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管理システム+RPAで採用業務を大幅に短縮

採用管理システムで業務負荷を軽減させる

 しかし、実際の採用現場の業務は旧態依然のままという企業は多い。鈴木氏は採用担当者の1日の仕事の流れを例にしてその実態を解説する。朝のメールの確認に始まり、レジュメの印刷、面接のアテンド、キャンセル連絡の対応、書類選考、面接後のヒアリング、書類作成、次回面接の日程調整、社内会議、人材紹介会社対応、そして面接と面接後対応と、1日中途切れることなく業務が続く。

 鈴木氏は「問題は単調でオペレーショナルな業務に多くの時間がとられ、差し込み案件も多いことです」と問題点を挙げる。オペレーショナルな業務の生産性を上げて現状を打破しなければ、戦略人事へのシフトはおぼつかない。

 この採用業務の生産性を向上させるものとして注目されているのが、採用管理システムATS(Applicant Tracking System)の導入である。これまでは紙ベースやエクセルベースで行ってきた採用業務をシステム化するもので、株式会社ビズリーチが提供する「HRMOS採用管理」はその代表的なソリューションである。

(図2)ATSとは何か
(図2)ATSとは何か
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 講演の中で鈴木氏はデモ動画を披露し、HRMOS採用管理が提供する機能を紹介した。そこでは求人票の作成から応募者の管理、日程調整、レポート作成といった採用関連業務が1つのクラウド上で処理される。エージェントへのメール連絡や評価の入力、面接日時の設定もテンプレートが提供される。日程調整はGoogleカレンダーとの連携で実現している。

 「システムを使うことでメールよりも速く処理することができ、しかも全ての活動のデータが蓄積されます。そのデータからチャネル別応募者推移や面接官別評価など様々な切り口でレポートを作成することができます」と鈴木氏。導入企業の多くが「業務の負荷が軽減された」と実感しているという。

ロボットと連携させて劇的な生産性向上を実現

 鈴木氏に続いて登壇したのは、RPAホールディングスの人事部長である神吉徹二氏だ。同社では、HRMOS採用管理を導入するとともに、RPAを活用して大きな成果を上げているという。

 急成長する同社が人事部を組織したのは2018年1月のことだ。同年4月にはHRMOS採用管理を導入し、7月からロボットを導入している。「HRMOS採用管理はエクセルよりも速くて便利です。そこにロボットを導入すればさらに効率化が図れると考えました」と神吉氏は語る。

 同社には1日20件から30件の応募がある。それを採用部門に書類選考を依頼するのに30分から40分、さらに書類選考の結果をエージェントに通知するメールを作成するのに20分から30分かかっていた。「NGの場合でもその理由を知らせるために、採用部門の担当者のコメントをコピペしてメールを作成していました」(神吉氏)。

 そこで同社はこの業務をロボットに対応させることにした。ロボットがHRMOS採用管理を操作し、応募書類を振り分け、通知メールを作成して発信するようにしたのである。効果は劇的だった。エクセルで1日90分かかっていた業務が、HRMOS採用管理で30分になり、それがロボットを活用することで3分に短縮されたのだ。1カ月で5日分の業務が削減されたことになる。

 「HRMOS採用管理によって採用業務が可視化され、ボリュームゾーンがわかっていたので大きな効果につながりました。中途採用のPDCAが実現され、母集団に困ることもなくなり、新たな採用手法に挑戦する余力も生まれ、社内の出来事を外部に発信する時間もできました」と神吉氏は語る。

 こうした成果を受けて、同社では積極的にロボットの適用業務を広げている。質問対応のFAQ化、入社書類の完全ペーパーレス化、録画面接での時間短縮などにロボットを導入し、今後は日程調整にも活用していくという。

 神吉氏の話を受けて再び登壇した鈴木氏は「効率化の先にあるのが、採用数の改善と採用の質の改善です」と語る。HRMOS採用管理の導入によって採用工数を削減し、その時間でレポート機能を使って人材紹介会社の得手不得手を把握することにより応募者数を3倍にしたケースや、捻出した時間で分析やリファーラル採用に取り組んで採用の質を高めたケースも出てきている。

 鈴木氏は「OutlookやSlackなど他システムとの連携を拡充し、採用の成功を見据えて進化を続けていきます」とHRMOS採用管理の今後の展開を語る。採用業務におけるテクノロジーの活用は戦略人事を実現するための重要なファクターであり、HRMOS採用管理の導入はその第一歩といえるだろう。

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