ここ数年、働き方改革が急速に注目されるようになった。育児・介護による社員の離職防止、多様性のある人材の確保、社員の生産性や売り上げ向上、長時間労働の是正によるワークライフバランスの確立など、様々なメリットが期待できるからだ。
しかし全ての企業や組織が成功しているわけではない。実際には、失敗したり、プロジェクトが頓挫したり、組織全体に波及していないケースも少なくない。その多くが“部分導入”や“プロジェクトの立ち上げ”で終わっている。ホワイトカラーの一部、あるいは営業部門だけにモバイル端末を渡すものの、「新しい予算がつかない」「効果が見えるまで」といった理由でストップしてしまうのだ。あるいはモバイル端末を配布したものの、現場の使い勝手や若い世代の感性とあわず、せっかく導入した仕組みが使われないケースもある。
働き方改革は長期にわたるプロジェクトとなるため、スモールスタートは重要なのだが、あくまで目指すべきは社員全員を対象にすること。そうなってはじめて、冒頭に触れたメリットを享受できるからだ。地方拠点はもちろん、店舗スタッフや工場、あるいはフィールドサポートのような現場社員が同じ環境で働くことができなければ、Web会議や情報共有を1つするにも煩雑なワークフローを生む結果となり、かえってさらなる不便を社員に強いてしまい、働き方改革が社員の“足かせ”になってしまいかねない。
もちろん、「コストの問題もあるため、社員全員にモバイル端末を支給できない」「情シスの担当者も少数で運用に負担をかけられない」「端末からの情報漏洩が心配」といった懸念もあるだろう。それでは、どうすれば失敗を回避し、コストを抑えつつ成功に導けるのか。以下では、他社に先んじて働き方改革に取り組み、高い成果をあげているデルのケースを基に、3つのポイントを紹介しよう。