようにAIの活用は、営業現場に新たな「インサイト(洞察)」をもたらすことになる。これによって営業活動を最適化できれば、成約に至るまでの期間を短縮でき、人員を増やすことなく売上を高められるのだ。

※2017年9月時点のDynamics 365機能追加ロードマップに関する情報となり、今後変更される可能性があります。

AIによるデータ分析がもたらす新たな洞察。

AIによるデータ分析がもたらす新たな洞察。
これによって営業活動を最適化することで、人員を増やさずに売上を増大させることが可能になる。

AIによる分析はアフターサービスにも大きく貢献

リードを商談化して成約に至れば「営業活動は終わり」というわけではない。いったん成約に至った顧客との関係をいかにして維持し、顧客満足度を高めていくかも重要な課題となる。これによって継続的な購買やサービス利用、さらにはアップセル・クロスセルを促すことも可能になるからだ。当然ながらこれらも、売上に大きく貢献することになる。

それでは成約後の顧客との関係強化に、AIはどのような役割を果たせるのか。まず顧客との関係性を分析し、それを可視化することで、セールスパーソンの行動を促すことができる。例えば、成約後に問い合わせが多く発生しているにもかかわらず、セールスパーソンによるフォローがない場合には、顧客との関係が悪化する危険性が高い。このような状況をリアルタイムに見つけ出し、赤信号のような形で画面表示するのである。さらに、過去のセールスバーソンによる活動履歴や、それによる顧客との関係性の変化を分析することで、次にどのようなアクションを取るべきかのレコメンデーションを行うことも可能になるだろう。

顧客との関係性をわかりやすい形で可視化し、次にどのようなアクションを起こすべきかをリコメンドしている画面。成約後の顧客との関係性向上にも、AIの洞察力は威力を発揮する。

顧客との関係性をわかりやすい形で可視化し、次にどのようなアクションを起こすべきかをリコメンドしている画面。成約後の顧客との関係性向上にも、AIの洞察力は威力を発揮する。

また、顧客からの問い合わせやそれへの対応状況を「顧客ポータル」に集約することで、顧客の中で発生している課題や、新たなニーズを発見することも可能になる。ここでは顧客ポータルの例として、Dynamics 365の上で実現された「お客様ポータルソリューション」を取り上げ、ここでAIを活用することを考えてみる。

このソリューションは、顧客からの問い合わせやそれへの対応履歴、FAQの公開、顧客間のディスカッションが可能なフォーラム、記事検索等の機能を提供するというもの。実際の問い合わせ対応やFAQ作成等は社内のサポート担当者が行うが、ここに十分なデータが蓄積されれば、AIの活躍の場が生まれることになる。例えば自然言語分析によって問い合わせ内容やディスカッション内容を分析すれば、それぞれの顧客の「リアルな声」をつかむことができる。この情報をセールスパーソンが活用すれば、これらの声に対応できる商材やサービスの提案によって、クロスセルやアップセルが行えるはずだ。

また過去の問い合わせ内容と対応内容、対応への顧客の反応等を分析していけば、「このような問い合わせを行う顧客にはこのようなニーズが存在する可能性が高い」といった推測も可能になるだろう。これを活用すれば、まだ顧客自身が気付いていなかった潜在的なニーズを先取りし、顧客の期待を超えた提案も可能になる。「あそこの営業は頼りになる」という評価を獲得すれば、顧客内部により深く食い込めるはずだ。さらにこのような情報を、商品開発部門が新規商材の開発で活用すれば、新たなビジネスの創出にもつながるだろう。

いち早く取り組みを始めた企業が次の時代の勝ち組に

このようにAIを積極的に活用することで、営業スタイルは大きく変化していくだろう。AIがもたらす新たな洞察は、営業活動の効果と効率を飛躍的に高める可能性があるのだ。

近い将来には、どのような行動をすれば高い成績が挙げられるのかをAIが体系化し、セールスパーソンに適宜アドバイスを行う時代が到来するはずだ。これによってセールスパーソンは、顧客との関係強化やより価値のある提案の立案など、営業で最も重要な活動に時間を費やせるようになる。さらにアフターサービスでもAIを活用すれば、リード獲得からナーチャリング、成約までの営業活動、さらにはアフターフォローまでカバーした「お客様360度対応」が実現できる。これで顧客満足度を高めていけば、顧客との継続的な関係を確立し、ライフタイムバリュー(LTV)を最大化していくことも容易になるだろう。

これらは決して遠い未来の話ではない。このような取り組みは、今すぐにでも始めることが可能だ。いち早く取り組みを開始し、その効果を他社に先駆けて引き出した企業こそが、次の時代の勝ち組になるのではないだろうか。