Face to Faceで広がるコミュニケーション
Vol.1 株式会社スマイルズ 野崎 亙さん
みんなが集まるからこそ生まれる価値がある

実践を伴わないと真の理解には至らない。リアルの方が圧倒的に早い

株式会社スマイルズ 野崎 亙さん

株式会社スマイルズ
取締役 クリエイティブ本部 本部長

野崎 亙さん

京都大学工学部、東京大学大学院を卒業後、株式会社イデーに入社。3年間で新店舗の立ち上げから新規事業の企画を経験する。その後、株式会社アクシスで大手メーカー企業などのデザインコンサルティングを担当し、2011年同社入社。giraffe事業部長、Soup Stock Tokyoサポート企画室室長を経て、現職に至る。事業のブランディングやクリエイティブ全てを統括。外部案件のコンサルティング、ブランディングも手がける

──お酒を飲みながらの勉強会を主宰されているそうですね。

3年前に始めた、「小難(コムズカ)しいプロジェクトの話とそれを中和する酒(サケ)の力」、通称「コム酒」です。

当社はスープの専門店「Soup Stock Tokyo」やネクタイ専門店「giraffe」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」などを展開しています。これまで社内ではマーケティング教育のようなことはあまりしてきませんでした。でも、どこかで勉強しておくべきだと考えていました。

当社は一般的なマーケティングのロジックは使いません。使っても、他社と同じ答えにしかたどり着かないからです。でも、知らなくていいのかというとそうではなくて、知っているからこそ違いが生み出せるわけです。また、リテールビジネスは、日常の業務を繰り返すことに集中してしまい、新しい視座、新しいものの見方を得にくいもの。外から情報を入れることで視座が高くなり、モノゴトを深く掘り下げて考えることができるようになるのです。

──そこで、部門を問わずに参加できる勉強会を?

はい。ただ話題が小難しくなるので、より参加しやすくするために飲み会にしたわけです。参加費はお酒と料理込みで1500円。参加費を払っているので学ぼうという意識も高まりますが、最悪、「1500円で飲めたのだからお得」と思ってもらえるかな、と(笑)。基本は僕が講師になります。ものすごく分かりやすく話しますが、それでも全部持ち帰ってほしいとは思わない。飲みながら軽く聞き流して、何か1つでも残ったら十分です。

──コミュニケーションが目的ではないのですね。

結果として部門横断的なコミュニケーションができていますが、それはあくまでも副次的なことです。これまで20回近く開催してきました。最初は8人で始め、今は毎回20~30人くらいが集まるようになっています。

──「飲みながら」の利点はありますか?

大いにあります。お酒が入ることで、上司とか立場といったタガが外れるので、考えを率直に言えるし、自由にアイデアが出せるわけです。

勉強会と言っても、講義形式ではなくワークショップが中心です。先日は外部から講師を招き、「スマイルズらしさとは何か」というテーマについて、インフォグラフィックス(情報を伝える図)で表してみようというワークショップを行いました。とても素晴らしい、思いの詰まった図ができた。就業時間内に業務として取り組んだとしたら、これほどいい結果は出なかったのではないかと思います。

──イントラネットで情報を配信するといった社員教育の方法もあります。あえて顔を合わせる形にしたのはなぜでしょうか。

一方的に送られてきた資料など見ませんよね(笑)。出した側だけが、やった気になって終わる。でも学びの場に自ら身を置いたら、多少でも学びますよね。

何より、実践することができる。たとえばマーケティングでよく使われる2元表。あれを正しく描ける人って、ほとんどいないんです。なぜ描けないのかというと、「実践」を伴っていないから。“知っている”だけにとどまってしまう。実際に使いまくってこそ、なぜ必要なのか、どんなときに使うのかが分かる。本当の理解につながるのです。それには、リアルの方が圧倒的に早いし、強い。だから、実際にみんなで集まって、ワークショップで「実践」しているのです。

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