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医薬品のエーザイが即戦力人材の採用を強化

創業から80年近い歴史を持ち、売上高6000億円、従業員数1万人の規模を誇る医薬品メーカーのエーザイ。知名度の高い日本を代表する企業だが、主力品の特許満了により一時は成長に翳りが見えたこともあった。その中で同社は自社の存在意義を中心に据えた中期経営計画を策定し、それを推進するための新たな人事制度の導入と採用活動の強化を行った。今、再び成長基調に向かっている。

現状を打破するために必要な
イノベーションへの動機付け

 創業1941(昭和16)年、研究者15名という小さな研究所からグローバル企業へと成長したエーザイだが、社名に「製薬」という文字はない。そこに込められているのは、企業としての目的が薬をつくることだけではなく、患者や家族に希望に満ちた毎日を届けたいという想いだ。患者とその家族の喜怒哀楽を第一義に考え、そのベネフィット向上に貢献する、それが、同社の企業理念「ヒューマン・ヘルスケア(hhc)」である。

 この企業理念を中心に据えた中期経営計画を策定した2016年、同社は業績が一時伸び悩んでいたが、2017年には売上を伸ばし、企業としての成長力を取り戻した。

 「この中期経営計画は、経営企画部門主導ではなく、全グローバルで社員たちが集まって練り上げました」と話すのは、同社の人財開発・採用を担当する人財開発本部 タレントストラテジー部 部長の鈴木清美氏だ。中学の英語教員から外資系出版社の編集者、外資と合同のITベンチャーの立ち上げ、そして大手外資系企業を経て2012年に同社に入社したという異色の経歴を持つ。

 同社のビジネスは、大きく「神経領域」と「がん領域」の2つのビジネス領域に特化しており、日本と海外の売上比率は半々という。創薬活動、生産活動、マーケティング活動をグローバルに展開する。2016年度の中期経営計画の策定は、電話会議などでグローバルに社員たちを結び、約8カ月間にわたって行われたという。

 「「EWAY 2025」と名付けられた中期経営計画の中心に位置付けられたのはhhcでした。議論を重ねた結果、そこに戻ってきたのです」と鈴木氏は振り返る。その出発点として位置付けられたのが「hhc活動共同化」という、患者と一緒に時間を過ごし、同じ体験をする取り組みだ。

 鈴木氏は「患者様と時間をともに過ごす共同化から得たナレッジこそが我々のビジネスの源泉である、という基本を経営計画のコアコンセプトとしました。患者様のニーズを知り、それをイノベーションにより、充足する。他社にはできず、エーザイだからこそ患者様貢献できる場を立地と考えます。特に、患者様のニーズがいまだ満たされていない領域、神経領域とがん領域に集中することにしました」と語る。

「EWAY 2025」の中心的コンセプト