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ソフトバンクの人材採用戦略

情報革命を掲げて変貌し続けてきたソフトバンクグループ。ソフトウェア流通事業者から携帯通信事業者、そして今では巨大な投資ファンドを運営し、カリスマ経営者である孫正義氏の強力なリーダーシップのもとで世界を相手に競争できる稀有な日本企業としてその動向が常に注目されている。事業の急速な拡大によって事業内容が多様かつ複雑になる中、どのようにして事業戦略にマッチした人材採用や育成を行っているのだろうか。

多様化する事業戦略に合わせてマス採用以外の手法を活用

 1981年設立のソフトバンクグループは、パソコンソフトの流通や出版企業として出発した。その後、通信事業に進出しブロードバンド事業を展開。日本テレコムやボーダフォンを買収し、携帯電話事業者としての地位を確固たるものにした。2005年1月には福岡ダイエーホークスを買収し、プロ野球球団の保有企業として知名度を大幅に向上させた。

 一方、世界有数の投資企業として数多くのハイテク企業に投資を行い、2016年にはサウジアラビア系の投資ファンドとともに「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」という10兆円規模の投資ファンドの設立について発表。また、同社自身もグループ傘下にヒューマノイドロボットの開発・販売を行うソフトバンクロボティクスや、半導体メーカーのARMホールディングスなどを保有するハイテク企業でもある。

 こうした事業の急展開は、企業イメージと事業の実態とのかい離をもたらすのは避けられない。日本国内では“携帯電話のキャリア”や、“福岡ソフトバンクホークスの親会社”というイメージが強いが、2018年3月期のソフトバンクグループの営業利益1兆3000億円の半分近くは国内通信以外の営業利益となっている。

 「情報革命で人々を幸せに」をスローガンに事業を拡大するソフトバンクグループ。今、同社が注力しているのは、スマートロボット、AI(人工知能)、あらゆるものがネットにつながるIoTといったITのメガトレンドの分野で、タクシー配車サービスのDiDi、コワーキングスペースのWeWork、ロボット研究開発のBoston Dynamicsなどが挙げられる。

 国内事業の中心的な役割を担う子会社のソフトバンクも“通信キャリア”という枠の中に収まることなく事業を拡大しており、大きな課題の一つは人材採用と育成だ。同社の人事本部採用・人材開発統括部統括部長の源田泰之氏は「人事とは、人や組織と事業をつなぐためにあり、事業戦略ありきで取り組むべきです」と語る。そこには、大量の人材を集めて絞っていくマス採用だけに頼らない様々な工夫が凝らされている。