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AI活用で新卒採用業務を75%削減

革新的な取り組みで時代の先端を走るソフトバンクが、また一つ意欲的な取り組みを開始した。新卒採用における人工知能(AI)の活用である。一次選考のエントリーシートをAIで評価することで、採用担当者の負担を軽減するのが狙いだ。すでに今年5月から活用し、大きな成果を上げているという。書類選考にAIを使うという発想はどこから生まれたのか。また、AI活用を成功させる秘訣はどこにあるのだろうか。

業務担当者の発想が生んだ、AIによる新卒採用選考

安藤 公美 氏
ソフトバンク株式会社
人事総務統括
人事本部 採用・人材開発統括部
人材採用部 採用企画課
安藤 公美

 「インターネットのエントリーシート添削サイトを見て、コンピューターでエントリーシートの添削ができるなら、AIで内容を評価することもできるのでは?」——。新卒採用を担当するソフトバンクの人事本部 採用・人材開発統括部の安藤公美氏がこんなアイデアをひらめいたのは昨年の12月のことだった。

 通年で学生からのエントリーを受け付けるユニバーサル採用を導入している同社だが、エントリーシートの処理はやはり特定の時期に集中する。しかも、ソフトバンクは学生に人気のある企業だけに応募者数も多い。「エントリーシートのピークは1月から3月です。面接が始まり、学校訪問もあるため、大変な忙しさになります」と安藤氏は話す。

 2010年から採用活動をペーパーレス化し、データを一元化することで事務作業を効率化して迅速な対応を実現してきた同社だが、さらに業務改善を進めたいという意欲を常に持ち続けてきた。そこで注目していたのがAI活用だった。

 2015年、同社は人事総務部門に「未来探索室」という部門横断の新組織を発足させ、社内でのAI活用について検討を始めた。専門家集団であるAI部門と意見交換を行う中で、今回の採用業務でのAI活用が生まれた。

 採用業務はエントリーシートの受け付けから始まり、適性検査、面接、内定と長いプロセスがある。どこにAIを活用できるのか考えていた中で、安藤氏は入り口となるエントリーシートの評価でAIを活用することを思いつく。

 「実現できるかどうか、いくつかのAIツールを調べて、行き着いたのがIBM Watson(以下、Watson) NLC(Natural Language Classifier)の活用でした」と安藤氏。NLCとは、自然言語を処理するためのWatsonのAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)の一つである。このNLCとの出会いが今回のAIプロジェクトに現実感をもたらした。