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デザイン思考で未来を拓くトヨタ自動車

既存ビジネスの延長ではなく、これまでにない新たな価値を生み出すにはどうすればいいのか。日本企業の多くが、現在このような課題に直面しているはずだ。その一方で働き方改革の実現も喫緊のテーマとなっており、ここでも新たな発想が求められている。このような課題に「デザイン思考」という手法を取り入れた企業がある。トヨタ自動車 サービス技術部だ。ここではその取り組みについて紹介していく。

全国4万人のサービスエンジニアを支えるサービス技術部。
そこで不可欠な存在になったデザイン思考とは?

トヨタ自動車株式会社
カスタマーファースト推進本部
サービス技術部長
大橋 甚吾 氏

 「お客様がいつまでも安心して、トヨタのクルマにお乗りいただくために」。このような考え方に基づき、トヨタ自動車は日本国内だけでも全国約5000店舗、約4万人のサービス体制で、顧客の快適なカーライフをサポートし続けている。そこで働くサービスエンジニアが技術力を最大限に発揮できるよう、人材育成やサービス情報提供、サービス技術開発、修理支援を行っているのが、トヨタ自動車 サービス技術部だ。その人員数は約300名。技術情報の編集などを行う関係会社のスタッフを含めると、約800人に上る。

 トヨタ自動車といえば、現場の作業者が中心になって知恵を出し合い、ムダをいち早く発見し解消することで効率性と安全性を高める「カイゼン」を生み出した企業として、世界的に知られている。サービス技術部ではこの「カイゼン」に加え、富士通が提案した「デザイン思考」も業務に取り入れることで、イノベーションに向けた新たな取り組みを進めつつあるのだ。

 「課題を解決するカイゼンに関しては、私どもはさまざまな手法を持っており、それが大きな強みになっています」と語るのは、トヨタ自動車 カスタマーファースト推進本部でサービス技術部長を務める大橋甚吾氏。ここにデザイン思考が加わったことで、仕事の進め方が大きく変わり、社員の発想や組織文化も変化しつつあるという。「いまのサービス技術部にとって、カイゼンとデザイン思考はクルマの両輪のようなもの。どちらが欠けてもいけないと感じています」。

 それではトヨタ自動車のサービス技術部長にここまで言わしめる富士通が提案した「デザイン思考」とは、いったいどのようなものなのか。そしてトヨタ自動車 サービス技術部では、実際にどのように取り組み、具体的にいかなる効果を生み出しているのだろうか。